↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
聖属性を授かったら前世の記憶が戻りました ~伯爵令嬢アルシアのほのぼの領地生活~  作者: クロミ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
12/21

12

 エドワードの訓練は毎日続いた。

そしてアルシアの治癒も、毎日続いていた。

訓練後のエドワードの手を治す。転んで擦れた膝を治す。木剣が当たった腕の切り傷を治す。

最初は光の量が安定しなかった。多すぎたり少なすぎたり。でも毎日続けるうちに、少しずつ感覚が掴めてきた。


 ヴィクター先生はその様子を観察しながら、授業で正式に治癒魔法を教えることにした。

「今日は治癒魔法の対象について学びましょう」

先生が教壇に立った。

「治癒魔法が対象とするのは、目に見える怪我です。切り傷、擦り傷、裂傷、骨折、火傷。これらは魔法で直接修復できます」

アルシアは真剣に聞いていた。

「では傷がない場合はどうでしょう」

先生が続ける。

「打撲や青あざ、運動した翌日などにある筋肉の痛みは治癒魔法の対象外です。外見上傷がないため、魔法が作用しません。これらは安静にして自然に治すしかありません」

「先生」

アルシアが手を挙げた。

先生の表情が、わずかに固まった。

「……なんですか、アルシア様」

「打撲は怪我ではないんですか?」

「怪我ではありません。傷がないので」

「怪我です」

先生が止まった。

「……違います」

「中で血が出ています」

「出血しておりません」

「でも痛いです」

「痛いですが…」

「じゃあ怪我です。中で出血してます」

「しておりません、外見上——」

「見えないだけです」

ヴィクター先生が止まった。完全に止まった。

エドワードが小声でアルシアに囁いた。

「……またやってる」

アルシアは気にせず続けた。

「見えない出血があります」

「……見えない、出血」

「はい」

「どこに」

「皮膚の下です」

「…………」

「もっと中とか」

「…………………」

先生の目が、ゆっくりと遠くなっていった。

しばらく沈黙が続いた。

先生が羊皮紙を取り出した。

「アルシア様」

「はい」

「なぜそう思うのです」

アルシアは少し首を傾げた。

「だって青いじゃないですか」

「青い」

「打撲した場所が青くなるでしょう。中で何かが起きているから色が変わるんだと思って」

先生がまた止まった。

「……色が変わる理由を、考えたのですか」

「だって気になりますもの」

先生は羊皮紙に何かを書き始めた。物凄い速さで。

エドワードがため息をついた。

「アリー」

「なあに」

「また先生が記録モードになってる」

「そうなの?」

アルシアは首を傾げた。

先生は書きながら呟いていた。

「皮下出血?……内部組織損傷……外からは見えない……これが治癒魔法の対象外である理由は……外見上の判断基準が……いや待て、もし内部の損傷も修復できるなら……」

「先生」

とエドワードが言った。

「なんですかエドワード君、今忙しい」

「あっはい。………いえ、授業は?」

先生が顔を上げた。

「……続けましょう」

羊皮紙をしまいながら、先生は静かに呟いた。

「………神よ」

今日も祈っていた。


 授業の後アルシアはエドワードを呼び止めた。

「ねぇエド、ちょっと試してもいい?」

アルシアがエドワードの腕を見た。昨日の訓練でできた青あざがまだ残っていた。

「打撲に聖魔法をかけてみる」

「……できるのか?」

「わからない。でもやってみる」

アルシアが手のひらをエドワードの青あざの上にかざした。

目を閉じた。自分のものではない記憶が頭の中を流れる。

(皮膚の下で血が漏れている、毛細血管が傷ついている、皮膚の下に傷がある。それを修復する)

「ヒール」

白い光がじんわりと広がった。しばらくして、光が消えた。二人で青あざを見ると、あきらかに薄くなっていた。

「……薄くなってる」

エドワードが目を丸くした。

「できた」

アルシアが小さく笑った。

「できたわ」


 翌日、アルシアは授業が始まるや否やヴィクター先生に話しかけた。

「先生」

「……なんですか、アルシア様」

「打撲に聖魔法かけたら薄くなりました」

突然の報告に先生が固まった。

「…………」

「やっぱり見えない傷も怪我だったんだと思います」

「…………………………」

「神よ」

今までで一番早い祈りだった。

エドワードは深くため息をついた。

お読みくださりありがとうございます!


「面白そう!」

「もっと読みたい!」

「応援してるよ!」


と少しでも思ってくれたら↓の★★★★★を押して応援していただけると嬉しいです!

ブックマークもお願いします!


あなたの応援が、更新の原動力になります!

よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。