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空の彼方に  作者: しまねこ


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新居とウエディングドレスのその後について

「あ、改めてよろしくお願いします」

「こ、こちらこそよろしくお願いします!

 大騒ぎだった祝賀会も終わり、後片付けは任せてと言ってくれたリッティ達にお願いして、私とグレイさんはそのまま手を取り合って飛んで行って夫婦棟へ到着した。



 今日からここが新しい私の家。グレイさんと住む新しい家。



 私達の新しい部屋は、かなり上の階の角部屋だった。ここは朝日も入るし日当たりも良い、なかなかに当たりの良い部屋なんだって。

 中は以前住んでいたワンルーム部屋よりもかなり広くて、部屋は全部で四つあり、一番広いのがキッチン兼リビングで、共用の寝室、残りふた部屋は私の感覚では四畳半もないくらいのかなり狭い部屋。

 それで相談の結果、ここはそれぞれ一人用の部屋として使う事にした。

 小さめのソファーとミニテーブルを置けば、もうそれだけで一杯になるくらい。

 でも、ちょっと一人で休むには充分な広さがある。

 まあ、どれだけ仲良しでも一人になりたい時だってあるだろうから、プライバシーを保てる場所は必要よね。

 建物にいる人達との共用スペースであるトイレと水浴びをする水場、それから食堂は全部一階にあるので部屋にはついていない。

 それと、驚いたのがキッチンの水道。やや大きめな蛇口の横に水石を入れる場所があって、そこに水石を入れてから蛇口をひねると、なんと普通に水が出てきたのよ。

 これは女性棟の部屋には無かった初めて見る設備なので、割と本気で驚いたわ。

 今入っているくらいのやや大きめの水石を月に一つ支給されるので、それ以上に使いたい時は、自前で調達するしかないみたい。

 まあ、私達はまだまだたくさん水石を持っているので、気にせず使えるけどね。

 聞けばこの水石を使った水道は、いつもお世話になっている食堂の調理室や夫婦棟と家族棟なんかには普通に設置されているんだけど、ほぼ料理をしないであろう独身者用の部屋には設置されていないんだって。成る程。



 ここで軽いノックの音がして驚いて閉めていた扉を開けると、笑顔のリッティとチムタムがいて私を見て揃って笑顔になったわ。

「一応確認だけど、それを脱ぐのに手伝いは必要? それとも必要ない?」

 満面の笑みなチムタムにそう聞かれて、もう私は咄嗟に堪えられずに思いっきり吹き出したわ。

 そう、今の私はまだウエディングドレスのままで、これかなり複雑な作りになっている上に、背中側と首の後ろでボタンを留める形になっているので、正直言って一人で脱ぐのはかなり無理がある。

「あはは、ありがとう。これ、冗談抜きでどうしようか困っていたの。手伝ってもらえる?」

 私の言葉に、まだ扉の外にいたリッティまでチムタムと一緒になって吹き出していたわ。

 グレイさんも突然の二人の訪問に驚いたみたいだったけど、リッティと私の会話を聞くなり吹き出して咳き込んでいたわ。

「ぜひよろしくお願いします! じゃあ俺はその間に部屋で着替えるからルリ達はリビングを使ってくれ!」

 しばし咳き込んだ後、復活したところでグレイさんがそう言い、本当にそのまま自分の部屋へ駆け込んで行ってしまった。

 バタンとやや大きな音で扉が閉まった瞬間、リッティとチムタムが揃ってもう一回吹き出し、遅れて私ももう一度吹き出したのでした。



「ああ、やっと解放されたわ。確かに素敵なドレスだったけど、結構窮屈だったのよね」

 アクセサリーを全部外し、キッチンの水で顔を洗ってお化粧を落としてから背中側の腰の辺りにあるボタンを全部外してもらい、さらに首の後ろ側のボタンも全部外してもらったところでやっとドレスを脱ぐ事が出来た私は、思わずそう呟いて大きなため息を吐いた。

 それから、ウエディングドレスほど窮屈ではなかったけど、これもそれなりに窮屈なアンダードレスも全部脱ぎ、用意していた普段着に着替えたところでもう一回大きなため息を吐いてソファーに座った私だったわ。

 うん、結構疲れているわね。

 ちなみにこのソファーは、グレイさんが先日の商人さんが来た時に見つけて購入してくれていたもので、大柄なグレイさんと並んで座っても大丈夫なくらいにゆったりとしている。

 座り心地もなかなかのもので、私も気に入っているわ。



「ううん、それにしても素敵なドレスだよね。これ、この後どうするの?」

 チムタムが興味津々って感じに、私が脱いだドレスを見ながらそう尋ねてきた。

「引き取るかって聞かれたんだけどね、さすがにもう一回着る機会は無いだろうから引き取りはしない事にしたの。一応、材料費と縫ってもらったお礼に裁縫組の人達には大きめの水石をいくつかまとめて渡しておいたわ。それに、せっかくの素敵なドレスなんだから他の人にも着て欲しいなって思ったからさ。裁縫組の倉庫に保管してくれるそうだから、今後希望者があれば貸し出ししてもらうようにお願いしたの。早速、問い合わせが何件か来ているそうだからね。でも、私のサイズに合わせて縫ったから、もしかしたらサイズは作り直さないといけないかも。まあその辺りは裁縫組の人達ならなんとかしてくれるわよね?」

 笑った私の言葉にチムタムも笑いながら何度も頷いていたんだけど、その後急に真顔になって、私でも着られるかなって割と本気で考えているのを見て、リッティと二人して、そもそも相手はいるの? って突っ込んでしまった私達だったわ。

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