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ようこそ鬼道島へ  作者: ダノン
蕾ルート
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蕾ルート4話

「なんでも言うこと聞くいい子ちゃんになるなよ、心がすり減るだけだ!そしてそれを癒してくれるのが死だあああああああああ!」



 毎朝の美咲先生を起こす目覚ましミュージック。

 なんかあれだね、慣れた。

 ガラ

「守君起きてるー?」

「はーい」

 現在は二月末。バレンタインデーという男女が緊迫するイベントが終わり、そろそろ来月のホワイトデーに向けてお返しを考える時期だ。


 屋根を伝って咲倉家へ。

 居間で朝ごはんの鮭をつついていると、桜花姉が瞼をゴシゴシと擦りながら、入室してきた。

「おはよー」

「桜花ちゃんおはよう」

「おはよう、桜花姉」

「おはようさん」

 朝の挨拶を済ませてみんなで朝食。


 カチャカチャと箸や食器がぶつかる音が響く中、俺たちは黙食して腹を満たしていく。

「ご馳走様でした」

 最速で食べ終えたのは俺だった。

「お粗末さまです」

 蕾さんが返答する。

 いつもなら、そのまま席を立ち希導家へと俺も桜花姉も戻るのだが、今回の俺は座ったまんまだ。

「どうしたの?守君」

 不思議そうに蕾さんが口元を押さえて疑問を飛ばす。

「いえ、せっかくなので、後片付け手伝おうかと」

「え!?えへへ、それはお姉さんと一緒にいたいって意味かな?」

 驚き、そして喜びが混ざった笑みを彼女は俺に真正面からぶつけてくる。

 可愛いなぁ、蕾さんは。

「はい、それもありますが、いつも蕾さんにだけ仕事を押し付けるのも悪いなって」

 俺も気持ちを真正面からぶつける。

 瞬間、蕾さんは頬を朱色に染める。

「ごちそうさまでした」

「ごちそうさん」

 ほぼ同時に食べ終えた美咲先生と桜花姉がそそくさと去っていく。

「じゃ、じゃあ早速手伝ってもらうね」

「は、はい」

 2人きりになった途端、お互いがお互いを意識してしまって心臓の鼓動が高まる。

 カチャカチャ。

 4人分の食器を流し台に運ぶ。

 既に魚を焼くために使用されたフライパン。

 味噌汁を作るために活躍してくれた鍋が、水に浸された状態で待ち構えていた。

「それじゃあ、私が洗うから守君はタオルで拭いてもらえる?」

「了解です」

 ジャー。カチャカチャ。

 先程まで食事が乗っていたお皿を蕾さんが軽く流水で全体を洗い流してスポンジに洗剤をつけてゴシゴシと洗っていく。

「お願いします」

「了解です」

 洗浄されたそれらをサッと拭き取り、ラックへとin。

「守君」

「なんですか?」

「この間の約束、覚えてる?」

「映画見に行く約束ですよね」

「うん、それでね。図々しいお願いだけど、ホワイトデーに合わせて行きたいの」

「それはいいんですが、俺は蕾さん以外からもチョコもらったので、そのお返しもしなきゃいけないので……」

「そうだよね……」

 花が枯れたように俯く。

「で、でも!蕾さんには特別な物を用意するので!」

 大きな声で宣言。

 彼女は、俺を見つめる。

 その目、その頬は、俺に対して期待を膨らませているように思えた。

「ふふふ、ありがとう。それじゃあお姉さん期待しておくね」

「任せてください!」

 大声で返答。

 さて、見栄を張ったが実は全然考えてなかった。

「ところでさ、守君」

「なんですか?」

 全ての食器を洗い終えて、キュッと水道を止める。

「今日、初出勤だよね?」

「はい」

「一緒の職場、楽しみだね。担当が違うけど」

「そうですね」

 俺たちは見つめ合い、互いの頬が赤く染ったのを意識して、恥ずかしくて目線をほぼ同時に逸らした。

「他の子になびいたら許さないからね」

「大丈夫です。今の俺は蕾さん以外に興味が無いので」

「バカ……」

 ぽんぽんと肩を叩かれた。


「ふんふんふーん♪」

 初出勤となる大島屋への道中、蕾さんと並んで歩を進める。

 桜花姉は気を使ったのか呆れたのか、先に目的地へと向かっていた。

 穏やかな気候が包み、桜はいつもと変わらずその綺麗な花びらを風に揺れて散っている。

「守君」

「なんですか?」

「呼んでみただけ〜♪」

 ご機嫌な様子の蕾さん。

 そんなに俺と一緒に働くのが嬉しいのか、本人に問てないが、もしそうならと考えると自然と胸が温かくなる。


 そんなこんなで、今日から俺の職場へとなる大島屋へ。

 蕾さんの案内で裏口から足を踏み入れる。

「やぁ、希導守くん、おはよう。今日からよろしくね」

「はい!おはようございます!今日からよろしくお願いします!」

 元気よく挨拶。

 初めだから第一印象を大事にせねば。

 更衣室へと案内されて「希導守」と既に用意されたロッカーで、支給された白のTシャツに、大島屋と紺のエプロンに白の刺繍で大島屋と記されたエプロンを身につける。

「よし」

 鏡で身だしなみチェック。問題なさそうだ。

 更衣室を退室する。

「まもりん来たね」

「桜花姉」

 待ち構えていたかのように、桜花姉が更衣室の前に立っていた。

「指導係はあたしだからよろしくね」

「おう」

「ここは職場。返事は「おう」ではなく「はい」」

「は、はい!」

「よろしい。従弟といえど、その辺は厳しく行くから」

「あいよ」

 ぺし。頭を叩かれた。

「先輩、痛いです」

「お仕置だからね」

 普段と雰囲気が違う桜花姉、仕事モードと言ったところだろうか。

「2人ともー、朝のミーティング始めるよ」

「「はい!」」

 店長の呼び声で、休憩部屋兼事務所へと通された。

 さて、心機一転、頑張るか。

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