女公爵は拷問卿と対峙する
久々の更新
ある日、アンジェリクの元に一通の手紙が届いた。それはベアトリス皇女からのものだった。
「私の大親友のアンへ
アン、最近はとても暖かくて過ごしやすい日が続くわね。
実は最近、アイザック・サミュエル伯爵の悪い噂を聞いてしまったの。なんでも、彼のお屋敷に奉公に出た人達が帰ってこないとか。
本当は直接会って相談したかったのだけれど、最近パーティーばかりで忙しくてなかなか貴女と二人きりのお茶会が開けなくて…ごめんなさい。
アンしか頼れる人がいないの。どうか、噂の真相を確かめてくれないかしら?お願い。
貴女の大親友ベアトリスより」
アンジェリクは手紙に目を通すと、素早く出掛ける準備を整えてリュカを連れてサミュエル伯爵の屋敷に向かう。本来ならアポイントメントを取るべきなのだが、場合によっては急を要すると考えたのだ。なにせ彼の伯爵は吸血鬼の血が流れている。どうも先祖返りではないとの話だが、その血が人間の血を求め何かやらかしている可能性は否定出来ない。
「リュカ」
「はい、ご主人様」
馬車がサミュエル伯爵家の前で止まる。サミュエル伯爵家の門には誰もいない。リュカがサミュエル伯爵家の門を叩く。すると、あろうことかサミュエル伯爵自身がその門を開いた。
「これはこれはエルドラド公爵様!本日はいかがされましたか?」
「…アポイントメントも取らずにごめんなさい。実は最近、貴方に良くない噂が立っているの。それを払拭するために、ここに来たの」
「悪い噂、ですか?」
「ええ。…門の前に誰もいない上に、直接伯爵自身がその門を開けるなんて、どうしたの?奉公に来た使用人達はどうしたの?」
「…」
「貴方の所に奉公に出た人達が、帰ってこないと噂になっているわ。…彼らはどこ?」
アンジェリクは、サミュエル伯爵を刺激しないように注意しながらも聞くべきことを聞く。
「…そこまで知っていらっしゃるなら、分かるでしょう?もう彼らはこの世のどこにもいませんよ」
サミュエル伯爵は開き直って自白する。アンジェリクは内心その身勝手さに呆れながらもサミュエル伯爵を罵倒しない。こんな場所で殺し合いになると面倒だからだ。
「…!」
「我が血が、求めるのですよ。人間の血を」
「…そう。大人しく投降しなさい」
「もちろんですとも。エルドラドの邪竜に先祖返りですらない私が叶うはずがない」
両手を挙げ、降参のポーズをとるサミュエル伯爵をリュカが縛り上げた。
「これから貴方を治安部隊に突き出すけれど、その前に何故こんな事をしたのか、殺した彼らをどこに遺棄したのか話しなさい」
「はい、公爵様」
今度は吸血鬼




