表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

31/43

31.避難

「なんだ、今の爆発音……?」

「誰かの魔術が暴発したんじゃないの?」


 そんな声を耳にして、フィーナは少し恥ずかしそうな表情を浮かべた。

 魔術による暴発――それに関しては特に経験がある。

 もしも、誰かの魔術が暴発したのであれば、あまり騒がない方がいい――そう思っていたが、教室の窓から外を見ると、あちこちで煙が上がっているのが見えた。

 途端に、教室内の空気が変わる。


「ちょ、ちょっと……これって普通じゃないでしょ」

「に、逃げた方がいいんじゃないか……!?」


 生徒達がざわつき始めた――魔術の暴発などという、単純な話ではないのは明らかだ。

 だが、今は授業中――担当していた講師が、その場にいる全員に指示を出す。


「落ち着きなさい。何があったかすぐに確認をしてくるので」


 講師は冷静だ――元々、帝国魔術師団でも活躍していたような実力者が、魔術学園では講師を務めている。

 こういう状況にも慣れているのかもしれない――講師の言葉に、生徒達も幾分か冷静さを取り戻した。だが、


「大変ですっ! 学園内に爆発物が仕掛けられたようで……すぐに避難を!」


 教室の扉が開かれると――若い男性講師が慌てた様子でそう叫んだ。


「ば、爆破物……!?」

「ここもやばいんじゃ……」

「やっぱり早く逃げないとっ!」


 教室内の騒ぎが大きくなる――フィーナも、不安を感じる気持ちが大きくなっていた。

 そんな時――ふと過ぎったのは、リオの顔だ。


(リオは……無事なのかな)


 学園内での爆破――巻き込まれてなければいいが。

 リオの安否をすぐに確認したくなる気持ちはある――だが、ここでフィーナが慌てても、状況が好転することはない。


「――静まれ」


 言葉と同時に発生したのは、先ほどの爆発音よりも大きな『音』であった。

 その場にいた生徒達全員の視線を集める――音を作り出したのは、講師が使った魔術によるものだ。


「落ち着けと言っているだろう。爆発はここからも遠いようだ――慌てずに避難をしよう」


 この状況において、講師がどこまでも冷静で――生徒達も幾分か落ち着きを取り戻し始めた。

 ――とはいえ、動揺したままに生徒達は急ぎ足で教室から廊下へと出て行く。

 フィーナもまた、それに続いて廊下に出ようとするが、


「っ!?」


 何かに引っかかり――フィーナは転んでしまった。

 足元を見ると、鎖のような物が床から生えて――足に巻き付いている。


(何、これ……!?)


 フィーナは驚きの表情を隠せない。

 足元に巻き付いている鎖――それが魔術的な何かであることは明白だった。

 フィーナは避難で後ろの方に控えていたため、動揺している生徒達は気付いていない。


「何で、こんな――」

「どうかしたのか」


 だが、講師はフィーナの異変に気付いだ。

 生徒の避難指示を出しつつも、フィーナの様子を確認しようと近寄る。


「――彼女は私が。他の生徒のことを頼みます!」


 そこに割って入ったのは、先ほど教室に駆けつけてきた若い講師だった。

 生徒達の動揺が収まったわけではない――生徒達の誘導には、実力のある者がいた方がいいだろう。


「……分かった。君も落ち着いて行動するように」


 講師は若い講師にそう助言をして――廊下へと出て行く。

 フィーナも自分の一人のために、全体の避難が遅れてはならないと考えていた。

 すぐに、フィーナの下へと若い講師が駆け寄ってくる。


「大丈夫かい?」

「そ、それが、足に鎖が……」

「鎖?」


 フィーナの言葉を受けて、若い講師が足元を確認する。

 そこには――確かに鎖が絡まっていた。


「これは……魔術の鎖か? 何でこんなものが……」

「わ、分かりません。気付いたら足に絡みついていて……」

「とにかく、落ち着いて。すぐに解除しよう」


 若い講師の言葉に、フィーナは安堵する。

 すでに他の生徒達は教室から避難し――残っているのはフィーナと若い講師だけだ。

 若い講師がフィーナの足元に手を伸ばし、魔術で作られた鎖を破壊しようとする。


「――その子を離してくれる?」


 だが、その言葉と同時に――若い講師は動きを止めた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ