2.弾かれ者というやつ
私は自分を弾かれものだという時に自分がその役目を担うのはふさわしくないそう思いつつも、ある心配事を思い出してそれでもやらねばと気を引き締める。
そうこうして気を引き締めている内に、本条先生はまた恒例の弾かれ者の仕事を持ってきた。
しかし、今回の仕事内容を見て意識的に顔をしかめる。
「今回の仕事はそんなにひどい案件かい時雨澤 秋君」
口調が変わった三条先生の声聞こえてくる
「はい、今回のは特にひどいです。さらに酷いのがこれが弾かれ者義務に含まれてるっていうこともですけど」
「そんなに嫌かな?」
「毎回、言ってるんですか三条 智樹君先生は?」
ちょっとした嫌味を含ませて三条先生に向かって質問する
「おっと、そんなにツンとして言わないでくれよ。あと、先生は要らないな弾かれ者の仕事中は君はこの学園内で6番目の権力保有者となる。そんな君に先生と言われるほど僕は大物じゃないよ」
やっぱりこの人は三条 智樹であると再確認する。
「権力保有者・・ですか。」
呆れたような嘆息をつく
「ふむ、…少し講義が必要だな時雨澤。」
そう言い切って口調が元に戻り、こちらに背を向けてホワイトボードを持ってくる三条先生
「は!はい!!」 急に関係が先生と生徒に戻りちょっと焦って・・・
「時雨澤、まずこの学園の正式名称を言ってみろ」
「はい、…湖群学園です。」・・・機会を捨ててしまった
「よろしい、この湖群学園が普通の学園と大きく違うことは理解しているな?」
「はい。」
「今回はまだ教えていない学園の権力構造について簡潔に説明する。い…
「はい!先生前回もそうでしたがもう少し詳しく教えて下さーい!」
ふんす!!と手を上げる代わりに柔道部とかがやる押忍っというポーズをして質問する。
そして、返ってきたことは手のひらで頭を掴まれてーーーそのまま握りしめられるというさながら全方位圧縮機が手のひらで再現された如き技であった。
「はい!先生とても痛いデス!止めてほしいデス!」
「ようし、まだそんな事言えるなら大丈夫な証だこのままやるから覚悟しておけよ~?」
「先生!声が笑っていなくて正直めっちゃ面し…、先生?力が強すぎません?このままじゃ正直笑えないんですけど?ア、ヤバこれ。先生止めて!あっヤバ。イッダーーーイ!!!!!」
~少しして~
そこには、頭に冷却リング~簡単接着パッチを添えて~をライオンのようにつけられた涙目の女子生徒がいましたとさ。
「では、講義を始める。」
何事もなかったように、平然と宣言する三条先生と
「ぁあい」
死ぬ寸前のような声を出して返事する時雨澤 秋
「何だ冷却ライオンウーマン元気がないな?」
平然と言う。
「誰のせいですか!誰の!」
思わず口にする苦言
「お前。」
平然と返される言い返せない言葉
「ふぁい…」
何も言い返せず沈む言葉
「さて、この学校では権力というシステムが採用されておりどうして採用されたかは割愛するが、このシステムは大きく3つのパターンで権力の差が決まっている。民意を集めた場合と役職に付与されている場合。まあ、あとは勉学などによって得られるものだな。権力者が暴走しないための措置も色々あるが、ここも割愛しよう。」
「割愛ばっかだなぁ」
はぁっと、またかぁ~という感情を込めて嘆息をもらす。
一応結構重要な権力構造についてなんだけどなぁ~。諦観に頭を支配されるなぁ~。
↓(さらっと無視し平然と講義を続ける三条先生)
「そしてあるのが民意が権力となって出来たが分裂した派閥、役職によって作られる運営。そして、権力保有者。これが弾かれ者などが分けられる分類となる。この3つが権力のほとんどを持つ権力構造の核とも言える部分の者たちだ。権力保有者については前回教えたから良いとして、個人が権力を持つことのできるこの学校について説明をしてから弾かれ者の権力と義務について解説するとしよう」
そして、ホワイトボードに書かれる質問禁止の文字。理不尽!!!
「権力というシステムは、まぁバカどもを縛るシステムに過ぎない。だが、権力が生み出す格差という次の問題として間違いなく出てくることだ、そのことについての学園側に聞いてみた回答の結果は「完璧なシステムで対応します」だった。
このことは、当時嘲笑の的となるはずだったが・・・すぐに認識をくつがえさせられた。学園側曰く守秘義務ということでどうやっているのかは明かしていないが権力の強さ、つまり権力の度合いが示される権力ポイントは対等な者同士のいさかいなどでは変動せず、いじめなどの不祥事ではポイントの変動が見られるという仕組みになっている。しかも、プライバシーまで守るという驚きの機能付きでな。
まぁ、これが学園側が使っている権力システムというものだ。だが、この権力システム内で権力者に上り詰めたものは権力ポイントの程度によって特権が付与される。
この特権のせいというべきなのか、おかげというべきなのか。この学園は特権があることによって社会と学園の融合体のような形で成立している。だから、この学園は間違いなく社会で生き抜く技能を身につけられる場所となった。
それがこの湖群学園という場所だ。そして、弾かれ者というやつは運営として色々なことをする生徒会とも、民意を動かして活動する派閥とも違う、他にはない特権と他にはない特殊な義務を背負っている。
選べない立場の代表例、それが弾かれ者だ。まあ抽象的な解説ではあるがな。」
質問禁止の文字が消される。
「さて、何か質問はあるか?」
「ハイ!つまり弾かれ者ってなんですか!」
一拍の間が置かれる
「…ふむ言ってしまうのであれば職業上特権保持者というのが最適なものだ」
「ハイ!もっと分かりません!」
「阿呆め、今からその仕事の一端に触れるから黙って仕事しろ!」
「嫌ですよ~。私が入学して以来碌な仕事がなかったじゃないですか~。」
「それは準備運動のようなものだ。ここからは弾かれ者としての特権を最大限使って仕事をこなせよ!
全く!歴代で初めてだぞ特権を行使しないで初期任務を完遂させたやつは!」
褒めているのだろうか?それとも呆れられている?
頭に疑問符を浮かべていると表情に出ていたのだろう。ため息をつかれる。
「まあ、これが弾かれ者としての初任務に近いものとなる。さっさと取り掛かれ!」
三条 智樹はいうだけ言って外へ出てしまった。
バタン…だっただろうか扉の音は、、まぁ良い。ぱっぱと仕事終わらせようか。




