宇宙のたまご①
第4章 宇宙のたまご
トスーゴ無敵艦隊前衛艦隊旗艦<アポロン>が発進する。
「あの中に美理が!啓作が!行かなきゃ・・」
明は立ち上がり、テレポートしようとする。
プシュ。 麗子が明の腕に麻酔薬を打つ。
「ごめんなさい」
明は一瞬麗子をにらむが、気を失う。
「スペースインパルス発進!」舵を取るのはエヴァンスだ。
インパルスは<アポロン>を追う。
しかし追いつけない。
インパルスを追い越して行く<スペースコンドル>隊長機。
無言でリュウはただ前を見つめる。アポロンが迫る。
リュウ機はアポロンのブリッジをかすめる。減速し翼を振る。
<アポロン>は停船する。
接近するインパルスをアポロンの主砲が狙う。
警報が鳴り響く中、流が命じる。
「総員・第一級戦闘態勢!・・だが命令あるまで、絶対に発砲するな!」
主砲の標準は<アポロン>へ。
緊張がみなぎる。時間だけが過ぎていく。と言っても数秒だが。
モカが「通信・・繋がります」
メインパネルにオズマが映る。その姿を見た全員が声を失う。
グレイが「啓作・・」
息をのむシャーロット。
「私はトスーゴ無敵艦隊前衛艦隊司令官オズマだ。本艦の針路を妨害するとは、何のまねだ。地球人ごときが・・」
流は立ち上がる。
「私は反トスーゴ連合所属・銀河艦隊第59戦隊旗艦スペースインパルス艦長・流啓三だ。
オズマ司令、その艦に私の娘が乗っているはずだ。返してくれ」
「断る。トスーゴ王家の血をひく者を下等生物の船に乗せておくわけにはいかない」
「王家?・・・戦火を交えてもか」
「たとえどんな犠牲を出そうとも、私は妹を守る」
「妹・・」流の眉がぴくっとなる。
メインパネルを見続けるシャーロットの目から涙が流れる。
オズマはその彼女と目が合う。
「!」
ふたりは見つめあう。
「(何だ?この感情は?)」オズマは訳がわからなかった。
メインパネルに美理が映る。
「父さん!・・私は大丈夫」
流は無言で娘を見つめる。
「明くんは?明くんは無事なの?」
「大丈夫だ。あいつはタフだからな」本当は医務室に運ばれてからの事は知らない。
「よかった・・・私たちとトスーゴはわかりあえると信じています」
「・・・・」
オズマが「では、いつか戦場で会おう」
通信は切れる。
<アポロン>は再発進する。艦首よりガス状の雲が発生し艦を包む。雲は発光し光の塊と化したかと思うとそのままワープして消える。
医務室。
明はベッドで眠っている。Qが診察を終える。
「適切な処置だ。よくやった」
麗子は暗い表情のまま。
「どうした?」
「明さんに・・何と言っていいか・・」
「お前は間違った事はしとらん・・・好きなのか?」
「え?はい・・(あ、誤解してるな)でもlikeとしてです。loveではありません。やさしいおにいちゃんって感じ?だって私には高校の時から好きな人がいます」
「そうか、わしか?」
「違います」即答。
奥でナトウがほっとしている。
メインブリッジ。
シャーロットはボーとしている。グレイが飲み物を渡す。
「ありがと」
「本物だと思うか?」
「わからない・・・」
流は無言のまま。腕を組んで宇宙を見据える。
「(奴は妹のために戦うと言った。わしはどうだ?娘のために戦えるのか?そのために乗組員に犠牲が出ても戦えるのか?そんな決断を下していいのか?)くそっ!」
破壊された無人のブラックインパルスをATUの技術者が調査している。
<スペースインパルス2司令艦>はタグボートに引かれて移動していく。
ロイとサライはそのブリッジで敬礼する。
船団はワープして行く。
流は<スペースインパルス>のメインブリッジで敬礼する。
第二格納庫の奥に眠る<フロンティア号>。
引き続きマーチンが整備していたが、ほぼ終了していた。
明が来る。そのケガはいまだ癒えていない。
「すげ・・(プロトン砲の代わりに)インパルスの主砲をつけたのか?」
「大破した第1砲塔を貰って修理した。でかすぎるので、半分以上削った。一門だけになったけど、威力は以前の比じゃない。後は点検とテストだけ」
「(砲身長すぎだろ)・・リックの・か」←後で伸縮するとわかった
マーチンはうなずく。「お前の方はもういいのか?そうは見えないけどな」
「少し油断しただけだ。次は負けない」
「少しね・・ところで何か用か?」
明は結晶体を見せる。
「美理の手紙に入っていた。何だと思う?」
「宝石のプレゼントじゃないな・・記録メディアぽい?解析してみっか」
「“那由多”(インパルスのメインコンピューター)で?」
「いいや。こいつ(フロンティア号)は元々トスーゴの船なんだろ?」
しかしコンピューターは地球製じゃなかったか?いいのかな?
コクピットへ。
シャーロットが「遅い!そんなんじゃ、格好の的よ。もう一回!」
「はいっ」麗子が答える。
「何しとん?」
「ワーププログラミングの特訓です」
「へえ」
麗子は立ち上がり「明さん・・あの・・」
「ありがとう。あの時止めてくれて感謝している」
そう明に言われて、麗子はほっとする。
「こいつは地球製だが、アップデートされて今や“ミニ那由多“て言える性能がある。副長も驚いていた」
マーチンは結晶体を<フロンティア号>のコンピューターにかける。
「何?それ」ボッケンが尋ねる。
「わからないから解析する」ごもっとも。
数秒の沈黙のあと、メインパネルに映像が映る。
交差した二重の銀河・・映像はその中へ。数え切れない船船船・・・
「こ、これは・・」
「トスーゴの本隊か・・凄い。第三艦隊の比じゃない」
ボッケンが「距離56億7千万光年・・」
「それって?・・(どこかで聞いたぞ)」
・・二つの環を持った美しい惑星が映る。
「これがトスーゴ星なのか?・・そして、これは?」




