初めての依頼...2
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拙い文章力ですが、引き続き書き続けますので、よろしくお願いします。
<毎週土曜日掲載>
依頼達成と継続受注の処理を終えると、受付嬢さんからお願いがあると言われ・・・
「あっ! それと、お願いがあるんですが・・・」
「はい? 何でしょうか?」
「いえ、あのですね・・・」
「今回、薬草採取の依頼の達成と、継続受注をされると言うことで・・・」
「良ければ、今回納品いただいた薬草と一緒に、他の納品物を薬師へ届けてもらえないかと・・・」
「ああ、それ位でしたら・・・そんなに、量がありますか?」
「いえ、それ程は無いので、お願いして良いですか?」
「はい。 場所は、何処でしょうか?」
「良かった~。 地図書きますんで、ちょっと待っててくださいね!」
まあ、今後暫らくはお世話になるんだし、この位は受けても問題無いでしょ!
と、軽く考えてた自分を、後になって後悔した・・・・・・
受付嬢さんから地図を受け取り、裏手に回ると手押し車があり、地図を片手に外壁沿いに商業区の、西の端に近い場所へ向かう。
ガラガラガラガラッ・・・
車を引きながら進むと、薬瓶(?)が描かれた看板があり、地図と見比べるとどうやら、この場所が目的地のようだ。
軒先には色々な植物が吊るされてたり、壷一杯に入って置かれてたりと、雑然とした感じで処狭しとあった。
その前に車を止めて、外から声を掛けてみた。
「あの~、すみません」
「・・・」
「あの~っ!」
「・・・」
「どなたか、いらっしゃいませんか?」
「・・・」
声を掛けても、反応が一切無い。
居ないんだろうか?
もう一度声を掛けようとした時に・・・
「はぁ~~い♪」
妙に間延びした声が、奥のほうから聞こえてきた。
「ちょっと、うんしょっ! まってて、よいしょっ! ください、えいっ! ねぇ♪」
待っていると・・・髪はボサボサで、服もヨレヨレな、背の低い小躯な女性(?)が現れた。
「え~~、お買い上げですかぁ~~♪」
「・・・いえ、ギルドから納品に伺いました」
「ああ~~、そうなんですねぇ~~。 じゃ~あ~、裏に回してもらえますぅ~?」
「あ、はい。 分りました」
ガラガラガラッ・・・
裏手に車を回すと・・・
「じゃ~あ~、此処に下ろしてくれますぅ~~?」
指定されたところは、倉庫のような場所だけど、そこも雑然と物が置かれていた。
まあ、気にすることでもないので、車から品物を下ろしていく。
「っしょ! っと、これで最後です」
「はぁい~~、ありがとぉ~ございますぅ~~~」
「・・・では、俺はこれで失礼します」
用事も済んだんで、立ち去ろうと挨拶すると・・・
「あ~のぉ~~、よろしかったらぁ~~、見学されていかれませんかぁ~~~?」
うん? 見学?
う~ん。 まあ、この後は宿を取って食事して寝るだけだし、依頼で薬草を採取するのに薬師の仕事を見ておいた方が、どう言った物や状態が必要か分るから良いかな?
「ああ、じゃあ。 少しだけ、拝見してもいいですか?」
「わぁ~♪ じゃ~あぁ~~、こちらへ~、どうぞぉ~~~♪」
「あぁ~、自己紹介がぁ~、まだでしたねぇ~~」
「わたしはぁ~、薬師のぉ~、ヒュシャですぅ~~♪」
「あ、俺はジークです」
「はい~♪ ではぁ~~」
そうして案内されたのは、薬の加工を行う工房(?)だ。
此処も道具が散らかっているが、そんな中を進みつつ隅の方へ案内された。
そして、ヒュシャさんが振り向いた瞬間!!
◆◇
「キャハッ♪ はいはいは~~い♪」
「それでは始めましょう~! 薬草から、薬を作ってみよ~~う!」
「うぇ~い♪」
「変身~♪ キラキラキラッ☆」
「薬作りと言えば、やっぱり魔女~~? あはははははっ!」
「それでは早速、作りましょ~ね~♪」
何だ? 何なんだ?! いきなり、このふざけたテンションは・・・・・・
そして、何故着替える! てか、早着替えだな! 一瞬だったぞ!? 魔女娘(?)って・・・
「はい! ヒュシャ先生! よろしくお願いします!」
「よろしい~♪ では、先ず初めに基本の・・・薬草の干し方です! ビシッ!」
一人で話して、一人で返事して、敬礼までしてるぞ・・・ヤバイ、ヤバイ奴だ!!
「まずは、薬草干しよ~♪」
「干すとは、地味なのが来ましたね~・・・・」
「いえいえ! 収穫した薬草は、干せば保存が利きます!」
「地味でも! 大事な作業なんです! ヒュシャ処理は! あっ、下処理は! てへっ♪」
「じゃあ薬草を洗って、泥などの汚れを落として・・・あっ! 成分が水に溶け出さない様、水につけすぎないでね♪」
半眼になって、この光景を見つめる自分が居る・・・
「うんしょ!うんしょ! ゴシゴシ・・・」
「洗い終えたら、このまま丸々干しま~す♪ ある程度まとまった数を縛って、日の当たる場所に吊るして天日干しにしまぁ~~す♪」
「んで、干す物が小さかったり、刻んでから干す場合は、ざる等に敷いてから干しまぁ~~す♪ 虫が着かないようにね~? えっ? わたしに虫って、も~や~だ~♪ チラッ」
あっ、変な汗が背中にポタポタと・・・
「でも~・・・早く乾かしたいならある程度乾いた物を、陶器の大皿なんかに入れて熱しちゃいましょうね~!」
「パイセン♪ 焙煎♪ ばんせん♪ ばんさん♪ かん♪ これで熱して、殺菌する事も・・・でもでもでもね? 薬草の成分が熱で壊れたり精油が蒸発して、有効成分が一緒に飛んでしまう事も・・・注意よ!注~意~♪」
「こ・れ・は、日干しの場合もお・な・じ♪ だ・か・ら、熱で成分を壊したくない時は、日の当たらない場所で陰干よ~~♪ んふっ♪」
ああっ、意識がだんだん遠のいていく・・・
「は~い! わっかりました~~♪ そして! すでに乾燥させた物がこちらに!!」
「まあ! なんて準備が良いの♪ お決まりよね!」
「じゃあ先程干したのは邪魔だから、片付けちゃいましょ~ね~♪」
「スタッフ~♪ スタッフ~~♪ ポイポイッ」
「さっ! じゃあこの乾燥させた物で、簡単な粉薬を作りましょう!」
ちょっと、いや! かなり、逝っちゃってるよ。 この薬師さん・・・ははっ、ははははっ。
「次は、粉薬よ~♪」
「粉薬は~、よく乾燥させた薬草を、すり鉢ですり潰すだけ~よ♪ ね、簡単~~♪」
「でも~、力の要る大変な作業なの~~」
「乙女には、重労働なの~~。 お嫁にいけなくなっちゃう~~。 いやん~~」
「乙女って、もう・・・」
「な・に・か! い・い・ま・し・た?!」
「いえ! なんでもありませんっ! ささっ、続けましょ~よ~~♪」
「おほんっ! だ・け・ど! ゴソゴソ・・・ガタンッ! テケテテッテテェ~ン♪ すり鉢~~♪」
自信満々に某青た○きみたいに、何か出してきたよ・・・ん?
あれって、本で見たことあるけど、薬研って道具じゃなかったけ?
舟形の窪んだ箇所に薬を入れて、円盤状の道具で擦り潰すんだったよな。
「これを使うと、均等に薬剤が潰せて、使いやすいのよ~♪」
「ゴロゴロ・・・ゴリゴリゴリ・・・・・・」
「横にはみ出た薬草は摘まんで、真ん中の溝に寄せて砕いてね!」
「は~い!」
「ゴリゴリ・・・ゴロゴロ・・・ロリロリ・・・チラッ(2回目)」
最後の方、何か違う表現が入ったような・・・ひぃっ! こっち見てる。
いかん! 関わらないぞ! 絶対! 関わらないぞ!
「はい! 乾燥した薬草が、サラサラの粉にぃ~♪」
「えっ! ちょっとお姉さんに、何その粉を嗅がせようとしてるの? いやっ! ダメ! ダメよ~・・・はぁはぁ、はぁ~~ん♪」
「とまあ、粉薬は鼻などの粘膜からや、水と一緒に飲んで使ったりすると、成分を吸収しやすくなるわ♪ 傷口に振り掛けても、血と反応して止血剤にもなるの♪」
「さあ、つ・ぎ・は♪ 浸出液よ~♪ え・き・よ♪」
「うぇ~い♪」
「なんか、○濁してそうですね!」
この世界の薬師が、全てコレじゃないよな・・・
てか、ヒュシャさんて年齢・・・ひぃっ! 何か悪寒が走ったような。
「ムッ! なにかぁ・・・い・い・ま・し・た?」
ギギッ・・・ギギギギギッ・・・
変な音が聞こえながら、顔だけがこっち向いてるんですけど・・・顔の上半分なんて暗く、目が光ってるし、口は三日月になってるよ。
ゴッゴッゴッゴッ・・・・・・!
ヤバイ、否定して穏便に済ませよう!
ひきつった笑顔になりつつ、顔を左右に振って応えておくと・・・
ニパッ♪
「でぇ~♪ まずは蓋のできる鍋を用意します!」
早っ! 戻るの、早っ!
「その中に薬草を入れ熱湯を注ぎ、蓋をして蒸らします~♪ 精油を含んだモノにしたい場合は、少し長めに蒸らします~♪ 蒸発した精油が蓋について、冷やされたら下の液体に落ちるの~~♪ えっ、お姉さんを、落とすって、もう~や~だ~~♪ メッ!よ♪」
「出来たら適当な容器に注いで、網目の物を使って不純物を取り除いてねぇ~~♪」
お、お茶を、淹れてるんだろうか?
「はははははっ!」
「そこの君! そう!君だよ! 君!! お茶を淹れてる・・・そう思ってたわね~」
「ぶっぶぅ~! 違いまぁ~っす!」
「これも立派な、薬草の利用法なのよ~。 でもでも~、この方法だと根っこや根皮や、茎とかから浸出するのには向いてないわぁ~」
「じゃあ先生、そういった物を使いたい時はどうすれば?」
「ずばり! 煎じればいいのよ~!」
「おお! 薬草を煎じろって、よく言いますもんね!」
「うふふふふっ♪」
「煎じる。 じ・るなんて、ぐふっ♪ ぐぇへへへ・・・じゅる♪」
・・・・・・・・・・・・
◆◇
まだまだ続きそうだったので、気付かれないようにそっと、このヤバイ空間を後にしたのだった・・・
そして心に誓うのだった。 あそこに近づいちゃダメと・・・
あの薬師のところを後にして荷車をギルドに返しに行くと、受付嬢さんが申し訳無さそうな顔で、此方を見ていたので軽く手を振っておいた。
アレは、行きたくないわ。 うん! 分るよ・・・あはははっ
翌日・・・
初日に泊まった”若木亭”に再度泊まり、その後は懐にも若干余裕があるので、情報収集を再開するために・・・図書館(?)か魔術書(?)があるか、ギルドで聞いてみることにした。
現在の所持金:大銅貨8枚・銅貨8枚
ギルドに来たのが昼近かったので、中は閑散として直ぐに受付に向かえた。
「こんにちは」
「いらっしゃいませ。 今日は、どうされましたか?」
「いえ、調べ物をしたいのですが、何処か大きな書庫等は、この街に在りますでしょうか?」
「書庫ですか・・・その様なものは街中にはありませんが、ギルド内の資料室兼書庫なら」
「あるんですか!」
「ただ、基本的に職員のみが、利用可能なんです」
「そうですか・・・そうですよね」
「なにか、お知りになりたいことでも?」
「ええまあ、ちょっと調べたいことが・・・」
「・・・では確認してきますので、少しだけお待ちいただますか?」
「えっ! はい! よろしくお願いします!」
やった! まだ分からないけど、ひょっとしたら見せてもらえるかも!
To be continued...
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