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ようこそ鬼道島へ  作者: ダノン
蕾ルート
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31/32

蕾ルート3話

「それじゃあ来週からよろしくね」

「はい!」


蕾さんとの島外デートから1週間後、俺は彼女との約束通り、大島屋の面接に来ていた。

結果は合格。

まぁ、バイトだから軽いものではあるが。

これで蕾さんとこれからも一緒のわけだが、問題がひとつ。

俺の担当がキッチンではなく、ホール担当だ。

理由としてはキッチンが十分らしく、足りないのはホールらしい。


少し残念ではあるが、蕾さんと一緒の職場で働けるのは嬉しい。

賄いは主に蕾さんが用意することが多いらしく、彼女の手料理は食べ慣れているが、外での食事は楽しみである。


『バイト面接終わりました』


メッセージアプリで蕾さんに報告する。

午後2時過ぎの昼下がり。

帰りにチラリと職場を見学させてもらったが、客足は少なく、ピークはすぎている様子だった。

まぁでも業務は続くはずなので、ゆっくり返信を待つことにしよう。

スマホをポケットにしまい、桜が舞うこの島をのんびり散歩しながら帰るか。

そんなことに思考を巡らせていた。


ヒュポ。


即座にメッセージアプリの返信。


『お疲れ様。結果どうだった?』


暇では無いはずだが、返信が早すぎる。


『合格です。今やり取りしてて良いんですか?』


心配になりつつ、結果と暇があるのかそれとなく質問を投げる。


『おめでとう』


スタンプが送れられて数秒後、ヒュポっとスマホが鳴る。


『大丈夫、今遅めの休憩もらったから』


ほっと一息。

俺のことが気になりすぎて、仕事サボってるんじゃないかと心配になったが、問題はないようだ。


『今は帰り?』

『はい。花見がてらコーラでも買ってゆっくり家に向かうつもりでいました』

『そっか。可愛い人や美人な人がいても、誘いに乗らないでね』

『わかってますよ』


恋人になりたてだが、蕾さんの心配性はわかる。

一目惚れで晴れて付き合い始めた俺たちだが、俺は咲倉蕾さんという相手を大事にしていきたい。

いきたいのだが、早速問題発生。


「あのー」

「はい」


地図を持った女性に控えめに声をかけられた。


藍色の髪に、丸型のグラサンをかけた女性だった。

「あのー、大島屋という定食屋に向かいたいのですが、道を訊いてもよろしいでしょうか?」

「この通りをまっすぐ行くだけですよ」

「そうですか、良ければ詳しい場所をお話しながらお伺いしていいでしょうか?」

「あのー、俺彼女いるので、そういうのはちょっと」

サッとすり抜けようとしたが、腕を掴まれた。

「そう言わずに、ちょっとだけ、ね?お姉さんが奢ってあげるから」

「いえ、ですから……!」

強引に誘われる。

どう断るべきかわからん。

逆ナンなんて初めてだからな。


「あれ?まもりん?」


救いの女神キタ━━━━(゜∀゜)━━━━!!


ちょうど桜花姉が通りかかった。

「桜花!ちょうど良かった!」

「え?なになに?」

キョトンとする桜花姉。

「すみません、お姉さん!彼女が迎えに来てくれたので失礼します!」


桜花姉の手を取りサッサッサと足速にお姉さんから逃げる。


「どうしたの?」

「逆ナン」

「あー、なる」


理解力のある相手でよかった。


「ところで面接どうだった?」

「合格だよ。来週からだって」

「そかそか」


ニヤー。

桜花姉がイタズラを思いついた子どものような表情を作る。


「これでまもりんはあたしの後輩というわけだ」

「そうなるな」

「そして担当は違えど、愛しの恋人と同じ職場」

「そうなるな」


ニヤー。


「何が言いたいんだ?」

「いや、さっきみたいに女性に絡まれた時どう言う対応取るか楽しみでね。上手く捌けなかったら、蕾さんとの中に亀裂が入らないか心配でね」

「桜花姉がいるだろ?」

「あたしは自分の仕事があるからねー」

「助けてくれよ」

「やだ」

「なんで?」

「さっき呼び捨てにしたお返し」

「あれは不可抗力で……」


桜花姉の表情が真面目になる。


「まもりんは、そこそこイケメンだって自覚持った方がいいよ。いつでもあたしが助けてあげられる訳じゃないんだから。女性からのお誘いの断り方学びな」

「桜花姉……」

「蕾さんのこと大事なんでしょ?」


ひょこっと覗き込む。

鼻を通る柑橘系の香り。


「そりゃあな」

「だったら、なおのこと頑張りな。蕾さん泣かせたらあたしも許さないから」

「おう」


なんか桜花姉って本当にお姉さんだなぁ。

見た目は下手したら中学生に見えなくもないが、中身は本当にお姉さんだ。

桜花姉の存在は大きい。

そう思えた瞬間だった。

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