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蒼境の子羊《メシア》たち  作者: くろ飛行機
4章 予言者はかく語りき
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2 サボる二人


 二人は新田川署から車で十分ほどのところにある、駅前交番に来ていた。

 偶然にも、担当した巡査の相方―――上司の細井(ほそい)巡査部長が出勤していた。


「お疲れ様です。ちょっといいですか」

「あれ、藤堂さんじゃないですか。またサボりですか? いい加減クビになりますよ」

「あはは。ご忠告痛み入ります」


 ちょうど暑い昼過ぎだったこともあり、新田川駅前の人通りはまばらだった。

 藤堂と大谷は交番の中に入れてもらい、つかの間のクールダウンを行う。


「仕事してたらね、ちょっと気になったもんですから」


 藤堂はそう言って、報告書を作成者である細井巡査部長に見せる。


「二か月前くらいですけど、覚えてます?」


 細井巡査部長はメガネを外し、目を細めて報告書を睨む。


「ああこれね! もちろん覚えてますよ。なにせ、変なおばあちゃんだったもんだから」

「具体的にお聞きしても?」

「うん。騒ぐわけでもなく、すごい真剣でね。新田川高校の生徒が危ないーなんて言うもんだから、部下と首を傾げちゃって」

「悪魔とか何とか? それに降霊術?」

「ほんと、びっくりですよ」


 細井巡査部長は苦笑いすると、冷蔵庫から麦茶を出してきて、二人に振舞った。


「でも、気になったんじゃありません? だってこんなこと、日報にするまでもないじゃないですか」

「ええそうです。飯田さんね、信用しない僕らに向かって、予言(・・)だーなんて言い出してね。それで聞いてたらびっくり……当たったんですよこれが全部」

「当たった?」

「はい。私は家に帰ってからの出来事を詳細に言われました。リビングでの出来事、晩御飯、その日妻から言われる言葉まで……全部、当たってたんです」

「うええ、気持ち悪」


 大谷の言葉に、細井巡査部長の表情が少し重くなる。


「だから詳しく書いたんですか?」

「まあ、そうです……お恥ずかしながら。娘が新田川高校に通ってるんで、尚更気になっちゃって。ああでもすいません。聞きに来られるってことは、迷惑でしたかね。もし課長とかに何か言われたら、訂正しますよ」


 藤堂は麦茶を飲み干すと、報告書を返してもらった。


「いえ。その必要はないと思います。私の方からも課長には言っておきますので」

「はあ……」

「ありがとうございました」


 大谷も、「ごちそうさまっした!」と元気よく言って、二人で交番を出る。


「俄然、気になってきた」

「え? 降霊術っすか?」

「まあそれもそうだが、予言だよ。俺はオカルトがか、な、り、嫌いだ。だから是非、体験してみたいと思ってな」

「えー嫌いならいいじゃないっすか。オレはもういいっすよ。暑いし帰りましょうよー」


 嫌がる大谷を無視し、藤堂は相談者の元へ向かうことにした。



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