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空の彼方に  作者: しまねこ


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商人の来訪予定と購入予定の物

「ルリさ〜〜ん、こっちにもたくさんあるからよろしくね〜〜!」

「はあい、順番に行くから集めておいてね〜〜」

 カーク君やキース君と一緒に飛び回って、私は子供達が頑張って採取した山盛りの薬草やパンの実、それから水石をせっせと収納していったわ。



 大騒ぎだったBBQパーティーの翌日から、私はまた子供達と一緒に近場への採取に出かけ、グレイさんと私の事を知って大興奮する子供達からの質問責めにあったのでした。

 だけど、改めてここでの日々を思い出して思った。

 もう、ここでのあれこれがほぼ全部波瀾万丈であった事は否定しないけど、グレイさんの馴れ初めなんて全く恋愛感情の入る余地すら無かったし、結果的にはここに連れてきてもらえて本当に良かったんだけど、正直言って出会ってからこのコロニーへ来るまでなんて、今になって冷静に考えてみたら、ほぼ攫われてきたのと同じようなものだったからね。どこをとっても全く色恋の話にならなくて、我ながらちょっと呆れたのは内緒ね。

 とりあえず、ワイバーンは怖いんだよって事で無理矢理に話をまとめた私だったわ。



 そんな感じで数日過ごしたところで、いよいよ今日は商人が来る日になった。

 朝から皆、妙にソワソワしていてどうにも落ち着かない。

 チムタム達は、食事をしながら友人達と何が欲しいかの話で盛り上がっていた。

 聞けば品揃えはかなりのものらしく、他の浮島に住む翼人達から集めた服や小物類に始まり、商人さん達は、私達のホームが取り引きしている地上の人達とはまた違った取引のルートを持っているらしく、また違った地上の様々な道具や布、服飾品や鉄製品、武器や防具、お酒や珍しい食材なんかも沢山あるんだって。

 それにどうやらお化粧品的なものや美容関係の品物もかなり色々と揃っているらしく、この世界へきてからノーメイクだった私も、彼女達の話を聞いて化粧水と乳液、口紅くらいは欲しいかなあ、なんてのんびり考えていたのでした。



 食事を早々に済ませてしまえば、今日の採取は全部お休みなのでもうする事がない。

 チムタムとリッティの二人と一緒にホームの庭に出て、のんびりと話をしながら商人が到着するのを待っていたわ。

 私達の横では、チムニーが仲の良い子達と一緒になって集まっていて、交換用の珍しい昆虫の入った箱を何やら大興奮しながら見せ合いっこしていた。

 食事を終えたグレイさん達も庭に出てきていて、ワルターさん達と一緒に、こちらも何やら話が盛り上がっていたわ。



「ルリ、新生活で、何か欲しいものや道具はあるかい?」

 彼らとの話が一段落したらしく、こっちに来てくれた苦笑いしたグレイさんにそう聞かれて、思わず考える。

「ええと、そもそも新生活で何がいるかと言われても……正直、全然分からないです。基本的には今までと同じで、食事なんかは皆と一緒の共同なんですよね?」

 実を言うと、私は料理全般がちょっと苦手だったりする。

 別に作れないわけじゃあないんだけど、いつもお世話になっていたインスタント食品なんて夢のまた夢。

 粉末出汁の素や各種調味料。お味噌やお醤油どころかマヨネーズすらも無い、全部が手作りなこの世界で、私に作れるものなんてそもそもあるのかしらね?

 なので料理を部屋でするのだと言われたら、ちょっと泣きそうになるかも……。

「ああ、もちろんその辺りは同じだよ。それに、基本的な生活用品は揃えてくれてある。まあ、何か欲しいものがあれば遠慮なく言ってくれればいいよ」

 あの浮島で採取した、かなり大きめの水石を一つ取り出した笑顔のグレイさんの言葉に、私も笑って頷く。

「ああそうだ。それならちょっと相談があるんです」

 不意にある事を思い出したので、慌ててそう言って水石を持つグレイさんの右腕を叩く。

「ああ、何か欲しいものがあるのかな?」

 笑顔のグレイさんの言葉に、私は笑って首を振った。

「いえ、自分の分じゃあなくて、あの、タルカムさんに何かお礼をしたほうが良いかなって思って。ほら、流砂に飲み込まれた私を、ええと、とても危険な暗闇の大穴から助け出してくれたわけですから……」

 タルカムさんの名前を聞いて真顔になったグレイさんを見上げながらそう言って、私も収納していた大きめの水石を一つ取り出して見せる。

「ああ、何かと思ったらそういう事か。それなら、大丈夫だ。タルカムには俺の方で礼をしておくから、ルリは気にしなくていいよ」

「でも……」

「ちなみに、商人から手に入れられてタルカムが喜ぶものなら、自分では作れない布や服、それから金属製の武器や防具辺りだな。今回は、ある意味ルリの命を救ってくれた事に対するお礼だから、良いものを複数探すよ。考えているのは、布の束と服を何着か。それから、少し前に一つ壊れたと言っていたので防具を贈るつもりだ。気になるなら、ルリに渡しておいた大きめの水石をいくつか渡して貰えるか。それと交換するよ」

「そうですね。じゃあお願いします」

 どう考えても私が探すより良いものを探してくれるだろうグレイさんの言葉に頷き、慌てて水石をいくつも取り出してグレイさんに渡した私だったわ。

 チムタムは、大きな水石を見て驚いていたけど、リッティはその水石を見て、何故かこれ以上ないくらいの笑顔になっていたので、そっちはできるだけ見ない振りをしたわよ。

 お願いだから、これを何処で手に入れたかは聞かないでね。

 これを採取した後の事を思い出してしまい、赤くなる顔を必死になって隠した私だったわ。

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