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原案8 ダンジョンマスター系①

休日出勤が入ってしまったのでストックから。


よく見ると今年初更新です。

・ストーリー


主人公は下級の蛇型モンスター。冬眠しようとして、できかけのダンジョンに迷い込む。

さらに、ダンジョンコアの元となる高純度の魔力をうっかり飲み干してしまう。

その結果、体内にダンジョンコアが形成され、ダンジョンマスターとなってしまう。


ダンジョンコアの指示に従いダンジョンを拡張していくが、外に出られないことに不満を抱き始める。

そこで、人型と巨大な蛇型2つの分身を作り、蛇型にダンジョンの防衛を任せる。

そして、人型に人格を憑依させ外の世界を満喫しようとする。


・プロローグ


〈ZZZ……〉


〈……〉


〈……ん?〉


〈ハッ!? 俺は一体……〉


 水底から浮上するように意識がハッキリしていく。

どうやら、俺は長い間眠っていたようだ。

まあ、蛇だからな。

冬眠くらい毎年やっている。


 いやいや、そうじゃなくて……。

ん~、なんだろう? この妙な感覚は。

まるで長い夢でも見ていたような……。

……寝てたんだから当然とか言うなよ?


 チラリと自分に目をやる。

長い胴体に白い鱗。

うん、俺の身体だな。


 こういう白い特殊個体をなんて言うんだっけ?

そうそう、アルビノだ。

俺はアルビノの蛇型モンスターなのだ。


〈んん? アルビノ?〉


 そこで俺は違和感の正体に気が付いた。

俺がアルビノなんて言葉を知っているはずがない。

そもそも、下級モンスターである俺にこんな思考力があるはずがないのだ。


『ダンジョンマスターの覚醒を確認』


〈へ?〉


 何だ今の声は?

周囲を見渡してみるが、誰もいない。

って言うか、狭いなここ。

俺の身体をギリギリ伸ばせるくらいの広さしかないじゃん。


『これより必要な情報と機能を強制インストールします』


〈はえ?〉


 今度は分った。

この声は俺の内側から聞こえてきている。

しかも、内容がどことなく不穏だ。


『インストール開始』


〈アババッ!? アバババババババァ!!〉


 三度聞こえた声。

次の瞬間、俺はとんでもない頭痛と全身の痺れに悲鳴を上げる事になった。

目覚めたばかりなのに再び意識が遠くなっていく。

暗くなっていく視界に思わずにはいられない。


〈どうしてこうなった……〉




 ファングスネーク。

最下級のモンスターの一種で、小型の蛇の姿をしている。

モンスターとは魔物とも呼ばれ、体に魔力を帯びている生物のことだ。


 モンスターは普通の生物が魔力を帯びて変異した種族と、魔力溜まりと言われる高濃度の魔力から直接誕生する者とがいる。

ファングスネークは前者の子孫であり、後者の代表はスライムだ。

俺の場合はファングスネークの卵から生まれた、生粋のファングスネークというわけだ。


 ただ、俺は他の兄弟と少し違う点があった。

緑や青、黒といった鱗を持つ兄弟たちと違い、俺の鱗は真っ白だったのだ。

まあ、ファングスネークに差別やイジメをするような知能は無い。

しかし、保護色という防衛手段を持たないアルビノは敵に狙われやすい。

種族によっては太陽にも弱くなってしまう。


 幸い俺は無事に数年を生き抜いた。

昼間は穴にこもり、夜に獲物を狩る。

変わり映えの無い生活だ。


 しかし、ある時、俺は妙な穴に迷い込んだのだ。

俺は大型の魔物に襲われないように巣穴は持たず、毎日寝床を変えていた。

その日も夜が明ける前に、そこそこ深そうな穴を見つけてそこに潜り込んだ。

昨日までそんな穴は存在しなかったことに気付かずに。


 その穴は細いが深かった。

別に奥までたどり着く必要は無かったが、その時の俺は誘われるように潜り続けた。

いや、実際に誘われていたのだ。

その穴、できかけのダンジョンの奥に満ちた魔力に。


 数日、あるいは数週間かもしれない。

精も魂も尽き果てるころ、俺はようやく最深部へとたどり着いた。

そこには虹色に輝く液体を湛えた泉があった。

穴を潜り続け疲労困憊だった俺は、何の疑いも持たずに泉の液体を飲んだ。


 その味は言葉では言い表せない。

全身が組み変わっていくような充実感、達成感、幸福感。

もう一口、さらに一口、俺は次々と液体を飲んだ。

小さな蛇には飲み干せるような量ではなかったのだが、気付けば俺は全てを飲み干していた。


 そして俺は、そのまま意識を失ってしまったのだ。





『インストール完了』


〈ハッ!?〉


 無機質な声が聞こえ、俺は目を覚ました。

どうやら走馬燈ではなかった様だ。

生きているって素晴らしい。


 しかし、嬉しくない事実もある。

どうやら俺はダンジョンコアと同化し、ダンジョンマスターとやらになってしまったらしい。

それは俺がこの穴倉から出られないことを意味していた。


 強制的に植え付けられた知識によると、全ては俺の自業自得であった。

俺が潜り込んだ穴はできかけのダンジョン。

俺が飲んだ液体は、物質化するほどに濃縮された魔力そのものだったらしい。

そう、俺はダンジョンが完成する寸前に、誕生間近のダンジョンコアの材料を飲み干してしまったのだ。


 ダンジョンは一種の魔法生物と言われているが、それは正しかった。

生まれる寸前に喰われたダンジョンは、何とか生き残ろうとした。

そこで目を付けたのが暢気に寝ている怨敵である白蛇。

つまりは俺である。


 高濃度の魔力を直接摂取した俺は劇的に成長していたらしい。

泉の液体を飲み干せたのも、飲むほどに俺が巨大化していたからのようだ。

種族的にもファングスネークより遥かに高位に進化していた。

目覚めた時の違和感は、手にした知性に対する戸惑いだったのだろう。


 ともかく、ダンジョンコアは巨大に成長した俺を利用して復活しようとした。

その方法とは俺の核を依り代とするというものだった。

魔物は全て体内に魔力の結晶である核を持っている。

大きさや品質は魔物の強さに比例し、ファングスネークの核なら砂粒くらいの大きさしかない。


 だが、今の俺の核はダンジョンコアとして十分に利用できるサイズらしい。

まあ、ダンジョンコアになるはずだった魔力を取り込んだのだから当然か。

ちなみに、巨大な魔石を加工して人工ダンジョンコアを作る技術も存在するようだ。


 こうして俺は、寝ている間に核をダンジョンコアにされてしまったのだ。

うん、自分の事とは言えアホ過ぎるな。

過ぎたことを悔やんでも仕方ないけど。


 ところが世の中上手くは行かないもの。

ダンジョンコア側にも不測の事態が起きたのだ。

核にダンジョンコアとしての機能を持たせることには成功した。

しかし、俺の自我を乗っ取る事は出来ず、俺に行動を強制させることもできなかったのだ。

その点については俺の幸運に感謝したい。

 

 しかし、このダンジョンコア、俺が寝てる間にやらかしてくれたようだ。

すでにダンジョンは形成され、オープンされてしまっているのだ。

何もしなければいつかは侵入者が俺の前にやってくる。

そうなれば多少デカくなったとはいえ、ただの蛇に過ぎない俺は討伐されてしまう。

すでに退路は断たれていた。


 ダンジョンマスターはダンジョンから出る事はできない。

ダンジョンコアは移動できない。

俺はと言うと、この部屋から移動できない。

いざという時、逃げる事すらできないのだ。

チクショウ……。


 俺が自分の身を守るには、ダンジョンマスターとして真面目に働く以外道は無いようだ。

幸い必要な知識は与えられているし、役目さえこなしていればダンジョンコアも協力的だ。

仕方ない。

ダンジョンマスター、やってみますか。





主人公は物語後半まで自分の身体のデカさを理解できません。


コアルームに1匹でいるため、客観的に知る事ができなかったのです。


種族名 ヨルムンガンド 体長 約10km

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