育ての日々と夜泣き対策
本当に、毎日が夢のように過ぎていくわ。
無事に二人の赤ちゃんを授かった私とグレイさんは、もう毎日必死になって子育てに励んでいた。
でも、自称保護者の会の皆様方は、本当に言葉通りに授乳以外の全部を手伝ってくれるし、育児休暇中のグレイさんもずっと側にいてくれるので、何があっても安心していられる。
毎朝目を覚ますたびに、こんなに幸せで良いのかと不安になるくらいに幸せで充実した毎日を過ごしているわ。
子供達は順調すぎるくらい順調にスクスクと成長していて、もうハイハイし始めるのもすぐだと思うわ。
ちなみに一歳くらいまでは背中の翼は本当に小さいままなので、背中に大きな翼がある私達では出来ない仰向けに寝るのも大丈夫。オムツの交換なんかをする時には、仰向けにしないといけないからこれは助かるわ。
もちろん、ここには紙おむつなんて便利なものは無いから、当然全て使うのは布製のオムツ。
大量に用意されたこれの洗濯も、毎日交代で来てくれる自称保護者の会のお姉様方がほぼやってくれるので、もう感謝しかないわ。
正直言って、双子の子育てなのにこんなに楽して良いのかと思うくらいに楽させてもらっているわ。
もちろん夜は私とグレイさんしかいないので夜泣きした時は大変だけど、でも朝になれば頼もしい助っ人がお手伝いに来てくれるって分かっているから、ある意味覚悟して夜通し面倒を見る事だって出来る。
しかも、一人が泣き出すとおとなしく寝ていたはずのもう片方までがつられて泣き出すので、夜泣きの時にはいつも二人とも起きているわ。
「それにしても元気な泣き声だなあ。なあ、そろそろ寝てくれても良いんだぞ」
その夜も、ぐずって寝てくれない二人を抱いて部屋の中を歩き回りながら、苦笑いしたグレイさんが腕の中のフレイを揺らしながらそう話しかけている。
「本当よね。ねえ、夜は寝るものなんだけどなあ。そろそろ寝てくれると嬉しいんだけど、どう?」
私も苦笑いしながら、まだまだぐずっている腕の中のヴァナに話しかける。
ヴァナディスは、今ではヴァナが愛称としてすっかり定着している。確かに、その方が呼びやすいわね。
フレイの方は、そのままフレイと呼ばれているわ。
「ちょっと外の空気を吸ってこようか」
まだぐずり続けているフレイを見て、苦笑いしたグレイさんがそう言って一旦フレイをベッドに戻した。
当然盛大に泣き始めるフレイと、せっかく少し落ち着き始めていたのに、またそれに釣られて泣き始めてしまうヴァナ。
「そうね。いっそ気分転換するのも良いかも」
苦笑いした私も、泣いているヴァナをフレイの横に並べて置く。
もっと盛大に泣き始める二人に内心謝りつつ、大急ぎでパジャマからいつもの服に着替える。
「ほらおいで。ちょっとお外へ行こうか」
大きな布を手にしたグレイさんが、まだ泣いているフレイを抱き上げ手早くその布でフレイを包む。
これはスリングと呼ばれる即席の抱っこ紐。というか抱っこ布。これは確かに便利よ。
もうすっかり慣れた仕草でフレイを包んで抱っこしてくれるグレイさんを横目に見つつ、私も同じく持ってきた布でヴァナを包んで抱っこしてやる。
「じゃあ、行こうか」
「そうね。夜間飛行も楽しいわ」
グレイさんの言葉に私も笑ってそう言い、それぞれ赤ちゃんを抱いたまま外へ出る。
そのまま庭に出て、二人揃って空へと舞い上がっていった。
「ううん、夜は少し冷えるわね。大丈夫? 寒くないですか〜?」
ホームの上空をゆっくりと旋回しつつスリングに包まれたヴァナにそう話しかけると、すっかり機嫌を直したらしいヴァナの笑い声が返ってきた。
グレイさんが抱いているフレイも、先ほどから声を上げて大喜びしているから機嫌は直ったみたいね。
泣き止まなかったりぐずって眠ってくれなかったりした時、こうやって抱いて空を飛んであげると本当に一気に機嫌が直るのよ。
まだこんな小さい赤ちゃんなのに、空を飛ぶ快適さが分かるのかしらね?
昼間なら、もう少し上空まで行ったり近くの森の上空まで行ったりもするんだけど、さすがにこれだけ真っ暗だとホームの上空以外は怖いから遠くには行かないわ。
のんびりとホームの上空を旋回しつつ、明日、お天気だったら子供達を連れて来てくれたお姉様達と一緒に遊覧飛行するのも良いかも、なんて考えていた私だったわ。




