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空の彼方に  作者: しまねこ


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交渉開始と欲しい物

「ああ、ここにいたのか。ルリ」

 ずらりと並んだお店から少し離れたところで話をしていた私とリッティを見つけグレイさんが、軽い羽ばたきの音とともに飛んできて、私のすぐ横にふわりと舞い降りてきた。

「そろそろ販売が始まるようだけど、どうだ? 何か欲しいものは見つかったか?」

 笑顔のグレイさんの言葉に、私は笑ってお店の方を見た。

「もう、目移りしちゃって全然決められなかったわ。でも、一応服や布は良さそうなのをいくつか見つけたし、あとは、ガラスの食器セットでとても綺麗なのを見つけたので、あれは出来れば欲しい。とりあえずそれくらいかなあ」

「なんだ、もっとあるかと思っていたのにそれだけ? ルリは案外物欲がないんだな」

 笑ったグレイさんにそう言われて、私は笑って首を振った。

「物欲がない訳では無いんだけど、ここで買い物する敷居が高いって言うか、ちょっと怖いって言うか……だって、以前の私がいた世界と違って、ここでは何か欲しいと思ったら物々交換でしょう? 今、リッティから交渉のコツみたいなのを教えてもらったんだけど、正直言って全然自信が無いし、そもそも私には無理だと思うので、購入する際の交渉は、出来ればグレイさんとリッティにお願いしたいです!」

 そう言って、出来るだけ深く頭を下げる。

「ルリはまれびとなんだから、それは当然だよ。安心してくれ。ちゃんと俺が交渉するから」

「もちろん、私も手伝うわよ〜〜! だってグレイは、女性用の服や下着や化粧品なんて、相場すら知らないでしょう?」

 にんまりと笑ったリッティの言葉に、グレイさんは苦笑いしつつ頷く。

「確かにそうだな。そもそもそんな物を俺が手に入れようとしたら、店の人に警戒されるだろうが」

「まあ、そこは彼女の分だって言えば出来るだろうけど、それだと逆にお店の人に吹っかけられそうね」

「それもそうだ。じゃあ彼女が個人的に欲しい物はリッティが交渉してやってくれ。共同で購入する物は俺がするよ」

 声を立てて笑ったリッティの言葉に、それもそうだなと真顔で頷くグレイさん。

「そうね。それが良いと思うわ。じゃあ一緒に回りましょう。何からいく?」

 張り切ったリッティの言葉に、私とグレイさんは顔を見合わせて苦笑いする。

「じゃあ、近いところから順番に行こうか」

 私が最初に見た、様々な服がぎっしりと並んだ一角を指差すグレイさんの言葉に私とリッティが笑顔で頷き、三人で連れ立ってお店に向かったわ。



 とりあえずそれぞれに欲しいと思っていた服を集めていく。もちろん男性用の服も沢山置いてあったので、グレイさんも色々と集めていたわ。

 更にグレイさんが、これも良いんじゃないかって感じに私に何着か選んでくれたので、もちろんそれもまとめて購入予定にした。

 お店には値段交渉を担当する人が複数いたので、買い物をする人達は大勢いたんだけどそれほど並ばずに順番が来た。

 見ているとどこのお店もそんな感じで複数の人達が同時に交渉している。

 まあ、それなりに時間がかかるので、確かにこうしないと時間切れで購入出来ない人とかも出そうだもんね。

 ここで、私の分も全部まとめてリッティが購入交渉をしてくれたんだけど、まあなんと言うか……凄かったわ。

 見事なまでの交渉術でしっかりと値切り、ついでにおまけの服までゲットしてみせ、結局私が欲しいと思った服、全備買ってくれました。しかも、私が考えていたよりもかなり安くね。まあ、この場合は小さな水石で交渉出来たって意味ね。

 ちなみにここで交換に出した水石は、全部グレイさんが出してくれた。

 自分の物なんだからここは自分で出すつもりだったんだけど、水石なら俺も沢山持っているから遠慮しなくて良いと笑って言われてしまい、結局グレイさんに渡そうとした、以前自分で集めた水石は一つも受け取ってもらえなかったわ。



「あの時に集めた水石は、ルリの好きに使ってくれて良いぞ。無くなればまた取りに行こう」

 別のお店へ移動する時にさりげなくそう言われて、思わず躓きそうになって慌ててグレイさんの腕を掴む。

「おっと、大丈夫か?」

 当然すぐにグレイさんが私を支えてくれたので、なんだか抱き合うみたいな体勢になってしまった。

「あらあら、仲のよろしい事で」

 もうこれ以上ないくらいの笑顔なリッティにそう言われて、慌てて手を離した私だったわ。

 この後、私が見つけたガラスの食器セットはグレイさんも気に入ってくれたみたいで、張り切って交渉していたわ。

 しかも、そのお店の商人さんはグレイさんと顔見知りだったらしく、私を紹介したグレイさんの腕を笑顔でバンバンと叩きつつおめでとうと言ってくれ、この食器は二人で使うんだと言ったところ、驚くくらいに安くしてくれたわ。

 しかも、お祝いだと言って二つセットのワイングラスみたいなのまで貰ってしまった。

 他にも、いくつかグレイさんが見つけてくれた小さめの家具や食器なんかも購入して、グレイさんが武器や防具を売っている店へ向かったので、ここで一旦分かれて私達はお化粧品を見に行ったのでした。

 ううん、自分では交渉出来ないのでここは人任せだけど、やっぱり買い物って楽しい。

 久し振りのお買い物タイムに、なんだか楽しくなってきた私だったわ。

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