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(´・ω・`)


 華奢きゃしゃな少女レイは、尊敬そんけいしているような期待に満ちた目で、上目遣うわめづかいに見ながらゼルの言葉を待つ。

 言いづらい。めっちゃ言いづらい。思わず黙ってしまったが、それがめになり、余計に期待感を、あおってしまった。


「この緑の飴玉の改良方法は、無い。なぜなら、これは既に完成している。」


「え??、完成している?」


 レイは、困惑こんわくした顔になる。まぁ、そうなるよな。だが、専門家に出来ないものを、おじさんに出来るわけ無いんだ。そこは、あきらめて欲しい。


「そうだ、完成している。」


「毒に使う?いや、回復するから違う。不味くて売れないから、失敗作。やはり、失敗作。」


「いいや、売れる。」


「!?。だまして売るの?それとも味覚を壊すの?そんな事、頼んでない!」


 純粋じゅんすいで優しい少女が怒りだした。さっきと違い、目の前の男を、まるで悪魔でも見るかのように。あっれー、おかしいな。レイは、悪魔を召還したかったんだよね?


「断じて、違う。世の中には、わざと不味く料理を作る事がある。不味い料理にも別の価値がある。それに、騙したりはしないし、味覚を壊したりしない。むしろ、人の命を救う。」


「え、ええ?」


「不味い料理は、消費量を減らしたり、毎日食べても飽きない効果がある。」


「でも、限度がある。あれは、作っててなんだけど不味すぎる。」


「そうだな。」


 レイは、困惑している。しかし、言葉数ことばかずは少ないけど表情豊かだな。美少女は、怒ってても絵になるんだと気付かされた。


「ん?つまり、世の中に出さない事で被害者を出さないって事?」


「忘れたか、我は、古代の叡智えいちさずけると言ったはずだ。」


「ん。もう分からない。」


 脳みそがショートしたそんな表情。真面目すぎて、解決策が出ないようだ。


「思いだせ、ジーニャの悩みを。」


「巨乳になりたい?」


 そんな事で、悩んでいたのか、あの娘は。思わぬ秘密を知ってしまった。ジーニャさんはスレンダー美人だ。そのままでいい。


「違う。」


「あっ!」


「気付いたようだな。」


 レイの目がキラキラと輝きだす。ゼルに向けていた視線は、先程まで憎悪ぞうお軽蔑けいべつだったが、尊敬と称賛に瞳の色が変わる。


「ん。分かった。ジーニャは、仲良かった冒険者の獣人フォクシーが、迷宮で死んだって悩んでた。原因は、回復ポーションを1層で無意味に飲みきり、ボス戦の時に無かったから。」


「つまり?」


「無意味に飲もうと思えないポーションなら、必要な時まで残る!」


「イグザグトリー。」


「す、凄いよ。ゼル!このポーションに価値を見つけるなんて。この子に、名前をつけてあげて。」


「では、このポーションは、有名な戦闘食に敬意を評し、レーションと名付ける。」


 異世界に、レーションが誕生した。



「きっと、ジーニャ喜ぶ。」


「そうだな。おっと、裏通りを行こう。この方が早い。」


「知らないの?裏通り危険。」


「過去の話だ。浄化は完了した。」


「おおお。」


 清々しい朝日の中、カチャカチャとポーション瓶の小さな音を立てながら、2人でギルドまで納品に行く。

 昨日から、レイのゼルへの好感度は、爆上がり中だ。お小遣いもアップしたので、小金持ちになった。


 少女から、お小遣いを貰う、着ぐるみおじさん。それが、ゼルだ。


 浄化された裏通りは、人通りが増えた。環境が変われば、人も変わるのだろう。すんなりとギルドへ到着。



「あっ、ゼぇルさん。掃除ありがとう。」


「ふむ、ジーニャよ。ワレにとっては児戯じぎに等しい。」


 すぐにこちらに気付いたジーニャさんが、満面の笑顔で手を振ってきた。凄く感情をぶつけてくる。美人だし、攻撃力が半端ない。周りの冒険者の視線が凄いが、気にならない。なぜって、他のモノは目に入らないからさ。


 デレデレしてたら、レイにすねられた。痛い。なぜだ?


「それより、ジーニャ、新作を持ってきた。」


「え、何?」


 レイは、自信たっぷりに、緑飴玉(レーション)の入った箱をジーニャさんに突き付ける。不思議そうに1つつまみ、口に入れる。


 ちょっ、説明っ。


「ん!ん!」


 油断したジーニャさんは、顔を青白くさせ、慌てて、レーションを飲み込んだ。

 分かる、分かるよ。不味いんだよ、あれ。何味を引いたんだろうか?もっとも、外れしか入っていないクジなんだが。何それ、ゴミ箱じゃん?


 ジーニャさんは、レイからにっこり笑顔で渡された水の入ったコップを受け取り、ごくごくと音をたてて豪快ごうかいに飲んだ。

 あの無邪気な笑顔は、許しちゃうわ。でも、同性には通用しないかも。


 おおっギリギリ通用してるのか、静かに怒ってらっしゃる。


「レイ、説明。」


 うおっと、険悪けんあくなムードだ。え?ニコニコしててレイさん説明する気無いんですか。まじか?代わりに説明しなきゃなんないの、嫌だなぁ。


「その緑の飴玉、レーションは、ジーニャの依頼品だ。」


「依頼?」


 うおっと、頼むから睨まないで欲しい。いやー美人が怒ると怖いんだね。


「獣人は、ポーションも欲望のまま、ぐ飲んで、肝心かんじんの時に無いと話していただろう。そのレーションなら、肝心の時まで残る。」


「どういう事?」


 だよな。普通この説明じゃ分からないよな。レイの頭が良すぎるんだ。でも、説明は苦手なので、任せよう。


「レイ。」


「ん。この緑の飴玉、名前はレーション。効果は、回復ポーションと同じ。」


「え?これが回復ポーション!確かに回復した。」


 おおっ、そこから説明するのか、相手のレベルに合わせて話が出来るのは同レベルか、天才かだ。残念な部分はあるけど、レイは、天才だ。


「しかも、効果が同じなのに、壊れないし、小さい。そして、味を悪くする事により、緊急時以外は、誰も食べようとしない。つまり、ピンチの時に残っている。」


「す、凄い。これなら、獣人の死亡率が減る。」


「極め付けは、保存期間1年。」


「レイ、天才。」


「私、天才。」


 ハイタッチ祭りだ。久しぶりにみる。仲直りして良かった。若いっていいなあ、一生懸命背伸びしてるレイは、可愛い。


 冒険者がざわめく、まぁ効果が凄いから分からんでも無い。1年保つなら、買いだめ出来る。割れなくて、小さいなら持ち運び量も増える。収納系魔法は、魔力消費が勿体無もったいないから自由には使えないらしいし。


「レイ、値段は?」


「ジーニャが決めて」


 なんかギルド内が静かになった。皆、聞き耳をたてて、様子を伺ってる。


「同じで、良くない。」


「ん。」


 おおっ、昨夜、材料費が安くて量産出来るとか自慢げに話してたからかなり良い値段設定だ。


「売ってくれ。」


「え?すっごい不味いよ、コレ。」


 以外にも一番手に名乗りをあげたのは、人族のお客様。そして、お勧めしないジーニャさん。正直な接客ですねー。


「うちのパーティの獣人が、関係ない時にガブガブ飲んで、ピンチの時に遠慮するんだ。演技も上手いし分からなくて、マジで緊急用ポーションが欲しい。」


「あぁ、分かるわ。」


 すっげーな獣人。獣人被害者の会の方、お買い上げありがとうございます。

 あと、ジーニャさんは、嫌がる獣人にも無理矢理買わせてた。お買い上げありがとうございます。



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