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空の彼方に  作者: しまねこ


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買い物の前に

「うわあ、本当になんでもありそう」

 次々に店頭に並べられていく初めて見る様々な品物を見て、私は思わずそう呟く。

 最初のうちこそグレイさんと一緒に見て回っていたんだけど、彼が武器が並んだ一角で思わずといった風に足を止めたのを見て、私はこう提案した。

 一旦解散してまずはそれぞれ好きに見て周り、買い物をする時にまた一緒に行動しようって。

 それを聞いたグレイさんもそれが良いと言ってくれたので、ここで一旦解散してグレイさんは武器を見始め、私は少し考えてから服を扱うお店が並ぶ場所へ向かった。



 もう、この服を売っているお店が並ぶ一角だけでも、ずっと見ていられそうなくらいに楽しい。

 その中でも人だかりが出来ているお店を見た私の足が思わず止まる。

 こことその隣のお店は、明らかに他のお店とは違う品揃えでデザインも違う。

 女性向けは、ここでよくあるワンピースでふんわりスカート系だけではなく、チャイナ服やベトナムのアオザイみたいな体にフィットするスリムな服もある。パッと見た感じ、ちょっとアジアンチックな服が多い。

 逆に男性向けは、アウトドアっぽいガッチリとしたデザインの服が多いみたい。

 私達が普段着ているのとは全く違うデザインの服に、手書きや刺繍っぽい花模様や、明らかにプリントしたっぽい絵のような模様の入った生地が多く使われている服もたくさんあるのを見て、密かに感心した私だったわ。



 今の私達が着ている服のほとんどは、留守番組の人達が糸を紡ぐところからやって、機織り機を使って織ってくれた生地で作ってくれた服。なので基本的に無地の生地が多い。

 もちろん、縦糸と横糸を組み合わせて作る幾何学模様の生地はあるので、無地ばかりってわけではないし、その無地の生地だって、いわゆる草木染めで様々な色に染められているので、どれもとても綺麗。

 でも、久しぶりに見た明らかに絵の柄が入った生地を見て、これはどうやって作っているのか考えてしまった私だったわ。

「そっか、版を作ってシルクスクリーン的な染め方でやればこういう生地も作れるわね。ううん、でもこれをここで再現するのは難しそう」

 思わず、ここでもプリント生地を作れないか考えてしまったけど、残念ながら私にそっち方面の知識は皆無だったので、早々に諦めたわ。

 うん、これに関しては留守番組の皆様に頑張ってもらう事を期待しましょう。



 小さく笑って一つため息を吐いた私は、とにかくいろんなお店を見て回ったわ。

 服屋さんに始まり、家具や食器などの生活用品、大小の布をそのまま売っているお店もたくさんあった。

 靴屋さんでは、ハイヒールっぽいものが売っていて、ちょっと驚いたわ。

 舗装なんてされて一切いないこの浮島であんな靴を履いたら、踵があっという間に傷みそう。

 そこまで考えて気がつく。

「そっか。建物の中以外は飛べば良いのよね。でも、それも大変そう」

 小さく笑って、今履いているのと変わらないような、サンダルを売っているお店にススっと移動した私だったわ。

 女性しかいない一角を発見して何が売っているのかと思って見てみると、ここでお化粧品発見。

 へちま水的な化粧水や乳液っぽいものもあったし、説明によると体にも使える乾燥防止の軟膏的なものもあった。

 口紅はいわゆるリップスティック的なものではなく、丸い陶器の入れ物に詰められていて、専用の筆を使って塗る仕様だった。

 でも、見る限り色数はそれほど無い上に、正直言って下品とも取れるくらいの原色の真っ赤や濃い紫なんかしかなくて、さすがにこれは、私には使えないと思ってしまって口紅は諦めたのでした。



「ああ、ルリ発見! あれ? グレイは一緒じゃあないの?」

 お化粧品の売り場から離れてぶらぶら見て回っていると、私に気付いたリッティが笑顔で手を振りながら駆け寄ってきてくれて、思わず足を止める。

「ええ、グレイさんが武器を見たがっていたから一旦解散したの。私もゆっくり見てみたかったからね。それで、とりあえず欲しいものの下見だけして、後で買い物する時に一緒に行動する事にしたの。だって、商人さんを相手にした物々交換の交渉なんて、私には絶対に無理だからね」

 そう言って、苦笑いして肩をすくめる。

 冗談抜きで、海千山千の商人相手に素人の私が物々交換の交渉なんてしようものなら、ふっかけられた挙句にぼったくられる未来しか見えないわ。

「あはは、確かにあれは経験がものを言う部分が大きいから、ルリ一人でいきなり交渉まで全部するのはちょっと難しいかもね。じゃあ、そんなルリの為に経験豊富な私が色々と教えてあげよう」

「よろしくお願いします! 大先輩!」

 思わず胸元で両手を握りしめてそう叫ぶ。

 顔を見合わせて同時に吹き出した私達だったわ。



 ここから、リッティによる物々交換の交渉における技の説明が始まったんだけど……一つだけ理解したわ。

 こんなの私には絶対に無理! やり方を教えてもらったところで、そう簡単に出来るようなものではないって事をね!

 これに関しては、私はまれびとなんだって事を前面に押し出してお願いして、経験豊富なグレイさんやリッティに一緒にいてもらい、商人さんとの交渉に関しては全面的にグレイさんやリッティにお任せするのが一番良いだろうって結論に達した私だったわ。

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