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いい朝の目覚めだ。
今日は、赤の森で、ディープキュアの材料を採取する。
そういえば、久しぶりに、ベッドで寝た。この着ぐるみは、変な所でハイスペックだから、何処でも寝られるが、やはり文化的な人間はベッドで寝るのがいい。
工房にはベッドが1つしか無いからなぁ。あぁ良い香りだ。まるで、誰かに抱きつかれてるかのような安心感。満たされていく。ん?レイちゃん、別の部屋で寝たよね?
そっと、レイを起こさないように、引き剥がし、部屋を後にした。
朝日を浴びようとテラスに出ると、エアロバイクが、朝日を反射し、ギラギラと輝いていた。まさしく新車の輝き。
「凄いな、これが、お前の真の姿だったのか。家妖精ありがとう。エアロバイクよ、今日も期待している。」
そういえば、ジャンク屋から聞いた話だと、オークションで売却した、旧型の魔導バイクを、競り落とした幸運な王族は、ドヤ顔で、他の王族達に、お茶会の毎に、自慢しまくりだそうだ。
ふっ、お可愛い事だ。
俺の朝は、スターバリスタンの珈琲から始まる。椅子に座り、アイテムバッグから、人気店の香り高いボトルを取り出す。
ギラつく新型のエアロバイクを眺めながら、頂く一杯。もちろん、レイのお手製ポーションを1滴入れる事も忘れない。
う、美味い。所有欲が、自尊心が、幸福感が、バリバリに満たされる。
風で揺れる紅葉を愛でる。幹は、かなり太くて、全然違うのだが、葉っぱが1番綺麗な頃の紅葉に似ている。
あぁ、なんと美しい風景だ。心が、洗われる。そして、こんな常軌を逸した美しさに、違和感が無くマッチするのは、エルフという種族。
「おはよ。」
お着替えしたレイが、現れた。探検家ルックなレイちゃんも可愛い。
「起きたか、レイ。早速、エアロバイクで採取に出掛けるか?」
「んん。今日はバイクはいらない。とう。」
え!?
テラスから、勢いよく飛び降りるレイ。慌てて手摺りに駆け寄ると、下の地面で、ぽんぽんと跳ねていた。なんだこれ?魔獣キャンディー社のアトラクションみたいだ。
「ゼル、早く、早く。」
「ええ!?」
あぁ、そうだ。ここは、科学を嘲笑う魔法の世界だった。たまにこうして、物理法則を少しだけ超越してくる。
いくぞ、とう。不恰好に踏切り落下する。落下するのは、慣れなない感覚だ。キュンとするといえば、いいのか。そしてポヨンと跳ねる。何これ楽しい。楽しいんですけどー。
「レイ、これ凄いな。凄いフワフワする。」
「ん、お婆ちゃんの魔法。」
自慢げなレイ。昨夜の大魔法が、これなのだろうか。流石にポヨンポヨンとめちゃくちゃ弾むのは、ツリーハウスの下だけのようで、ふわふわとした感触を楽しみながら、赤の森の奥を目指す。
「レイ、今日は、どの素材から採取するんだ?」
【ディープキュア】
猛毒消しや、性病の治療に有効。
調合素材は、《ポプの実》《メルカーナの卵》《透明空魚の浮石》
「ん。《紅葉蟹》採って、《メルカーナの卵》の捕獲瓶を仕掛けて、《ポプの実》を採取する。」
「《紅葉蟹》?」
「ん、美味しい。」
上機嫌なレイ隊長のあとを、てくてく歩きながら、赤の森を満喫する。
だんだんと、深まってきた。入口とは違う。森の密度が濃くなる。マイナスイオン、精気、清廉な魔力。それは、美しき赤。




