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(´・ω・`)


「おや、レイちゃん。今日は何が欲しいんだえ?いつものガージュの樹液はあるよ。あと、いいピィマンが入ったんだ、見とくれ、これはお買い得だえ。」

「ん。なら、あるだけ貰う。ピィマンはいらない。」

「好き嫌いしちゃ大きくなれないよ。ところで、あの着ぐるみのおじさんは誰だえ。衛兵呼ぼうか?」

「余計なお世話。彼は、ゼル。」


 濃い草と果実の匂いが混じる部屋。様々な見た事の無い植物や魔物の干物が、ところ狭しと置かれている薬草屋に、レイの荷物持ちとして、材料の買い付けに、ついてきていた。随分と早い時間、早朝に来たためか、客は、他におらず、閑静な趣き。

 そして、早速、不審者扱いされるゼル。着ぐるみを着ているだけだ。なんと、なんと久しぶりに、普通の反応であろうか。やはり着ぐるみは変だよね。脱ぎたいな、レイちゃん。


「おはよー、あれ、お客さん来てるのー?」


 お手伝いのつもりだろうか、隣の部屋から出てきた雑貨屋の子供が、ゼルを見つけるなり、興奮して駆け寄ってきた。


「わぁ、ラピュラスだー。」

「あぁ、何だ、ええと、魔獣ラピュラス社の社員さんだったのかえ。」

「ん。あと、レコリスの葉に、マンドラゴラも。」


 違うけど、適当に肯定するレイ。


「ラピュラス、飛んで飛んで。ねぇ、上級悪魔は、どんな魔法が使えるの?」


脳内電話案内(テレフォン)とかだな。」


「それは、いいや。もっとロマンチックなの。まずは、夜の魔法、それで、かぼちゃの馬車を出して夜会に連れていって。で、王子様に求愛されて、その執事と、隣の王子様が、私をめぐって争うの。」


「ふむ。そうだな、口を開けろ、小娘。」


「なぁに?あーん。」


 魔獣キャンディーを口に放り込み、キャンキャンとうるさい口を黙らせるゼル。彼にとって、子供の相手は、手馴れたものになっていた。


「ん。いい買い物が出来た。」

「そうかえ。」


 レイの前には、大量の怪しげな素材が積まれていた。やばい、買いすぎだろう。持って帰れるのか?否、それくらいの仕事は完遂してみせよう。お小遣い分の仕事はするぜ。覚悟を決めるゼル。


 しかし、それは無駄な覚悟だった。レイは、小さな可愛らしいポーチに、どんどんと大量の素材を格納していく。どうやらアイテムバックのようだ。

 荷物持ちという大義名分すら、秒速で見失いオロオロするゼル。


 俺には、俺には、そう、魔導バイクがある。今日はドライバーとしてきた。ふーっ、危ない。なにも役目が無ければペット枠だったではないか。ありがとう、マリナ。


 ドルン、ドッドッドッドッ。


「さて、次は何処に行こうか?」


「ジーニャのとこ。」


 納品に通っているので、道はバッチリだ。途中にある行きつけのキングベアの串焼き屋に寄って、小腹を満たす。


「よぅ、3つくれ。」


「あぁ、旦那。焼き直すんで待ってくれ、ださいよ。おかげでバルカンもすっかり更生してありがたい限りだ、です。」


 じゅうじゅうと芳ばしい煙が広がる。異世界に来てから、体調がいい。朝から肉が喰えるのは素晴らしい事だ。この店の親父は、ちょっとした悲しい勘違いがあって、なぜか微妙な敬語を使ってくる。

 が、肉は以前と変わらず美味ければ、何の問題もない。


「おぅ、ありがとう。ほら、レイ。」


「ん。力強さのなはにも、せんはいさがある。もぐもぐ。」


 レイは、欠食児童だから、エサを与えると、すぐに食べながら、何かを話してくる。うん、何言ってるか分かんねぇ。ほっぺをぱんぱんにさせて、ハムスターみたいだ。慌てなくても誰も取らないから。


 串焼きをかじりながら、トロトロと歩くような速度で、魔導バイクで走れば、食べ終わる頃にはギルドにつく。


 湧き上がるこの魔力味、やはり美味い。活力が湧いてくる。朝は、コーヒーみたいな感じで、それでいてカフェインより、ガツンと効く。やたらと、こっちの世界の人の力が強いのはこの食事に理由があると思う。


 冒険者ギルドには、ゴツい冒険者共に囲まれる、凛と美しいスラリとした花がいた。今日もお綺麗ですよ、ジーニャさん。


「あ、レイに、ゼルさん。あれ?今日は何のよう?」


「ん。きょうは、いふぁいにひた。」


「え、レイまだ食べてたのか。。」


 まだ、もぐもぐ食べていた。ガツガツ食べているようで、すごく遅い。昔、飼っていたハムスターを思いだす。よしよしよし。


「ん。」


「ふぐっ。」


 心を読んだのか、的確に、脛を蹴ってくるレイ。そして美少女の脛をかじっているのが、ゼルだ。俺らの関係は、そんな仲だ。勘のいい子はキライ、地味に痛いよ。


「え、えーと。」


「すまないがジーニャよ、今は、話せない。あと、土産だ。」


「わぁ、キングベアの串焼きだ、ありがとうゼェルさん。」


 ジーニャさんは、整った白い歯で、小さな口をいっぱいに開き、肉汁の滴るキングベアの串焼きを、カプリと噛み切る。ぷるりと、唇が揺れ、串焼きの脂で、テラテラと唇が妖しく光る。咀嚼する様は、見ていて気持ち良い程に、活力的で、それでいて上品だ。

 こくんっと喉が鳴り、一口目がお腹の中に消えた。思わず見ていて、ごくんっとツバを飲み込んでしまう。あぁ、食べられたい。


 くんっくんっと、裾をレイに引かれた。なぜか不機嫌そうな表情だ。ほっぺの中身は、消費している。串焼きは、まだ半分程残っているが。


「見てて。」


 せつなげな表情で、串焼きをペロペロと舐め、ジーニャさんよりさらに小さな口を精一杯に開けて串焼きを咥える。少し苦しそうな表情で


 エロッ、何だ。何を始めた。ジーニャさんに対抗してるのか?ただ、何だろう背徳感がある。

 いやいや、方向性が違う、エロく食べる選手権は、今やって無いよ。説明出来ないが、色々と法に触れそうななにかが。


「モフくらっしゅ!食べ物で遊ばず、普通に食べるのだ。」


「ふぁい。」


 串焼きを無理矢理、出させる。つつっーと、涎が糸をひいているのを見て、欲望のトリガーが暴発しそうになったが、見ないフリをして抑え込む。危ない。


 反省してくれたレイは、ハムスタースタイルで食事を再開する。

 ほっこりする。今日は、こっちの路線でお願いします。VIP待遇を受けたレイさん御一行は、別室へ案内される。邪魔だったんだろう。うちの子が、迷惑かけてごめんなー。



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