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夜の2つの月明かりの下で、体の奥に眠っていた原始的な野生が覚醒する。
発展途上国の子供は、都会の子供に比べて、目がギラギラと輝いている。もしかすると、文明という毒は、知らず知らずの内に、心を曇らせているのかもしれない。ある意味、発展途上国に近い、この異世界で、ゼルの心は、野生を取り戻していた。
先程まで騒いでいた2人の美少女も落ち着き、夜だからか、なんとなくいいムードになっていた。これが、ナイトマジック。
あぁ、なんと美しいことか。一糸纏わぬこの官能的な曲線美。
ゼルは、厭らしく舐めるように見つめて、裸のボディを撫でる。欲望は、段々とエスカレートし、ついには、気軽に触っては、いけない秘部へと、じりじりと手を延ばす。
そして、汚れた指先で、その突起を弄んだ。
ガゴンッ
魔導バイクの先端から、レーザー砲のような物が出てきた。メーターパネルは、照準のようなグラフィックに変わり、トリガーもでてくる。これは、めっちゃヤバそうなヤツだ。慌てて、もう一度、スイッチを押して格納する。
ガシュンッ
「うっひょー、なんか出てきた。え?何で仕舞うの?ねえ、なんで?」
「今は、その時では無いからだ。秘密兵器は、秘密にしておく必要がある。」
「ひょえー、そうなんだ。」
マリナが無駄打ちする未来が見えたからな。ふむ、他にもスイッチがある。カチリっと。
バシュッ
「おおーっ、椅子が出てきた。」
「ゼル、出すのが遅い。」
「いや、先程のは仕方なかろう。我とて全能では無いのだ。」
魔導バイクの側面が開き、空いたスペースに、椅子がくるりと回転するように開き、サイドカーのようなものが現れる。バスの中央の椅子のような感じでパタン、パタンと開いた。さらに他のスイッチを押してみる。
ブオンッ
「バリアー?」
「ひゃっ。」
「これは、まさかATフィールドか。あやなみぃ。」
「あやなみ?」
「綾波とは、綾波レイの事だ。」
「は?」
「いや、レイよ。今の失言は、全く無関係の空想上の人物だから、スルーしてくれ。あと笑えばいいと思う。」
はっ、とバカにしたように、レイに鼻で笑われた。律儀に笑ってくれるレイ。違う、やはり違う人物だ。そんな笑い方では、ヒロインには、なれないよ、レイちゃん。
この展開されたバリアは、想像を超えた機能だった。
ヘリコプターが、風圧で下草を押さえつけるように、魔導バイクの周辺の草がひれ伏した。もちろん風は発生していないので、理解を超えた現象だ。この目で見ても、科学という常識で固まった頭がついていかない。まるで騙されているかのような感覚。
「さて、お嬢さん方、ツーリングは始まったばかりだ、好きな方に乗りたまえ。」
格好つけて、ゼルは待ち構える。とことこと歩き、レイはサイドカーに座った。
「ん。」
出遅れるマリナ。よしっ、よぉしっ、いい流れだ。さすがにノーズは、懲りただろう。後部座席、空いてますよ?
あの肉感が背中にくるのか。背中が覚醒して次のステージに行きそうだ。
「ずるいっ、マリナもー。」
「ちょっ、狭いマリナ。」
なんだと?
空いている後部座席をスルーして、狭いサイドカーに、2人が抱き合わせだと。
いい!良いではないか。存分に、百合百合してください、眼福じゃよー。女神よ、感謝します。
ドルン、ドッドッドッドッ
ゆっくりと、夜風を楽しみながら、王者の貫禄で走り出す。早く走る事だけが、楽しみ方では、無いのだ。
街道を外れ、平原を走るが、バリアによって、魔導バイクに接触する前に薙ぎ倒される下草が実に気持ち良い。今、新たなる道を拓いている。
スノーボードで、誰も滑っていない新雪を滑走する。それに似た快感が、長く長く続く。
「きゃっほーっ、気持ちいいよー。」
「ん、悪くない。」
先程の惨劇も忘れたて、楽しそうにはしゃぐ2人、幸せそうで何よりだ。
それをガン見しながら、幸せに浸るゼル。そうだ、忘れていた。このモブのポジションを。モブとは、一歩離れた位置にいるべきものだ。そして、セリフも無ければ完璧だ。キンモザのように。
前を見る事すら、放棄したゼル。オートドライブ機能があると、人は退化するのかもしれない。




