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空の彼方に  作者: しまねこ


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回復と戻ってくる日常

「ルリさん、退院したんだね!」

「良かった。もう痛くないのかい?」

「ルリさん、おかえり!」

「もう大丈夫なのかい? 無理は駄目だよ!」

 グレイさん達やリッティ達と一緒に歩いてホームの庭まで帰ってきたところで、私に気が付いた人達が何人も文字通り飛んできてくれた。

 特に年配の人達は、元気になって戻ってきた私を見て泣かんばかりに大歓迎してくれた。

 中には本当に泣き出した人もいて、もうどれだけ皆に心配をかけていたのかが分かって、私はひたすら何度も謝ったりお礼を言ったりしたわ。

 そのまま女性専用の建物の前でグレイさん達やチムニーと別れ、リッティとチムタム、それから来てくれた大勢の女性達と一緒に建物の中にある集会所と呼んでいる広い部屋に集まる。

 そして当然のように私の退院をお祝いする会という名のお茶会が始まり、そのままそこで、皆が用意してくれたお菓子やお茶を美味しくいただいたわ。

 ここでお酒が出なかったのは、まだ午前中だった事とチムタム達のように未成年の女の子達も大勢集まってくれたからね。



「わあい、ルリ姉さんが帰ってきた!」

「おかえり! ルリ姉さん!」

「ルリ姉さん! おかえりなさい!」

「ルリ姉さんが帰ってきた〜〜〜!」

「元気に笑ってる〜〜〜!」

「おかえりなさい!」

 お茶会も終わって少し部屋で休んでから、リッティ達と一緒に昼食をいただきに久しぶりに食堂へ行ったらここでも子供達に大歓迎されたわ。

 ほぼ全員が私のところへ駆け寄ってきて、泣かんばかりに口々にそう言いながら抱きついてくる。

 私も、一人ずつ名前を呼んでは抱きしめたり頭を撫でたりして、心配かけてごめんねと言って泣き笑いになっていたわ。

 ようやく騒ぎも落ち着いたところで護衛役の子達や年長の子達にも笑顔でおかえりと言われて、ここでも一人ずつ握手をしたり抱き合ったりして泣き笑いになっていたのでした。

 ここでようやく食事が配られたんだけど、今の騒ぎでかなりの時間が過ぎてしまっていたらしく、大慌ての食事時間になって皆で笑い合ったわ。

 聞けば私が入院している間、子供達が集めた収穫物を運ぶのはかなり大変だったらしく、早く元気になって一緒に採取行こうねと言われて、また謝った私だった。



 ちなみに、聞いた話によると私が流砂に飲み込まれたあの森は、今は広範囲にわたって立ち入り禁止区域になっているんだって。

 もちろん私が落ちたあの場所は流砂を止める処置がなされているし、その後に流砂の発生は確認されていないらしいんだけど、今まで一度もなかった森の中での流砂の発生という事で、あの森を中心に周囲の地面を徹底的に調べてくれているんだって。

 でもあれからひと月近く経っているので、そろそろ解放されるんじゃあないかとも言われているんだって。

 まあ、体の小さな子供があの流砂に飲み込まれたら、最悪の場合には命の危険もあるだろうから、そこは徹底的に調べて欲しいものね。

 そして、私が入院していたひと月の間に、チムニー達の翼は綺麗な羽が生え揃いもう飛べるようになるのもすぐだろうと聞かされ、ここでもどうやら賭けは私の負けになりそうで思わず笑ってしまったわ。

 ううん、賭けに負けるのがこんなに嬉しいなんて、本当に知らなかったわね。



 翌日、念の為にもう一度診察に来るように言われていたので診療所へ向かいミルキー先生に診てもらった結果、自室でとりあえず一週間養生するように指示されたのでした。

 ううん、すぐに採取に行くつもりだったけど、残念。

 でも、確かにまだまだ体力は最低だし、今行ってもきっと途中で倒れて迷惑をかけるだろうから、ここは大人しくしておくべきよね。

 それに、入院中は翼を伸ばす訓練も止めていたので、きっとまた一から訓練しないと駄目だろうね。

 そう思って部屋で大人しく寝ていたんだけど、もう退屈過ぎて寝ているのは二日で飽きてしまい、パムにお願いして留守番組の人達の仲間に入れてもらって座っていても出来る仕事をさせてくださいとお願いした結果、下手ではあるけれどお裁縫を手伝ったり機織りをやらせてもらったり、時には料理担当の人にお願いして芋の皮剥きやゆで卵の殻剥きなんかを手伝わせてもらったりして過ごした。

 どこでもとても上手だと褒めてくれて、いつでもこっちに来てくれていいんだからねと真顔で言われてしまい、社交辞令と分かっていてもなんだか嬉しくなった私だったわ。



 そして、ようやくもう大丈夫だろうとの事で養生期間は終了となり、また子供達と一緒に採取に出掛けるようになったのでした。

 子供達はご機嫌で私と手を繋いで歌を歌いながら歩き、私も久しぶりに聞く子供達の元気な歌声に、密かに感動して涙ぐんでいたわ。

 本当に生きて戻ってこられて良かった。

 助けてくれたタルカムさんにも何かお礼をしたい。

 そうだ。今度グレイさんに会ったら、野良のタルカムさんに何を贈るのが良いのか、その辺りの事も聞いておこう。

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