北へ...2
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<毎週土曜日掲載>
翌日は一旦宿を引き払い、城塞都市 ラーセの冒険者ギルドへ向かった。
昨日は近づく際に見ただけで、都市のその異様さは肌で感じたが、全体像としては把握出来てない。
ギルドに向かう道すがら、ブレナンから簡単に都市の事を聞いてみた。
◆◇
城塞都市 ラーセ・・・
ヒンダルフィヤ山脈を背に、四面を中央が凹んだVの字型の城壁で囲い、城壁手前は深く大きな堀が掘られ、四方の城門内は二重構造になっていて、仮に敵が城門を破り侵入して来たとしても、容易に内部には侵攻することが出来ない。(上から見たら、歪な星の形かな・・・?)
城壁内部も特徴的な造りとなっていて、城壁と街との間には大きく空間を空けていて、敵の侵攻時の人員・物資の移動が行い易いようにされいるらしい。 また、この空間と街との境目には城壁に沿って、街を囲むように倉庫や兵舎が存在するそうだ。(冒険者ギルドも、この場所に在ると・・・)
各区画は、中央の高台部分に領主館を中心として行政区が、その次に住民が住む住居区と、商業区・宿泊施設等が一体となった区画があって、それらは交互に折り重なるように配置され、さながら迷路の様な造りをしているそうだ。 ブレナンから『迷子になるなよ』、と言われてもねぇ~。
で、街中には大通りが通っておらず、なんとも奇異な円環状構造を形成していると・・・。
こうした構造も万一敵が侵入した際、構造物が邪魔をすることで避難の為の時間稼ぎや、中心部へ容易に侵攻出来ないようにする措置らしい。
でも、そんな構造だと人員や物資の移動と備蓄それに、指示や伝令にも支障をきたすと思うんだけど、その為に城壁近くに兵舎や倉庫が在るので、大通りが無く複雑な構造でもそれらは問題が無くて、中央からは旗や狼煙等で指示が迅速に出ると・・・だから特に問題は無い。 ふっ、ふぅ~ん・・・。
◆◇
っと、そんな話を聞きつつ進むと、冒険者ギルドへと辿り着いた。
中はサロと大差は無く、何処も同じ構造のようだ。 早い時間帯なのに、特に混雑している風は無く、ブレナンが受付へと向かい、受付嬢と一言二言会話を交わすと、別室へと案内されることになった。
部屋に入り座って待っていると、ラーセのギルドマスタが入ってきた。 サロのギルマスと違って、事務方っぽい容姿と、痩せぎすな体型と神経質そうな目をしている。 30台後半かな?老け顔??
礼儀として全員が立ち上がり、マスタが座った後に此方も座りなおす。 ギルマス何か、疲れた顔してるな・・・。
「遠路遥々、すまないな。 ギルドマスタの、キルスタンだ」
「いや。 で、今回の依頼だが・・・」
「ああ、先ずはコレを見て欲しい」
そう言うと、此方に一枚の紙が提示され、内容は巨人族の動向と書いてある。 どうもここ数十日間に山脈近辺で、巨人族の目撃例が増加していることと、併せて山脈内に生息している魔物・獣が平野へ、頻繁に下りて来て被害が出ていること等々が書かれていた。
ざっと読んだ後、ブレナンが話し始めた。
「う~ん。 こりゃぁ山脈の奥で、何か起こってるのか?」
「ふぅ~・・・それが、分からない。 分からないから、逐次対応しかできていない」
「おいおい。 分からないって・・・さすがに、調査はしてるんだろ?」
「ああ、斥候も放ち、他に複数調査を依頼したが・・・その誰もが山脈に入ったきり、今だ帰還せず行方不明となっている」
「んなぁっ! ゆ、行方不明だって?! いったい今まで、何人投入したんだ?」
「・・・そうだな。 此方から出したのは24人だが、勝手に向かったのは分からんから、もっと多いかも知れないな」
「ちょまっ、その数は・・・」
「帰還者が居ない中でなんだが、幸いこの周囲に関しては此処の冒険者と、お前たち同様に依頼を受けて来た者達で、ある程度は討伐も行えているの事で、人への被害自体は少なくて済んでいるのだが、その原因と思われる山脈側の状況が分からず、一時的な何かなのか、災厄の前触れなのか、一切判断がつかず・・・」
「そりゃぁ、なんとも・・・で、もちろん領主側も、動いてるんだよな?」
「当然だ・・・が、状況は此方と同じだ。 で、こんな話の後でだが、調査を依・・・」
「はあっ? 断るっ!」
「っだろう、な・・・一応来た者には、事情を説明したうえで、声がけだけはしている。 そう睨むな・・・見ての通りわたしは事務処理が専門で、荒事にはとんと向いていないのだから」
「あ~、なんだ。 此方こそ、すまない。 事情は大体分かったし、可能なら力にはなりたいが・・・」
「分っている。 強政権は無いし、無理強いもしない」
「調査に行った者が戻っていないうえに、不明な点が多いとなると・・・仲間の命を預かる身として、簡単に決める事はできない事は了解してくれ。 すまないが」
「ああ、まあ、此方としては当面は近隣に出没する、魔物や獣を依頼表から見繕って対応をしてもらえれば十分だ」
「ここまで来たんだ。 勿論、そのつもりだ」
「気が変わったらでいい。 調査の件も、検討はしておいてくれ」
「確約はできないが、一応仲間と相談はしておく」
「では、話は以上だ」
「ああ・・・」
「他に何か、聞きたい事があるか?」
「いや・・・じゃあ、これで」
話し合いと言えるのか、ギルマスとブレナンが話し終え、俺達は部屋を後にし酒場に集まる。
給仕の女性が来たが、断ってブレナンが話しだす。
「あ~、なんだ。 これからの活動だが・・・一先ず、依頼表を確認してくるわ」
立ち上がろうとしたブレナンを、呼び止める声が・・・
「まあ待て、ブレナン」
「ん? オーロフ、どうした?」
「ああ、なんだ。 その、あれだ。 う゛うんっ」
「なんだよ。 珍しく話し掛けたと思ったら、歯切れが悪いな。 どうした?」
「あ~。 みなは調査の件、どう考える?」
「おいおい、明日は吹雪か? 一体全体、どうしたオーロフ」
「あの場でお前は、はっきりと断った・・・が、どうも煮え切らない感じに見えた」
「ああ、まあ・・・そうだなぁ~」
ばつが悪そうに頬をかきながら、出会って以来初めて見る表情をしている。 う~ん。 なんだろな?
「長い付き合いだ。 お前自身は、如何したいんだ?」
「んん~。 そうだなぁ・・・」
「俺達のリーダーは、お前なんだぞ? 今までも多少の間違いや失敗はあっても、お前の判断と俺達の力で潜り抜けてきた」
「まあ、な」
「俺達はお前を信じ、これからも付いて行く。 だから、今回もどうしたい?」
ブレナンが黙って・・・
「・・・あ~、本心を言えば、調査には行ってみたい。 良い悪いは別にしても、未知の事に巡り会う。 冒険者としては、これ以上の事はない!って思うだろ?」
「がはははっ! ああ、そうだなっ! 今までも、そう思ってきた」
「だよな。 でもな、今回だけは駄目だ。 アイノも復帰したばかり、更に今回はジーク達が居る。 これじゃあ、万が一が起こった時、全滅もありえるだろ?」
「うむぅ~・・・」
「まあ、まだ着いたばかりだ。 俺の考えは置いて、焦る必要もないんだ。 暫らくは討伐依頼をこなして、稼ぎを伸ばしながら過ごして、少しでも現状の状況を把握して、問題無ければ皆で調査を受ければいいさ」
「あ~・・・そうか、そうだな。 うん。 分かった。が、分からんっ! がはははっ!」
「おいおい、分かってないのかよ。 この脳筋が・・・」
「まあ、なんにしても、俺達はお前の判断に従う。 よしっ!さあさあ、魔物狩に向かうぞっ! ほれほれっ、早く依頼を見て来いっ!」
「引き止めたのは、お前だろうに・・・ったく」
・・・よく分からないやり取りだけど、とりあえず当面は討伐依頼をこなして、機会があれば全員で調査へ行くことにする。ってことで、ブレナンが手頃な依頼表を受注してから、ギルドを後にしてそのまま外に出た。
馬車での移動中もそうだったけど、城壁外に出ると目の前は一面真っ白な雪景色で、白一色の中に所々灌木と岩が見え隠れしている。 雪も降っていないし、風も吹いていないから、何か現実感に乏しい印象を受ける。 転生前も慰安旅行で、一度だけ北へ行った時しか、こんな景色見た記憶がないや。
街道は馬車の轍や徒歩での旅人の跡が残っているが、俺達は街道から外れ山脈を左方向に見ながら、人の通った後が無い雪原の中を歩き、途中にあった針葉樹(?)の林を右手に迂回しつつ、魔物を探して歩いていた。 周囲を警戒しつつ視線を動かすと、左側の離れた所で岩が動いたように見えた。 皆は気付いてない、のか? まあ、岩が動くはずないし、俺の気のせいと思い歩いて行く。
で、更に歩いてまた左側を見ると、やっぱり岩が動いているように思える。 今歩いてる方向からすると、離れていっているはずなのに、さっきよりも此方に近づいて来ている感じだ。 岩の後ろ側には、引き摺った様な跡が続いてるし、かなり大きいよな・・・あれ。
一応気になるので、後方に居た位置から、ブレナンに相談する為に、皆を追い越して近づく。
「なあ、ブレナン」
「ん? ジークか、後方の警戒はどうした?」
「いやな。 気になる事があって、あの岩なんだが・・・」
「うん? 岩って、どれのことだ?」
「いや、あの左後方の・・・」
指を差そうと振り向くと、先ほどよりも更に近づいていた。 まだ離れているが、俺の身長よりは高いと分かる。
「げぇ~・・・。 岩亀、氷雪岩亀だっ!」
「獲物襲来だっ! 全員止まって、迎撃態勢に入れっ!」
げっ! 亀の魔物って、歩くの早くない? 亀って、遅いんじゃ・・・。
俺とヴィだけが雪に足をとられ、もたもたと隊形を変えるため動く。
正面にオーロフとブレナンが、左右にアイノと俺が、距離をとってスヴェンとヴィが、扇状に広がり迎え撃つ形だ。
「ちっ、前方と林に気を向けすぎた。 面倒くさい奴に、接近を許しちまった。 いいか! とにかく、コイツは硬い。 魔術も弓矢も、効果は薄い。 スヴェンとヴィは離れた場所から、奴の注意を引いてくれ、決して近づいたり、近づかれるんじゃないぞ! 前衛に意識を向けさせるな! 前衛近接組は羅の隙間と、頭部等露出した部分に攻撃を集中しろっ! お前ら、いいなっ!」
「がはははっ! まかせろっ! 殴りがいがあるわ! ふんっ」
「あいよっ!」
「ああっ!」
「はいっ!」
「・・ぁ・」
指示通りにスヴェンとヴィが攻撃範囲外と思われる場所から、氷雪岩亀に対して魔術や弓矢で注意を逸らすべく攻撃を開始する。 スヴェンは炎系の魔術で、小さな火弾を、複数作って相手の注意を引いている。 ヴィも弓矢で、ちょこちょこと・・・あっ、こけた。
意識が他に向いてる間に、オーロフが楯で顔を殴りつけ、ひるんだ隙に追撃の戦槌を叩きつけている。 ブレナンは足の部分へ、両手剣で切るつける。
アイノと俺も側面から後ろに回り、露出している足の部分や、隙間へ剣を滑り込ませる。
だけど、そもそも外皮も硬いうえに、甲羅なんて硬いってもんじゃない。 剣の方が欠けてしまいそうだ。
此方が攻撃しているのに、氷雪岩亀は鬱陶しげに体を揺らし、体当たりしようとしてくる。 それでも、耐え切れなくなったのか、頭や手足を甲羅の中に入れて、岩の塊りのようになった時・・・。
「全員、奴から離れろっ!」
To be continued...
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