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5日目異端の少女2

 気持ち良い感触の中、日差しに照らされて俺は目覚めた。


 それとは裏腹に荒い息遣いする声がする。その声の主は辛そうだ。周りを見渡し、俺は助けたその子の膝の上にいる事に気づく。

 しかし、その事実に慌てるよりも先に視界に映ったのは、呻き声を上げて苦しむ彼女の姿。


 恐らく夕暮れ近い時間だった筈、そこから朝までとなると相当な時間が経っている。魔物に襲われなかった事も奇跡に近いが……服というにはボロボロ、切れ端を繋いだ服か捨ててあった服の方が良いと思える程。それで朝まで外で、焚火ひとつ無い外で野宿というのには無謀だ。

 加えて、裸足で何処からか逃げてきたのだろうか、手足に傷が付き、血まで出ている箇所もある。


 このままでは彼女が危ない


 しかし、自分に助ける資格があるのだろうか。

 俺は悩んだ。いや、違う……魔物になったあの日から、数年前からずっと悩み続けている。

 自分が人でなくなった時、魔王に問われた。


『お前は人と出会った時、そいつを食べられるか。倒せるか、殺せるか?それとも自分の情で助けるのか?』


 俺はその時答えられなかった。まだ答えを出さなくても良いだろう、その時考えれば良いだろうとばかり思った。結局、その場に立ってみれば何も出来ずに立ち尽くす。

 眠る前だって助けた、けどそれで良いのだろうか。自分が助けたいから助ける。そうやって生きてきた時もある。

 人間を止め、魔物になりきれず、人を襲うよりも襲われる人間を助けた。1人で旅をしたかったのは、まだ俺が何にもなれないからだ。それは人間であっても、今のスライムという体であっても変わりない。


 だけれど、俺が助けたいと思ったのだからそれで良いじゃないか!後悔はあるかもしれない、この先この事でまた悩む事もあるかもしれない。その時また悩めばいい、人じゃない魔物じゃないなんて関係無い。そうしたいからだ。


 ……本当は立ち去るべきなんだろう。だけど、俺は見捨てるなんて出来ない!



 決意は変わっても、状況が変わるわけでは無い。すぐに行動を起こさないと行けなかった。

 魔王城近くの森の情報は分かっている。薬草から水溜りの場所まで。しかし、移動手段が跳ねるしかない。往復してしまえば夜が来てしまう。その間に彼女が襲われないとも限らない。


 勢いだけで行こうとする俺の上空、日差しを遮った何羽もの鴉が降り立った。


 カァ

『これはこれはシガラミ殿、旅は順調ですかな。おや、そちらの方は……なるほど』


 ピキッ

『クラマのおじちゃん!?そっか巡回ルートの中に居たのか。それで……何か知ってるのか』


 カァカァ

『人の村で処刑を行われている姿の中、1つ十字が空いてまして、また1人を必死に探す村人が居ましてもしや、と思った訳です。まぁその村は魔王様の決定の他、潰すと決めましたが。もしかしてそこに御用でしたかな』


 ピキキ

『いや、熱を出しているからどうしようかと考えていた。だけど何時もはそこまで干渉しないのにそこまでするなんて、何があったんだ?』


 カァー!

『先日、我が治癒術の専門クライヤマ様があの村にて捕まり、処刑を行ったのです!残存する魔力は少なく、複数に囲まれればなす術も無い程弱まっている中、抵抗もしてないのに殺してしまうなど、村1つでは怒りが収まりません!』


 その後、暴れたてる翼を抑え一息吐くとクラマおじちゃんは取り乱したと添えた。

 クライヤマさんが……。しかし、あそこの村は友好は少しあった筈、何があったのだろうか。


 っとこんな事を気にしている場合ではない。猫の手でも、恩人の手も借りたいほどだ。ダメ元で頼むしかない。


 ピキッ

『少し、時間があるなら頼みたい。この子を治す為の薬草と水を頼めないか?』


 カァ……

『構いませんが……しかし、良いのですか?起きてしまえば命も危ないのでは?』


 ピキキッ

『この子にそんな力は無いし、もし俺に何かあっても自業自得と魔王にも伝えてくれ』


 分かりました、と周りにいる鴉に指示を出す。

 クラマは残り、俺と面と向かって喋り出した。


 カァ

『魔王様の問いには答えが出たのですかな』


 ピキッ

『分からない。だけど、自分のしたい事をする。それが人間だろうと魔物だろうと関係無い。悩んでしまうだろうけど、悪い事じゃない。俺は悩みながらも旅がしたいから』


 カァー

『私も昔、そうやって大空を飛び回った時期もありました。この老骨、魔王様へ誓わなければ、今も変わらず太陽の指す影となったでしょう。その先に答えがある事を』


 そんな話をしていると、周りに鴉がそれぞれの物を口に咥えて降り立った。

 返答に少し時間が掛かったとはいえ、短時間過ぎる仕事。速い、場所さえあれば、なんて言うけど大空で飛べるのは大きいな。と改めて思った。


 カァ

『では私達はこれで、貴方の旅路に答えがある事を』


 その場に留まっていた複数の黒い影は太陽に向かって昇り、向かい先へ影を移動させた。


 これで何とか応急的な処置は出来るかもしれない。

 ……手が無いのにどうやって、薬草とか水とかやれば良いんだろう。


 クラマのおじちゃんにはもう頼めないし、薬草を噛み砕いて塗り塗りしたり水を与えるくらいなんとかしないとな。

 ぴょんぴょん跳ね、やる気を出して彼女を救う事にした。

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