原案6 勇者→魔王→フリー ①
RCW盛り上がってるとこなのに、なぜかこっちです……。
勇者が魔王に、魔王が勇者に、最近よくある役割交代もの。
大抵は裏切られた~とか、暇でもう飽きた~、とか理由があります。
この原案では、『勇者→魔王→解放され一般人』という流れが確定している世界が舞台です。
ただし、主人公はハプニングで力を使い果たす前に解放されてしまい、最強の一般人になってしまうのです。
・伝説
世界の中心『聖域』。そこは世界の淀みである『瘴気』が浄化される地。
しかし、定期的に誕生し聖域を占領する存在があった。それは『魔王』。
瘴気から生まれる魔物の王。かの者が現れた時、聖域は魔に染まり魔物が溢れ出す『地獄』と化す。
魔王が生まれると絶望を払う使徒が降臨する。それは『勇者』。絶望を払い魔を退ける者。
勇者は魔物を倒し、その力を研ぎ澄ます。そして勇者は魔王に挑む。
数多の勇者が『地獄』に挑み、力尽きた。しかし、魔王に挑み敗れた勇者はいない。
勇者が魔王を倒した時、瘴気は薄れ魔物は退く。
それが、この世界で繰り返されてきた歴史。ただし、表向きの。
・OP
神聖な雰囲気が漂う神殿。そこを駆け抜ける者達がいた。その中心は金髪碧眼の青年だった。
白い鎧に豪奢なマント、そこに刺繍されているのは世界最大の宗教の聖印だ。
瘴気を浄化し、魔物を滅ぼす力を持つ者。彼は勇者と呼ばれる聖人だった。
彼と共に進むのは当代の英雄達。聖騎士、大神官、賢者、錬金術師、全員が勇者の従者であり仲間だ。
実は今回の魔王討伐はイレギュラーだ。本来『聖域』が『地獄』と化し魔物が溢れ出して初めて、諸国の連名で魔王討伐が布告される。だが今回、彼らの所属する宗教国家は、聖域が聖域の内に魔王討伐を行う事を独自に決定した。故に彼らがここにいる事を諸国は知らない。聖域と言えども魔物は強く、彼らもかなりの苦戦を強いられたが、どうにか突破に成功した。もし地獄と化した後ならば、比べ物にならないほどの困難だっただろう。自国の『聖域が地獄に変わる前に、魔王が弱いうちに滅ぼすべし』という考えの正しさを再認識する勇者パーティ。しかし、進むにつれて瘴気が濃くなり、魔物も出現するようになる。魔王が近いのだ。
そして遂に神殿の中心部にたどり着いた勇者パーティ。そこには漆黒の瘴気を纏った人型が待ち構えていた。部屋は様々な魔法陣で埋め尽くされ、床に開いた大穴からは黒い瘴気が溢れ出している。そして、その瘴気の大半は黒い人型に流れ込んでいた。勇者たちは確信する。この人型こそが魔王であると。
だが、当の魔王は困惑している様子だった。そして、こう呟いた。
「どういうことだ? いくらなんでも早すぎる……」
それを聞いた勇者たちは、こう理解した。魔王は聖域が地獄に変わる前に自分の存在を知られてしまった事を驚いているのだ、と。そして、今の魔王はそれ程苦も無く倒せる、と。勇者は破邪の聖剣を手に魔王に歩み寄る。すると、魔王は目に見えて慌てだした。
「待て、まだ交代から100年も経っていないはずだ。俺はまだまだ耐えられる」
「教国は何を考えている。無駄な犠牲を出すつもりか」
「お前はそれでいいのか。納得した上でここにいるのか」
意味深な言葉を発する魔王。勇者パーティにも不審に思う者が現れる。しかし、勇者の意志は揺るがなかった。迷い無く、躊躇い無く、輝く聖剣を魔王に突き込む。魔王は諦めたようにその刃を受け入れた。
『魔王に挑み、敗れた勇者はいない』という有名な言葉がある。それは紛れもない真実だった。
歴代の魔王は目の前に立った歴代の勇者の刃を、無抵抗に受け入れてきたのだから。なぜならば……。
魔王を貫いた聖剣が激しい光を放つ。そして魔王の纏う瘴気が聖剣に吸いこまれ、見る見る薄れていく。
それだけではない。聖剣を黒く染めた瘴気は勇者にまで流れ込んでいく。驚愕し手を放そうとするが、聖剣は手から離れない。そして、聖剣が役目を終えたように砕け散った時、勇者の目の前には青髪緑眼の1人の青年が立っていた。その表情は哀れみに満ちていた。
「やはり、君達は何も知らなかったのか」
青年の言葉に我に返った勇者は異変に気付く。純白の鎧が、金色の髪が、白い肌が、全て漆黒に染まっていた。それは先ほどまでの青年の姿と同じ、瘴気を纏う魔王の姿だった。勇者もその仲間達も、混乱して何が何だか分からない。そんな彼らに青年はゆっくりと話し始めた。
「俺は君の先代の勇者だ。90年程前に、君と同様に先代の勇者より役目を引き継いだ。聖域の管理者にして人柱である『魔王』の役目を」
・真実 前半
この世界には魔力というエネルギーが存在する。それは世界を循環しており、その流れは『魔脈』と呼ばれた。空気や水が汚れる様に魔力も汚れる。その汚れた魔力は瘴気と呼ばれた。瘴気は主に生物の負の感情によって発生した。しかし、大抵は拡散し薄まり魔脈の流れと共に消え去っていく。瘴気が世界に悪影響を与える事は無かった。
状況が変化したのは『人類』と総称される生物が増加し始めたころだ。動物よりも複雑な感情を持つ人類は、他の生物よりも多くの瘴気を発生させた。世界の瘴気濃度が上昇したことで、様々な影響が出始める。負の感情から発生した瘴気は、生物の負の感情を刺激して更なる瘴気を発生させる。高濃度の瘴気に汚染された生物は変質し、魔物と呼ばれる異形と化した。そして魔物による犠牲者の増加は、さらに瘴気を発生させる原因となった。だが、この時点では人類は事の重大性を認識していなかった。
人類が増えると村ができ、町へと発展する。町は集まり国となり、国はやがて接触し争い合う。まるで、それが定められた運命であるように。数多の命が失われ、絶望と怨嗟が世界を染め上げた時それは現れた。『悪魔』、それは瘴気から誕生した邪悪の化身。瘴気による変質ではなく純粋な瘴気の結晶。この人類の敵の誕生に人類はお互いに争う余裕を失った。昨日の敵と肩を並べ、背を預け合い戦う。誰も疑問に思う事は無かった。そうしなければ人類は滅ぶと誰もが理解していた。
幸いにして悪魔は数が少なく、人類同士の争いが沈静化すると新たに誕生することも無くなった。だが、世界の瘴気濃度が再び上昇すれば彼らは現れる。世界は悪魔への恐怖により仮初の平和を手にしたのだ。世界は国力を維持していたいくつかの大国を中心に復興され、その過程で小国は大国に吸収されていった。そして人類は瘴気発生のメカニズムを研究し、瘴気を通常の魔力に還元する術式を生み出した。この『浄化』の術式は広く普及し、たびたび現れる魔物の駆除に力を発揮することになる。しかし、人類の悪魔への恐怖と瘴気への忌避感は全く衰えなかった。
人類は戦争を放棄した。しかし、その結果人口は爆発的に増え続け世界の瘴気濃度は徐々に高まっていた。
とは言え、それは悪魔を生み出すほどのものではない。魔物による犠牲者も総人口からすれば微々たるものである。だが、人類は瘴気を根絶するべく動き出した。あらゆる英知を集結し、魔脈に干渉しその流れを操作した。世界を流れる主要な魔脈全てが、ある1点を通る様に。そこに建てられたのは瘴気の浄化施設だった。真下を通る魔脈からフィルターの術式で瘴気を抽出し、大規模な浄化の術式で瘴気を魔力に還元する。
この施設の完成によって世界の瘴気濃度は急速に低下していった。しかし、この施設は重要施設であるがゆえに反社会勢力のターゲットにされるリスクを孕んでいた。さらに魔脈の操作という行為は自然信仰の宗教から厳しい批判を受けることが予想された。それゆえにこの施設の存在と概要を知る者は大国の上層部に限定され、一般の民には瘴気を浄化する『聖域』が誕生したという事だけを布告した。
瘴気の脅威を克服し、発展を続ける人類。しかし、その平穏はある日唐突に崩れ去った。聖域から溢れ出す悪魔の大群。聖域周辺はたちまち阿鼻叫喚の地獄と化した。人類は総力を挙げて対抗したが、悪魔は無尽蔵に押し寄せる。戦況は完全に膠着し、ジリジリと犠牲だけが増えて行った。当然、各国上層部は原因究明に全力を尽くした。その結果、導き出された結論はキャパシティオーバーであった。聖域は定期的にメンテナンスは行われていたが、機能自体は何百年も同じだった。当時は浄化機能には余裕があったが、更なる人口増加によって瘴気を浄化しきれなくなったのだ。聖域は世界中の瘴気を集めて悪魔を生み出す、『地獄』と化してしまった。しかし、今更機能を停止しても悪魔と魔物が世界中に現れるだけである。そこで研究者達が目を付けたのはある才能を持った者達だった。彼らは浄化魔法に高い適性を示し、魔物や悪魔との戦いにおいて一騎当千の戦果を挙げる。そんな彼らはこう呼ばれていた。『勇者』と。
主人公は金髪勇者君ではなく青髪の先代です。
相変わらず設定が長いですね。
でも、できるだけしっかり決めとかないと後で矛盾点が出たりするんで。




