女公爵は人格スイッチなる魔法具を調べる
アルファが巻き込まれます
「人格スイッチ?」
「ええ。なんでも…そのスイッチをやりたくないことをやらなければならない時に押すと、人格が内なる自分と入れ替わり、目覚めた時にはやるべきことが終わっているのだとか」
「…怪しいわね」
「ええ、かなり」
「普通に売ってるの?」
「いえ。闇ルートでのみ手に入れられるのだとか」
「そう。何か問題が起こってベアトリス皇女殿下が泣く前に、調べるわよ」
「はい、ご主人様」
アンジェリクは、その日人格スイッチなる魔法具の噂を耳にしたリュカから報告を受けた。アンジェリクは怪しい魔法具だと思い、調べることにする。早速アルファの元に行くアンジェリク。しかし…。
「アルファ!早速だけど、欲しい情報があるの。…アルファ?」
「…アルファって、私のこと?」
「…え?」
とある領地の貧民街の路地裏、いつもの場所に彼女はいた。どう見てもアルファそのものの彼女は、しかし…。
「私はハイド。ハイドよ?」
「…貴女、それ」
アルファの手には、何かしらのスイッチが握られていた。…彼女は、アルファではない。
「アルファは人格スイッチを押したのね?」
「…多分、そうね。私はハイド。スイッチを押してくれたら外に出られるの。他の人がスイッチを押してくれたら、その人の身体に行くのよ?貴女も押してみる?」
「やめておくわ」
しかし、内なる自分と入れ替わるという話ではなかったのか。
「ねえ、そのスイッチを押すと内なる自分と入れ替わるって聞いたのだけれど。貴女は、アルファの内なる自分ではないわよね?」
「多分違う。私はジキルから、これに閉じ込められたの」
「ジキル?」
「そう。ジキル博士。彼女はね、私という自分の悪側面を嫌って、魔法で私を閉じ込めて捨てたの。私は彼女の中に戻るために、知らない人達の身体を使って良い子に振る舞って、ジキルに近付けるその時を狙ってるの」
「…まだ悪いことはしてないのね?」
「うん」
「けれど、悪側面ということは悪い子なのね?」
「うん」
「…わかったわ。貴女をジキル博士とやらの所に戻してあげる。いつまでもアルファがそのままじゃ、私達が困るもの」
「ありがとう!」
アンジェリクはリュカに指示して、ジキル博士を調べることにした。その間、アルファ改めハイドは屋敷に連れ帰り世話をすることに。リュカは数日かけてジキル博士の素性を調べ、ジキル博士の研究の功績を称えるためとしてエルドラド公爵家に呼び出した。アンジェリクとハイドはその素早い動きに思わず拍手を送った。
アンジェリクはハイドが苦手です




