4.5日目side?もう誰にも会いたくない
読んでくれてる人は、ありがとうございます!
その日、私は生まれ育った村から飛び出した。
村の周りは獣道程の小さくて道という道は無く、時折足に引っかかる木の根に躓き、転びながら。
走る、走る。
痛い、疲れた、辛い。そんな言葉を投げ捨て、顔が泥だらけになっても涙が浮かんできても私はひたすら、走り続けた。
私の村は外部との関係を絶ったある貴族の領地だった。
もっとも私に教えてくれたのは産みの親ではなく、村からちょっと離れた所にある家。そこに住むお婆ちゃん。
時折不思議な話をするけれど、それが村とは違った話で興味を持った。私の特異な事も受け止めて、突き放さないでお喋りをしてくれた。
その時、その時間は私は私でいられた。笑う事も、泣く事も……夢を見る事も。私が生きてるんだって実感が出来る時間。
そして別れは突然にやってきた。
焼かれてた、家が、お婆ちゃんが、笑顔が、全てが……。
私は立ち尽くし、何も考えられなくなる。
ふと、お婆ちゃんがよくする遊びに似た。よくしてくれた、かくれんぼで大事な場所があると言っていた所を思い出す。
そこにいるかもしれない。
それだけを思い、私はその場所へ走る。
家の離れ、祠と呼ばれた場所がある。洞窟の様に深く暗い場所に灯を灯して作られたらしい。
しかし、そこにも無残にも荒らされた形跡もあり、私は居て欲しいと泣きながらも瓦礫をどかして進む。
一番奥の無事な祠、そこに置き手紙があった。
『これを読んだら、すぐこの場から離れなさい。追っ手はお前をも探しておる。祠を出て左の道を真っ直ぐ、その先に力になってくれる魔物がおる。その者は、元人間の……』
そこで途切れていた。
その側には血の跡と、引きずられた様な線が出来ていた。
私はそれだけでも何があったかが分かってしまった。多分殺されてしまったのだろうという事も、もうあの顔を見る事が出来無いと。
そう思うと涙が乾いた頬に、また大粒の涙が流れる。
私は手紙を握り締め、元の道を戻る。瓦礫が足を掠め血が滲み。痛みがあっても進んだ。
祠を出ると周りを囲む森から複数人の声、そして松明の光だった。
逃げる様に私は、左に走り出す。あの手紙が誰の事で、何故そんな事が書いてあったのかは謎だったけど。
今の私は逃げるしかなかった。
そうして、私は当てもなく方向がどっちかも分からなくもなるが、最初の向かった方角だけをただただ進んだ。
幸いにも人の声は聞こえなくなり、穏やかな空気を吸うくらいには楽になれた。
立ち止まったのも束の間、周りの木々が揺れる。
そこから出てきたのは、複数の大型の魔物だった。それぞれ獲物を捕らえる構えの様に、私の周りを囲み。凶暴な口から唾液が垂れるのを見て恐怖を感じ、その場に尻餅を付いてしまう。
だれか助けて、そう声を出そうにも声には出ない。
それでも私は、後退りながらも何度も何度も。
誰か助けて
と声にならない声で叫んだ。
もう駄目と、目を閉じる。
しかし、次に飛んで来たのは、言葉でした。
『まぁなんだ、落ち着け』
目を開け、そこにいる者を確認すると、そこには。本で見たスライムですが、異色と言っていい程見た事のない黒色のスライムが眼前に移り。背筋が更にざわつく。
しかし、続く言葉はそのスライムから発せられてました。誰かと会話をしている様です。
そこから驚きの連続で想像を超え、何が起きているかも分からず。ただ自分に当たらないか震える事しか出来ずにいました。
終わった直後、そのスライムは
『元気は出して欲しいな、まぁ俺から出来ることなんて無いけどな』
と言って、警戒もせずに眠りに付いてしまいました。
私はその様子を少し優しさを感じて、助けてくれたスライムを膝に乗せ。
身体は冷たいですが、温かみがありました。眠っているせいかトサカが上下していて、つい突き刺さっている棒を横に置いて優しく撫でました。
すると少しくすぐったそうに、身をよじる姿は不意に可愛いとも思いました。
そうする頃には私にはあの時の緊張から、解けて同じ様に眠りこけました。




