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(´・ω・`)


「うわぁぁ、レベルアップ酔いが、マリナはフラフラだよ。」

「ん。なかなか悪くない。」


「そうか、満足頂けたようで何よりだ。」


 すっかり興を削がれ、疲れた笑顔で帰途に着く。興奮に火照った顔と、迷走する思考を、夜風は冷やしてくれる。


 街の灯りが見えた。はしゃぎ疲れたマリナが丸くなって眠り、レイは後部座席に移動していた。ゆっくりと、街道を走る。抱きつかれはしないが、両脇を掴まれた手の温もりを感じる。夜は、少しだけ、人を大胆にしてくれる。今まで聞きづらかった事を聞いてみる。


「ところで、レイよ、赤の森は、幾らするんだ?」


「白銀貨2枚。」


【貨幣の価値】

鉄貨(十)、銅貨(百)、小銀貨(千)、銀貨(万)、小金貨(10万)、金貨(100万)、大金貨(1千万)、白銀貨(1億)、白金貨(10億)


「2億円。庶民の生涯年収か、宝くじでも当てるつもりなのか。」


「そう。」


「え?宝くじだと。レイよ、いいか、宝くじは当たらない。あれは、ほぼ操作されている。」


「ん、知っている。馬鹿だった私は、ドラゴンくじを1000枚買って気付いた。ところで、ドラゴンくじは知っている?」


「あぁ1枚、小銀貨1枚で買えるくじだったか。確率、20万分の1。選べる景品。ドラゴンソードもあるよ。という煽りのくじだったか。残念だが、あの手のくじを、当てるのは、関係者だけだ。あれに金貨1枚(100万円)突っ込んだのか。」


「ん、全部ハズレだった。でも、あれの1等の景品の中に、赤の森がある。」


「だからといって、まさか当たるまで買うつもりなのか?他に方法は?」


「いいえ、ゼル?今日は少し疲れてる?20万枚、全てを買うの。そうすると、本来、入っていない当たりが、当たるはずの無い当たりが、当たる。チュワークは、赤の森を返すつもりなんてない。だから、大金で殴るしか道は無い。」


「そのための、白銀貨2枚か。」


「そう、まだ絶望の中だけど、貴方のおかげで希望が見えた。」


「そうか、安心しろ、悪魔は契約を守る。」


 悪魔では、無いが、レイを守るためならば悪魔になる覚悟がある。

 そんな話をしていたら、入口が見えた。帰りはきちんと入口から入ろう。門番の入場手続きをする。


「止まれ。住民カードを出してくれ、無ければ入場税の小銀貨1枚だ。金が無ければ納品所で相談するといい。あと、魔獣は持込禁止だ。」


「ん、カード。それとこれは、魔道具、問題無い。」


「魔道具なのか?なら、小銀貨1枚。そこの着ぐるみ男と合わせて2枚だ。」


「ん。ご苦労様。」


「夜道は、危ない。お嬢さん、次からは早く帰るようにな。」


 レイは、小銀貨2枚を手渡し、入門手続きをすませてきた。そういえば、おじさんは、不法入国者だった。レイの住民カードを見る。


「ゼル、欲しい?でも、よそ者が入手するには、奉仕活動とかそれなりに申請が大変だけど。」


「いや、我にそのようなモノは不要だ。」


 少し欲しいが、無くても問題無いようなので、安心だ。魔導バイクに乗り、ゆっくりと走り、マリナを送り届けて、マーシャル工房へ帰宅する。


 帰宅の途中にドラゴンくじ屋を見つけたので、遠目に止まって観察した。実は転移後、幾度となくこの店の前を通ったのだが、ギャンブルで痛い目を見たゼルは、ずっと見ないフリをしていたのだった。


「レイ、あの店だな。」


「ん。」


「客が捕まったようだ。様子を見てみるか。」


 胡散臭い鼠族の店員の甘言にノセられた、夢見がちな冒険者が、はした金で、くじを買っていた。


「ダンナあ、強そうダ。もしかして、運まで強いのでハ?1等は、確率20万分の1、次々と勇者が1等引くから、うちは赤字なもんで。え?引くんですかい、やめて下さいよ。潰れちまゥ。え?1枚だけ買う、小さい小さい、男なら3枚ぐらい、どどんとネ。」


「よぅし、このカイゼル様が、3枚買ってやろう。泣いても知らんからな。ぬぅぅ、ハズレか。」


「チュチュチュ、危ない、危ない。次は怖いナ。お帰りはあちらですヨ、ダンナ。」


「ぬぅぅ、まだだ、まだ終わらん。もう2枚だ。奥の手を見せてやる。幸運招来(ラッキーボーイ)、宿れ豪運を。うぉっし、当たりだ。なんだ8等か。」


「8等、フレッシュチーズ。いいな、羨ましいヨ、ダンナ。」


「ふん、悔しがるが良い。」


 1連の流れを遠くから見る。負け惜しみを言ってすごすごと帰る冒険者。本気で羨ましがってる鼠族の店員。それを見て釣られた、自分なら当てられると思った愚か者が、くじを買うが、全てハズレだ。


「魔法を使うのは、アリなのか?」


「ん。でも、あの箱には、5等までしか入ってない。例外的に2等が当たるけど、その場合は、翌朝までに、死体になる。過去に、1等を当てたのは、勇者と大商人チュワークだけ。」


「勇者協会め。それでも、我々は、1等を当てなければいけない。」


「ん。白銀貨で、殴りつける。」


 キリッと睨み、その場をあとにした。運試しに1枚買うなどという無駄遣いはしない。小銀貨1枚とて大事だ。しっかりと、小銀貨20万枚をためて、卑劣な大商人チュワークを殴りつける。



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