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空の彼方に  作者: しまねこ


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お出かけ日和

「それじゃあ行きましょうか」

 準備が出来て全員揃ったところで、笑顔で頷き合った私達はそのまま外へと出ていったわ。

「ううん、今日もいいお天気ね。ほら、見える?」

 綺麗に晴れた瑠璃色の空を見上げて思わずそう呟き、スリングで抱いているヴァナに話しかける。

「うぁう〜〜〜〜〜〜〜」

 抱いているのでちょうど空を見上げる体勢になっていたヴァナが、ご機嫌に笑いながら声を上げてまるで空を掴もうとするかのように腕を伸ばした。

「お空も雲も掴めないわよ。でも、そうしたくなる気持ちは分かる気がするわね」

 笑って伸ばした手を掴んでやると、ご機嫌で笑いながら私の指を握りしめてきた。

 小さい手なのに、驚くくらいに握る力が強くて毎回驚かされるわ。

「じゃあ行くわね。少し揺れますよ〜〜」

 もう片方の手でヴァナをしっかりと支えつつ、翼を広げた私は思いっきり地面を蹴って飛び上がった。

 そのままふわりと体が浮いて水平飛行に移る。

 あんなに飛べなかったのが嘘みたいに、今の私は軽々と飛ぶ事が出来る。

 でも以前と違うのは、これを当たり前とは思わず、いつも飛べるという事に感謝している。

 ここへ連れて来てくれた、神様っぽい聖なるドラゴンの皆様にも本当に感謝しているわ。

「あまり遠くへは行かずに、南側の林の奥にある草原へ行こうか。あそこなら安全だし、お弁当を広げるならうってつけだろうからな」

 すぐ横を飛んでいるグレイさんの言葉に頷き、私達はゆっくりとホームの上を数度旋回してから草原目指して飛んで行ったわ。



 私達と並んで少し離れたところをチムタムと一緒に飛んでいるチムニーも、今ではすっかり安定して上手に飛べるようになっている。

 それにもう、身長でも翼の大きさでも完全に私は負けているわ。何しろ真正面に立つと、完全に見下ろされているくらいに身長差があるのよね。

 初めて会った頃の小さかったチムニーを思い出すと、ちょっと驚くくらいのもの凄い成長っぷりよね。

 ちなみに、初めて会った頃にちょっと私より大きいくらいだったチムタムも、すでに私を見下ろすくらいの身長になっているし、もちろん翼の大きさだって私とは比べ物にならないくらいに大きくてしっかりしている。

 チムタムとチムニーは、タイハクオウムだから二人とも真っ白で綺麗な翼よ。



「おや、先客がいるな。しかも複数だぞ」

 草原が見えて来たところで、笑ったグレイさんがそう言って草原を指差す。

 見ると、家族連れと思われるご家族のグループが草原に来ていて、大きなテントの横に敷布を広げている真っ最中だった。

「ああ、カーディ達がいるぞ。それにあっちにいるのは狩猟組のディラン達だな」

 グレイさんの目は、私よりもかなり良いので、誰なのか分かったみたい。

 ちなみにカーディさんは、家族棟に住んでいる同じ階のご近所さんで、三歳と五歳の男の子がいる、いわば子育ての大先輩。

 コノハズクというフクロウの翼を持つ大柄な一家。

 旦那さんがカーディーさんで、奥さんはリサさん。三歳の子がマイキー君で、五歳の子がハモン君。子供達はやんちゃだけど、ヴァナやフレイにはとても優しく接してくれる頼もしい先輩達。

 それから、グレイさんと同じく育児休暇中のディランさんも、家族棟のすぐ上の階に住むご近所さん。

 大鷲の翼を持つ、こちらも大柄な一家で奥さんはニーナさん。留守番組にいるお裁縫の達人よ。

 私よりも三ヶ月先に生まれた女の子と、五歳になる男の子がいる。女の子の名前はクララちゃん、男の子はローラント君。

 ローラント君はちょっと大人しめで、マイキー君やハモン君が大暴れしていると、一緒に遊びつつもちょっと引き気味みたい。彼は、どちらかというとおもちゃで遊んだり歌を歌ったりするのが好きみたい。

 ちなみに、三人とも採取組ではあるのだけど私達とは班が違うので、採取に行く際に手を繋いで歌を歌ったりした事は何度もあるけれど、一緒に採取をした事は無いのよね。

 皆仲良しで、時々どこかの家に集まって遊んだりもしているわ。



「おやおや、グレイじゃないか。これまた大人数でのお越しだな。お出かけ日和だし、皆、考えている事は同じだったみたいだな」

 顔を上げたディランさんが、こっちに向かって手を振りながらそう言って笑っている。

「なんだ。お前達も誘って一緒に来たんじゃあないのか?」

 ふわりと地面に降り立ったグレイさんの言葉に、ディランさんが笑って首を振る。

「俺達が来た時には、すでにカーディー達が来ていてテントを立てている真っ最中だったんだよ。それで、せっかくだから一緒に遊ぼうって事になって、俺達もテントを立ててから昼寝用の敷布を敷いていたところだよ。テントを立てるなら手伝うぞ」

「おう、ぜひよろしく頼むよ」

 笑ったグレイさんの言葉に、カーディーさんも来てくれて笑顔で挨拶を交わし、あっという間に男性陣がテントを張って、横に敷布を敷いてくれた。

 子供達は笑顔で集まってきて、収納して持って来ていたカゴに入れたヴァナとフレイの面倒を見てくれているわ。

 もうそのあとは、元気に歓声を上げて草原を走り回る子供達を見ながらのんびりと過ごし、お弁当もおかずの交換会なんかもしつつ、美味しくいただいたのでした。

 そのあとは交代で昼寝をしつつ、久しぶりの郊外でのんびりした時間を過ごしたのでした。



 本当に、こんなに幸せでいいのかって思うくらいに、毎日が幸せだわ。

 ヴァナとフレイの眠るカゴの横で、そんな事を考えつつ私もちょっとだけお昼寝させてもらったのでした。

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