初めての依頼...1
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<毎週土曜日掲載>
翌朝・・・
ちょっと寝過ごした感がある中、窓から差し込む日差しで目を覚まし、ベッドからモゾモゾと起きだしていく。
「ふぁ~、うぅ~~っん! っはぁ~」
「さてっと! 初の資金稼ぎに、行くとしますかっ!」
荷物をまとめ、下に降りていく。
女将さんに挨拶し、改めて冒険者ギルドに向かう。
昨日受注した依頼だけど、何だかんだで詳細を確認してなかった。
その辺りを聞きに、改めて受け付けに並ぶ。
入り口横の依頼表は、昨日とは違って沢山貼り出され、そこには冒険者達が群がっていた。
受付も同様で、非常に混雑していた。
やっぱり何処の世界でも、朝方は混むもんなんだな~。
ぼーっと、この光景を見やりつつ待ってると、受付嬢に呼ばれ自分の順番が回ってきた。
「おはようございます。 ご用件は、何でしょうか?」
「ああ、昨日受注したコレなんですが・・・」
昨日受け取った依頼表と、ギルドカードを一緒に提示する。
依頼表は依頼内容と必要数、報酬額のみが書かれていて、詳細に関しては書かれていなかった。
「はい。 このご依頼で、どうかされましたか?」
「え~っと、詳細を聞き忘れたので、それを教えて欲しくて来ました」
「ああ、なるほど・・・では、こちらの用紙をお渡ししますので、内容をよく確認して頑張ってくださいね!」
「はい。 次の方・・・」
さっと用紙を渡され、それを持って受付を離れた。
なんか・・・さっぱりした対応だな~。
それはいいとして、書かれた内容に目を通してみる。
用紙は2枚あって、ひとつは街周辺の簡易な地図が書かれ、もうひとつは植生に関してと、採取対象の特徴と共に、簡易な挿し絵が書かれていた。
まあ、これで何処に向かって行けばよくて、どういった特徴の植物を採取するか、それが分るなら助かるな。
と思って地図を見てると・・・採集場所は其なりに、街から離れることが分かった。
日帰り想定なら、かなり強行軍になりそうだった。
一般の冒険者の歩行速度なら、この程度は許容範囲の距離なのかな?
一応携行食だけでも買出ししようと、手持をみると・・・大銅貨2枚と銅貨3枚と、寂しいものだった。
懐事情は、真剣にヤバイです!
手持ちは少ないが、買出しのために商業区へ向かう。
適当な露店を見つけ、立ち寄ることにした。
「へい。 何を、ご入用で?」
「えっと、これから採集に出るので、日持ちのする食品が欲しいんだけど」
「なら、これでどうです?」
提示されたのは、小ぶりのパニスに、カーセウス一切れと、干し肉5枚を束ねたものだ。
値段はパニスが銅貨3枚、カーセウスが銅貨2枚、干し肉5枚が大銅貨1枚だ。
購入することにして、代金として大銅貨2枚渡して、銅貨5枚のお釣りを受け取る。
手持ちが銅貨8枚・・・
「ありがとさんです。 また、ご贔屓に」
「あっ、水は何処で・・・」
水の入手先も聞いたところ、サービスで補充してくれるそうで、露店横の樽から水筒へ入れてくれた。
ありがとうございます。
さて、準備も出来たので、街門へ向かいましょう!
街門に着くと街を出る人の列に並び、入る人と出る人の波を見つつ待つと・・・
「次のヤツ前へ!」
おっと、呼ばれました。
以外に、早かったな~。
「身分証と目的地、帰る予定があれば日数を・・・うん? お前は、昨日の」
「あっ! 昨日は、お手数をお掛けしました」
「いや、良いのだが・・・もう街を発つのか?」
「いえいえ、冒険者ギルドで身分証を発行したのと、手持ちの資金が心もとないので、今から依頼をこなすために、近隣の森に向かう予定なんです」
「ふむぅ、いつ頃戻る予定だ?」
「ええ、何分初めての事ですから、順調なら今日中と言いたいですが、明日の昼頃を予定したいと思います」
「そうか・・・まあ、なんだ。 気を付けて、行って来いよ?」
「あ、ありがとうございます」
「ああ、それとだな。 冒険者なら入街税は、免除されるからな」
「えっ! そうなんですか!?」
「ああ、街の経済の一端を担ってるのと、緊急時は街の戦力となるからな」
そう言えば、ギルド規約にも書いてたような・・・
「ではな。 次!・・・」
「はい。 失礼します」
門番さんとのやり取りを終えて、街門を潜って待ちの外へ出る。
街道は一直線に北北東に伸びているので、同じように街を出た人々と暫らくは、同じ道程をゆっくりと歩むことになる。
一応目的とする森は、東西南北への街道分岐点から、更に北西に向かった所となる。
街から離れていると言っても、昼前ぐらいには着ける距離だろう。
街を出て直ぐは畑が目の前に広がっていたが、歩き続けていると次第に遠くに森が見えてきた。
丁度昼頃には街道の分岐点に着き、人々も其々の目的地へと別れていった。
自分は西に伸びる街道沿いに、更に歩き続け大分森に近づいた所で、街道から外れて森へ入っていった。
何日ぶりの森だろう・・・入り口付近はそうでもないが、奥に分け入るほどに薄暗い森の中を、目的の薬草を探しつつゆっくり進む。
用紙に書かれているのは・・・
◆◇◆◇
対象:根茎・枝葉
特徴:多数の淡黄色小花が咲き、根茎は肥大した円柱形。
特徴:葉は卵状披針形で先が尖っており、対生で短い柄があり、縁には鋭い鋸歯がある。
特徴:直径2cmほどの白い花にはマールムのような香りがし、成熟するにつれて黄色い中心部が盛り上がり、白い花弁が反り返った形になる。
特徴:樹形は立性・半匍匐性・匍匐性のものがあり、葉は表面は濃い緑色、裏面は銀灰色の肉厚の線形で、葉には刺激のある香りがある。
特徴:青紫の花を咲かせ、葉や花などに独特の甘い香りをもち、葉には細かい毛が生え灰緑色をしている。
特徴:白色の唇状花を咲かせ、長楕円形で柄のある葉は対生し、表面に細かい縮れがある。
特徴:・・・・・・
◆◇◆◇
ってか、多いなっ! 何でもって書いてたけど、コレ要望全部書いてるよね? そうだよね?
はぁ~、まあ探すか・・・
それなりに森の中を歩き回るが、説明書きと挿絵を頼りに探すので、日が暮れ始めるまで探しても、それ程採集は進んまず、種類も適当で何とか10束だ。
街に戻るのには遅いので、予定通り野営することにし、野営出来そうな場所へ移動する。
採取の途中で水場と野営場所は見つけてるので、今から探す手間は省けて助かったよ。ほんとに・・・
それ程時間も掛からずに野営場所に到着し、まずは火熾しを始めることにし薪燃料を集める。
野営場所は森を出た所のUの字をした窪地で、森側を見渡せるので警戒がし易いのと、万が一獣や魔物に襲われた場合対処がし易そうだった。
枯れ枝は薬草採集の際に鞄に入る程度には、集めていたので種火熾しに問題は無いけど、火を長持ちさせる為の大き目の枝木を探そうと、周辺を散策して周ることにする。
ガサガサガサッ・・・ガサガサッ・・・
うん? 何かが、先のほうで動いてる。
音のする方をよく見ると、兎が2羽連れ立っていた。
此方に気付いてもいないし、距離もそれなりに離れていた。
親子かな? なんて、思っていると・・・装身具が淡く光る。
『己が身で戦う力を与えん』
『我らが主よ。 我に求めよ・我に命じろ・我はそれに応え・我はそれに答え』
重なった声々が聴こえ、その中でも『憤怒』が主張してきた。
意識を内に向け、問いかけてみる。
『どうしたんだ?』
『我らが主よ。 武器を構よ』
『我らが主よ。 向かうがよい』
うん? 兎を仕留めようと言うのか?
権能の力は、まだ理解しきれてないので、距離はあるが試してみることにした。
声に従って、携帯してるナイフを構え、兎に向かおうとしたその時!
体中に何かが満ち溢れ、身体の動きとは違い、周りの動きが酷く遅く感じられた。
ただ一歩踏み出した瞬間、離れていた兎は既に目の前に迫っていた。
開けた場所にいたとはいえ、距離はかなり開いていたはずだ・・・
兎はいきなり表れた此方に驚き、硬直しているようだったが、今は逃げようと動き出していた。
でも、それすらも酷く遅いものに感じられ、そして身体は寸分の狂いも無く、兎に向けその切先を伸ばし、何の抵抗を受ける事も無く、1羽を仕留めきっていた。
仕留めた直後・・・間延びした時間から開放され、そこには血塗れた1羽の兎と、もう1羽は既に逃げ去って、見える範囲には居なかった。
はぁっ、ふぅっふぅ~・・・ほぉ~~
「身体強化系か・・・簡単に考えてたけど、この力は戦闘特化としては」
ヤバイやつだ・・・
日も暮れかけ暗くなってきたので、薪集めを終了し獲物を抱え、野営地に引き戻していく。
戻る途中で水場に立ち寄り、獲物の解体と血を洗い流し、水の補給も忘れずしておく。
その日はそのまま携帯食に購入したものと、先程の兎を調理して食べた後は、寝ずの番をしながらも体を休めた。
そして朝日が昇り・・・
野営後を片付けた後、昨日の続きを行うべく、再度森に入っていった。
植生も大体分ってきたようで、昨日ほどは時間を掛ける事もなく、昼過ぎ頃には追加で20束ほど集められ、そこで今回の採集を切り上げることにした。
全部で30束ほどだけど、不慣れなため余りきれいとは言えないな・・・
森から街道に出て街に向かって歩と、街に近づくにつれ街道を行く人が増えてきた。
特に何も無く夕方前には、街門に続く列に並び順番を待つことができた。
「・・・」
「お・・! ・ぎ・・つ!」
「・・・」
「おい! 次のヤツ!」
はっ! また、ぼーっとしてしまった。
「ああ、はい! はい!」
「うん?! また、お前か~・・・ぼーっとせず、早くこっちに来い」
「あっ、すいません。 ははっ」
「無事、帰ってきたんだな」
「はい! 何とか~・・・あははっ」
「まあ、よかった。 ほれ、一応カード出せ」
門番さんにカードを出しつつ、気に掛けてくれてたのかな? なんて思ってしまったよ。 ははっ
「よし! 通っていいぞ!」
「ありがとうございます」
「また依頼を受けるだろうが、無理はせず無事に戻ってくるんだぞ?」
「え? ああ、はい。 気を付けます」
「ああ、新人冒険者は、戻ってこない事が多いからな・・・」
「え? 何か言いま・・・」
「ああ! 後が閊えるんだから、さあさあ! 早く入った! 入った!」
追い立てるように中に入れられ、街門を潜って街に入っていく。
あれ? 何で機嫌が悪くなったんだ? 何か余計なこと言ったかな? う~ん・・・
まあ、考えても仕方が無いので、依頼報告の為にギルドに向かって歩く。
夕方前のせいか混雑はしていないので、空いてる窓口に並ぶ・・・
「あの~・・・」
「はい。 ああ、ジークさん?ですよね」
「あの、名前って・・・」
「ああ、昨日受付したの私なんです。 覚えてないですか?」
「す、すいません。 覚えてないです・・・」
「いいんですよ。 それで初の依頼、終えたんですね?」
「無事のお帰りと、達成おめでとうございます」
「あ、ありがとうございます」
「では、精算しますので依頼品を、カウンターに出してください」
束にした依頼品の薬草を、カウンターに出して置いていく。
「はい。 確かに」
「では、依頼品の状態と報酬額の、計算が終わるまで少しお待ちくださいね」
そう言うと、薬草の束を持って、奥に引っ込んでいった。
待ってる間に貼り出された他の依頼を、色々と物色していると・・・
「・・クさん!」
「・-クさん!」
「ジークさん! 終わりましたよ!」
おっと、呼ばれた。
「随分熱心に、依頼をご覧になってましたね?」
「ああ、すみません」
「いえ、大事な事です。 では、報酬の方ですが・・・」
「状態の悪いものが6束ほどありましたので、達成としては24束が対象となります」
「ですので、報酬額は銅貨120枚となります」
「大銅貨12枚でのお渡しで、問題ないでしょうか?」
「ええ、はい! 十分です!」
「ふふっ、では此方を・・・」
カウンターに、布袋に入れて報酬が出される。
受け取って、ついつい見つめていると・・・
「次の依頼は、受けられますか?」
「えっと、この依頼って、継続受注は可能ですか?」
「え? ああ、はい。 可能ですよ」
「じゅあ、このまま暫らく続けます」
「そうですか・・・では、その様に手続きしますね」
「後、功績ですがジークさんは、”Ⅶ:セプテム”ですので、今回の達成数で2が付きます」
「達成数100で、次の”Ⅵ:セクス”に昇格するので、どんどん頑張ってくださいね!」
「あっ! それと、お願いがあるんですが・・・」
「はい? 何でしょうか?」
「いえ、あのですね・・・」
To be continued...
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