宇宙のたまご③
「全艦・総攻撃開始!」
その命を受け、無数の艦が一斉にゼウスへ向け攻撃を始める。
「反物質転換砲!放て!」
<アポロン>の艦首から眩い光の塊が発射される。
ブラックインパルスのスーパーノヴァボンバー6門をも退けた超兵器だ。
無数の光はバリアーを貫きゼウスへ。その漆黒の中へ吸い込まれて行く。
・・・何も起こらない。
「!」
突如無数の<暗黒星>が出現。
従来とは違い猛スピードで転進を繰り返し、攻撃をかわす。
暗黒星はトスーゴ艦に激突。その接触部分がえぐられたように消失する。
無敵艦隊の反撃。数で圧倒し、次々と暗黒星を撃破する。
「第二作戦に入る」
二重銀河の中心。ふたつの巨大ブラックホールの周りに無数の物体が浮かぶ。
銀河跳躍砲だ。光のリングが出現。その中へ巨大な光の束が流れ込んでいく。
光は現れる。その束はゼウスに突き刺さる。
近くの(と言っても100万光年以上離れている)銀河からも銀河跳躍砲が次々に来る。
数多の光の束がゼウスに降りそそぐ。
・・・だがそれだけだった。
再び無数の<暗黒星>が出現。
それらは合体し一つの黒い龍となる。星を食べれるほどに巨大な<暗黒龍>。
口から目から角から爪先から全身のトゲから黒い稲妻が放たれる。
それに当たった艦は消滅する。
「放て!」
<アポロン>から反物質転換砲が発射される。
眩い光は<暗黒龍>の頭部を貫く。一瞬で無数の<暗黒星>となり消滅する。
艦隊は隊列を整える。
「第三作戦!」
艦隊は道を開ける。
その背後から太陽の数倍もある球体がゼウスへ接近する。光が洩れている。
リナは美理に説明する。
「ゼウスは本来ならば、あなた方の時間で数千万年前にビッグバン化していました。そうならなかったのは、私達の先祖が時間を止めたから。でもトスーゴの時間も止まってしまいました。・・その間にあなた方は進化した。今から約600年前、トスーゴの、遅れてゼウスの時間が動き始めました。そしてあと少しでビッグバンが起こります」
「長年蓄え強化したエネルギーの塊だ。全艦、撃ち尽くせ!」
ゼウスにぶつかる球体。光と闇の激突!
<アポロン>は反物質転換砲を連続発射する。
さらに無敵艦隊の総攻撃。ドプラスの回転砲。プラズマ砲。惑星大ミサイル。
再度発射される銀河跳躍砲の群れ。
眩い閃光。
戦闘は数日におよんだ。
・・だがゼウスは無傷だった。
<スペースインパルス>メインブリッジ。
マーチンは副長席でリナ王女の船<ペガサス>の資料を見る。
「何かわかったか?」リベラが尋ねる。
「・・まだ何とも」答えながらおやつをほおばる。
明が「誰だ、こいつにエサを与えたのは?」
麗子がそーっと手を上げる。
「問題はこれだ。さっぱりわからん」
画面には<ペガサス>のある部品が映る。粉々に砕けていた破片をデータ化し<那由多>がコンピューター内で組み立てたものだ。
天文班の報告を持って来ていたボッケンが見て一言。
「何かフロンティア号でこんなの見た」
「!!・・すげえな、お前。・・<フロンティア号>のメインエンジンには未知のブラックボックスがあるんだ。確かにそいつにそっくりだ」
「つまり?」
「この二隻は同一とまではいかなくても姉妹船かもな」
いやそれは形を見ただけで予想できたとは誰も言わなかった。
ジグが「艦長、意見具申」
流は無言で手を差し出す。
ジグは立ち上がり、「前に言ったようにATUの他にトスーゴと敵対している勢力がいくつかあります。戦う道を選ぶなら、彼らと同盟を結ぶべきです」
「聞かせてくれ。知っている範囲で構わん」
「まずトスーゴ第四艦隊と交戦中の勢力A・これはケイ素系生命体が中心です。そして第六艦隊と交戦中の勢力B・これは外骨格の昆虫型。すでに第一艦隊に滅ぼされ抵抗のみの勢力C・これは機械化生命体。大きいのはこれら三つです。ここから近いのは勢力Aバール連盟です。ギガロとは別方向へ430万光年」
「コンタクトを試みてみるか」
トスーゴ無敵艦隊前衛旗艦<アポロン>はトスーゴ本星へ降下する。
人工太陽である二重の環は暗かったが、次第に光を放つ。朝。夜が明けたということか。
目前に水。本星の外表は海。船は巨大な波柱を上げて海中へ侵入する。
艦長室。
オズマは椅子にドカッと倒れ込む。
「残念ながら作戦は失敗だ。無念の帰還か」
「どう・・なるのですか?」美理が尋ねる。
船は海(水の層)を通過、空(大気の層)に入る。眼前に緑の大地が広がる。
「ゼウスそのものを他の場所へ移動させる。それと並行して、全トスーゴが宇宙の果てへ避難する事になるだろう。そこならばビッグバンが起きてもここは数万年は大丈夫だ。我々が宇宙へ進出したのは、敵と戦う他に、避難先の確保という目的もあったのだ」
「ビッグバンの・・宇宙のたまごをどこへ?」
「最有力候補は君達の銀河だ」
「!!」




