港街と教会...1
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<毎週土曜日掲載>
夜が明けて、旅の二日目が始まる。
予定では今日のうちに目的地の、カーリナと言う小さな村に着くはずだ。
日の出と共に、野営地を引き払う。
出発の準備って言っても、焚き火に土を掛け消し、毛布や敷き布を畳むだけだ。
身に付けたものはそのままなので、至って簡単に全てを終えて出発となる。
「ああ、体が痛ぇ~」
ニールが、声を上げている。
まあ、硬い地面で寝たんだから、体は痛くて仕方ないだろうな。
でも、そう言いながら、各自体で解しながら歩く。
荷馬車も動き出したばかり、それ程速度が出ていないので、歩いて付いていけるぐらいだ。
「よしっ! 今日で、目的地に到着だ。 みんな、頑張ろう」
「うぃ~~」
「は、はい」
俺達も頷き、配置に付く。
徐々に荷馬車の速度も上がり、目的地に向かって駆け出していく。
◆◇
出発以降何も無く、順調に旅程を消化し、日暮れ前に目的地へ到着した。
宿は無かったが広場は使ってよいそうで、料金を払って薪と食糧を少し分けてもらった。
大銅貨5枚って、宿泊まれるよ? ま、まあ、これも勉強かな・・・。
それと、井戸は自由に使っていいと言ってもらえ、手持ちの飲み水も少ないので、好意的に使わせて貰えるのは助かった。
土埃で顔も体も汚れていたので、井戸で水を汲んで布で上半身や手足を拭っていく、たったそれだけでも疲労が緩和され、気持ち的にもさっぱりとした。 ローナン、ニールも、習って体を拭いていく。 何故か、フィオナやヴィが、顔を赤くしてたのは分からないが・・・。 何か、指の隙間から見てるし。 ??
その後、フィオナやヴィも手足や顔、首筋を拭いてすっきりしていた。 清潔は、大事だよね?
その日の晩は、見張る必要も無いので、全員でゆっくり休めた。 って、訳にはいかず、今回はフィオナ、ヴィが夜番をする。 で、俺も加わる事にして、 前番のローナンとニールは、休んで貰うことにした。 冒険者な以上、男女で差があってはいけない。 うんうん。
俺? 俺は別に、疲れてないからね。 野外ほど警戒する必要も無いし、夜番と言っても楽なもんでしょ?
◆◇
何事も無く朝を向かえ、野営後を片付けていく。
依頼主のユアン達も起きだして、今日の商売準備に忙しくしていた。 村の広場に馬を外した荷馬車を置き、その横に布を広げて商品を並べていっている。 青空市(?)的な感じかな。 村人も、徐々に集まってきている。
さて、俺達の護衛依頼は昨日で終了しているので、ローナンがその場へ報酬を受け取りに行く。
問題無く報酬を受け取り、これで今回の依頼は達成となった。
此処からは、サロへ帰るだけだが・・・。
「みんな、お疲れ様。 無事に、初の護衛依頼達成だ」
「ああ」
「あ、はい」
「ローナン、いいか? ユアン達はこれから、どうする予定なんだ?」
「あ、えっと、確か今日中に、この先の港街へ移動するはずだ。 どうかしたのか?」
「いや、そうか・・・」
「さあ、サロの街へ帰ろうか」
各々サロの街に戻るため、帰り支度を開始するが・・・ん~、このまま帰るのかぁ。
駄目元で港街へ行かないか、みんなに聞いてみるか。 他の街って、見てみたいし・・・。
「ローナン。 ちょっと、いいか?」
「ん? ジーク、どうかしたか?」
「ああ、いやな。 折角ここまで来たんだから、港街に足を伸ばすって駄目か?」
「えっ? あ、帰らずに、このままか?」
「そうだ。 この機会に行ってみたいが、反対が多ければ、無理にとは言わない」
「ああ、いや、半日程度だから、別に問題は無いだろうけど・・・」
「ニールやフィオナは、どうだ? 断られたとしても、またの機会もあるだろうし・・・」
「ああ? いいんじゃね。 おりゃぁ別に、構わゃぁしねえ」
「えっと、わ、わたしも、いい、かなっと」
「そう、か。 我儘言って、すまないな。 では、全員異論は無い。 と言う事で、構わないか?」
「いいって、言ってんだろ?」
「は、はい」
「う~ん。 ジークには旅の間助けられたし、遠出するにも俺達だけじゃ、まだまだ先になるだろうしな。 よしっ、みんなで行くか!」
「ああ」
「はい!」
うん。 いい奴らで、良かった。
さて、どんな街だろうな? 進展の余り無い情報を、少しでも収集できると良いな。
その後、準備を終えた俺達はカーリナを発って、半日程度先の港街トゥルクへ向けて歩き出した。
急ぎでもないので普通に歩き続けると、日が傾き掛けた頃に丘の上から海が見えた。
沖合いには大小様々な島が見え、入り組んだ入り江を形成しているようだ。
船が行き来するのも遠めにも見え、街もそれなりに大きいことに驚いた。
日も高いうちに街へ辿り着き、街門で手続きを終え入る。 散策するにも荷物を降ろしたいので、近くの宿屋で先に部屋を確保することにした。
宿の名前は”磯の漣亭”、看板には波模様が書いてある。 ふぅ~ん・・・。 やっぱり港街ってことは、海産物が名物なのかな? そういえば、お腹空いてきたな。
「じゅあ、これからは自由行動で、各自散開して夕方再集合しよう。 では、解散!」
ローナンの一言でその場で解散し、各々で街を散策することになった。
当然ヴィと俺は、彼らと別行動だ。 で、所持金を確認、確認っと・・・。
え~、宿代で銀貨1枚が消えたから、残金は『金貨1枚、大銀貨0枚、銀貨8枚、大銅貨9枚、銅貨2枚』だな。 採集でちょっと稼いだ分で、それ程手持ちは減っていないな。 うんうん。
ヴィと連れ立って歩きだし、まずは冒険者ギルドに顔を出してみる。 まあ、この地域での依頼等の確認だ。 街や地域にによって、依頼内容が違うのか、そういったことをね。
で、見てみると基本は同じだが、荷卸や人足等の港街らしいのもあった。 まあ、依頼を受ける訳じゃないので、早々に切り上げて街中の散策を再開する。
で、人に聞いたりしながら散策して分かったんだけど、基本的な区画割りはサロの街と何処も同じみたいだ。
簡単にトゥルクの街の区割りを言うと・・・
サロと同じように北東から南西に向けて、そこそこ川幅の広い川が流れている。 西側から南側にかけては、大きく湾曲した形の港が作られている。 もともと、そういう形をしていたみたいだ。 船着場は空間が大きくとられ、荷卸し等の為にそうしてるみたいだ。 そこかしこと忙しなく、人や物、荷馬車が行きかっている。 色取り取りの魚が、箱や樽から溢れてる。 で、広場を隔てて、倉庫群が軒を連ねている。 倉庫も大きく、さすが港街!って感じ?
北西側は商業区が、東南を行政区、北東が住居区といった感じだ。
素通りした商業区に戻る途中、街の中央付近で教会(?)を見かけた。 最初に立ち寄った村で教えてもらった建物に、何処と無く似ている感じがするんだけど、規模は全然違うな・・・・・・。
ヴィに声を掛け、立ち寄って見る事にした。
石造りの頑丈な建物で、大きさもそれなりだ。 入り口までは広い階段が続き、そこには人の列ができていた。 修道士?らしき人達が、列の整理や話を聞いたりしている。
俺達も列に並び暫らく待つと、やっと中に入ることができた。
中に入ってみると、室内装飾は簡素なんだけど、空気感がなんと言うか静謐で、凛とした感覚が伝わってくる。 奥には数体の像が在り、それは・・・どこかで見た気がしたが、まあ気のせいだろうと思った。
近くに居た人(多分入り口に居た、修道士と同じ?)に、あの像は何なのか聞いてみる事にした。
説明によると・・・
◆◇◆◇
<中央の像> 戦神
片目が無く、手には槍を持ち、黄金の鎧を纏っている。 肩には2羽の鴉がとまり、8本足の馬に跨った男神。(槍はよく分からないらしいけど、鴉は世界を監視し、馬は天地、海を駆けるそうだ)
<その傍らに> 愛と豊穣の女神
薄衣に身を包み、手に果実を持ち、慈愛に満ちた瞳の女神。(果実は、子宝を授ける物らしい)
<手前中央に> 雷神 / 光神
雷神
荒々しく振り乱した髪型で、手に握った槌を振り上げ、雷光を背負った男神。
光神
本を手に持ち、その顔は賢さと優しさに溢れ、光り輝く容姿の男神。(俺的には、陰って見えたけど・・・)
<手前中央左右に> 森獣神 / 司法の神
森獣神
隠者の様な格好で、動物達に囲まれ腰に剣を佩く男神。
司法の神
漆黒の黒衣に身を包み、全てを切り裂く瞳の男神。
◆◇◆◇
って、感じらしい。
何となく複数の神様が居ると思ってたけど、此処に祭られている以外にも居るんだろうか? 突っ立ってる訳にもいかないので、取り合えず周りの人と同じように、片膝を付いて目を瞑り祈りを捧げる。
静かに目を閉じていると、回りの静けさが際立って、耳がキィーンってするよな。
ジッ・・・ジジッ・・・・・・
ん?
ジッ・・・
耳鳴りか?
ギィ・・・ザッ・・・ザザッ・・・・・・
あれ? なんだ? ノイズみたいな・・・・・・。
キィィィィィィィッ・・・・・・・・・・・・
!!? 瞬間、劈く様な音が頭に鳴り響いき、その音で意識が飛びそうになる。 脳味噌を掻き回され、前後の感覚が分からなくなり、吐き気を催してきて・・・そんな中で何かが、深層へと語りかけてきた。(後にヴィから聞いた話では、俺に向けて光の柱が伸びてきていたそうだ)
◆◇
?! 意識を失うと思った次の瞬間、目を開けると其処は先程まで居た教会では無く、霞がかった乳白色をした世界が広がっていた。 感覚はしっかりとあるのに、立っている感じとは違う、どこか浮遊している感じで、止まっているのか進んでいるのか、それすらもよく分からない、まるで白昼夢にでも迷い込んだようだ。
暫らくその空間に佇んで(?)いると、徐々に霞んだ視界が晴れてきた。 そして視界に飛び込んで来たのは、果てが見えない黄金色に光輝く空間だった。
思わず眩しさに目を瞑りそうになるが、そもそも目を開いているのか、自分の状態すらも分からない中、それは視覚として捉える光では無く、脈動する光の波のような、真名の流れ命のように感じられた。
此処はいったい・・・・・・。
『『我らが園に何奴だ』』
『『我らが片腹よ』』
『『我らに災いを齎し者よ』』
男のような、女のような、重なった声が頭に響く。 この声々は、いったい誰なんだ? まるで、権能のようだ。 此処はいったい、何処なんだっ?!
周囲を見回すが、声の主は何処にも居ない。 一切、何も無い。 まるで、”ナニカ”の居た、あの空間みたいだ。
『『質問に答えよ』』
『『忌みし獣が、我らが封を解き、何故此処に居る』』
『『答えよ。答えよ』』
To be continued...
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