新しいカゴと大きくなった卵達
毎日が本当にあっという間に過ぎていくわ。
生まれたばかりの時に直径10センチくらいしかなかった小さな卵は、すくすくと成長して四ヶ月を過ぎた今はもうバスケットボールよりも大きいくらいで、多分直径30センチくらいにまで育っている。一応、卵の形は楕円形なので縦にはもっと大きいわ。
そして、ここに来て明らかに二つの卵のサイズが変わってきた。
グレイさんは、そんな卵達を見ては、これは間違いなく男女の双子だなと言って嬉しそうに笑っている。
毎朝、子供達を引き連れて来てくれるチムタムとチムニーも、こっちは男の子でこっちは女の子、なんて言いながら、毎日嬉しそうに卵を撫でてくれるわ。
もちろん、子供達も嬉しそうに自分と同性の方の卵を主に撫でてくれている。
一緒に遊ぼうね。一緒に飛ぼうねと優しく卵に話しかけてくれる子供達が愛おしくて、毎回密かに悶絶している私だったわ、
年配のお姉様達は、昼間に交代で来てくれるので、一緒に部屋で食事をする事もある。
彼女達も、経験上大きい卵からは男の子が、小さい卵からは女の子が生まれると言っていたので、どうやらこの子達が男女の双子である事はほぼ確定事項みたいね。
男女の双子なんて、どうやって子育てしたらいいのかしら。
間もなく始まるであろう激動の子育てを思って、割と本気で遠い目になる私だったわ。
「ルリ〜〜新しいカゴ、用意したからこれからはこっちを使ってね!」
その日、採取はお休みだったらしく昼前くらいにチムタムと彼女の友達が一緒に訪ねて来てくれた。
チムタムの手にあるのは、今使っているのよりもかなり大きめのカゴで、こちらにも何本ものリボンがくくりつけられている。
「ええ、カゴを変えるの?」
彼女達に椅子を進めながら驚いてそう言った私は、テーブルの上に置かれた大きなカゴを見た。
「だって、もうあれだけ卵が大きくなったら、今のカゴでは危ないでしょう?」
笑ったチムタムが、椅子には座らずに卵の入ったカゴの横へ行って床に直接座る。
そして手を伸ばして、卵を優しく撫でてくれた。
「今使っているカゴは、お世話をする時の予備に置いておいてね」
「赤ちゃんが生まれたらカゴには持ち手をつけてあげるから、そうすれば持ち運び用のベッドとして使えるからね」
彼女の友達達も、口々にそう言って卵の入ったカゴの周りに座り、交代で卵を撫でてくれた。
「確かに、ちょっと窮屈になって来ていたからね。また素敵なカゴをありがとう。じゃあ、入れ替えてあげればいいのかしら?」
彼女達の肩越しに卵を見ながらそう言うと、チムタム達は笑って首を振った。
「それはグレイさんと一緒にしてあげてね。カゴを替えるのは、ご両親の役目だから」
「そうそう。ご迷惑でなければ、グレイさんがお帰りになるまで待たせてください。出来ればカゴを替えるのは見届けたい!」
「良いですか?」
最後は全員揃っての言葉で、思わず笑っちゃったわ。
どうやら、これも私は知らないけどそういう慣習みたい。
「もちろん構わないわ。なんなら、手持ちの料理を出すから一緒に夕食なんてどう?」
「ぜひお願いしま〜〜す!」
これまた綺麗に揃った返事に、顔を見合わせた私達は揃って吹き出したのでした。
日が暮れた頃、グレイさんが返ってきて、チムタム達を見てちょっと驚いていた。
彼女達が新しいカゴを持って来てくれた事や、夕食にお誘いした事を話すと一気に笑顔になって頷いてくれた。
それで着替えて来たグレイさんと一緒に、チムタム達が見守ってくれる中、早速卵達を新しいカゴに入れ替えたわ。
もちろん、新しいカゴには新しいクッションや毛布が入っていて、並んだ二つの卵は居心地が良さそうで、しかもなんだか嬉しそうに見えた。
「お、動いた。卵も新しいカゴを気に入ってくれたみたいだな」
カタカタと大きく揺れた卵を見て、グレイさんが嬉しそうにそう言って笑っている。
「良かったわね。新しいカゴの居心地はどうですか?」
思わず私もそう言いながら卵に手を伸ばして撫でてあげた。
まるで返事をするかのようにまたカタカタと揺れた卵を見て、グレイさんと顔を見合わせて揃って笑顔になった私達。そして、そんな私達を見て大喜びのチムタム達だったわ。
私とグレイさんが食事の準備をしている間中、チムタム達はずっと卵を撫でてくれていたわ。
ねえ、卵達。待っているから早く生まれてきてね。




