3 罰を与えられなければならない。
「は……?」
爽やかに言い放たれた言葉に、昂大は絶句する。
「時限式で、明日の一限、日本史の授業が終了すると同時に爆発するようになっている。まあ、大した威力じゃない。爆発すれば、そうだな……ちょうど屋根が崩落して数人は死ぬだろう。その程度だ」
「ど、どういう……」
「意味を考える脳みそもないのか」
石川は慌てて顔を真っ青にする昂大を見て、くつくつと楽し気に笑うと、屋上を後にする。
「まあお前にとって、クラスメイトは赤の他人。生きてきた世界の違う、外側の住人だ。助ける義理はないだろうなぁ」
思考の定まらない昂大は、屋上を出て行く石川を見つめることしかできなかった。
風が再び屋上に吹き付ける。
まるで、昂大の体を押し上げ、屋上から引きずり降ろそうとしているように。
「くそっ……」
――――――なんですぐに動かないんだ。
昂大は激しい自己嫌悪に苛まれる。石川の言葉に狼狽えたのか。助ける義理はないと言い放たれて、納得してしまったのか。
――――――おれは、最低だ。
昂大は怒りと焦燥に支配され、マニュアルを握りしめたまま教室へ向かう。
暗闇の廊下を駆け抜け、用務員室でいくつか使えそうな工具をひったくると、南棟二階にある一年五組の教室へ飛び込む。
いつもと変わらぬ教室が、やけに殺伐として見えた。
「……どこだよ。どこにあるんだよ!」
昂大は天井を見て回るが、どこに爆弾があるかわからない。一年五組の教室は、四階建ての二階部分にあり、上の階が第二化学教室と呼ばれる部屋になっていたはずだ。
すぐに上階へ向かい、第二化学教室へ飛び込もうとするが、鍵がかかっていて開かない。
「くそっ!」
昂大は再び一年五組に戻ると、窓から上階を見る。すると、広めの排気ダクトが階の間に伸びていることに気づいた。
制服のポッケに入れていた工具を握り、フラッシュライトを口咥え、考えるよりも先に窓から排気ダクトへ飛んだ。排気口の網を力いっぱい引きちぎり、ダクトへ体を潜り込ませる。人一人通るのがやっとの大きさで、常人では這うのも難しい広さだった。体が柔らかい昂大は、何とか芋虫のようにくねくね這いながら進むと、しばらく行ったところで、箱型の爆弾が見えてくる。
「!」
箱についた古風なタイマーが、小さな音を立てながらカウントダウンを進めている。
昂大はライトで爆弾を照らし、握りしめていたドライバーとペンチを使って、慎重に爆弾の中身を露出させる。
――――――箱の中には、複雑で難解な回路が幾重にも張り巡らされていた。




