インパルス対インパルス2④
インパルスのメインブリッジのメインモニターには依然TV放送が映っているが、会談の映像は流れない。専門家らしき人物がいろいろと“解説“しているが、軍事機密のためか情報が不正確だ。
流は美理の手紙を読んだあと艦長室に行ってしまった。
明はあくびをする。
アンドロメダ銀河・ゲマハナ宙域。
控室でグレイとロミは“休め”の姿勢のまま起立している。
エスパーといってもロミには予知能力も透視能力もない。勘は人一倍鋭いと言うが、明ほどではないらしい。グレイの武器は洞察力と情報収集能力だ。
そんな二人が同時に反応する。
メイドが会議室に飲み物を持って来る。すでに室内に飲み物はあったはず。
ATU側のSPがラプトンから飲み物のリクエストがあったと説明する。
トスーゴ側のSPが別のコップに移して毒見をする。問題なし。
メイドは会議室に入ろうとして 「待て」
グレイが呼び止める。「俺たちが持って行く」
メイドはトレイを近くのSPに渡す。その瞬間、トレイからガスが噴き出す。
ロミは即座にESPバリアーを張り、ガスを閉じ込める。
メイドとSPはガスを吸い込みはしなかったが、触れただけで倒れる。皮膚吸収性のある毒ガスか。
ふたりは医務室へ運ばれて行く。それを見送ったグレイは口を開く。
「イエーは毒ガスなんか使わない。標的だけを狙う。イエー以外にも狙っている者がいるのか?」
「昔イエーとなにかあったの?」ロミが尋ねる。「言いたくなきゃ言わなくていいけど」
「銀河パトロールに協力していた時、目の前で依頼人を殺された」
「・・・」
グレイはふと窓の外の“中庭”を見る。
「まるで日本庭園だ(ここはアンドロメダだぞ。地球と似た文化があるのか?)」
中庭は吹き抜け空洞で真空、天井は外(宇宙)と繋がっている。だから本物の植物ではなく人造のまがいものだが、よく出来ている。
「(イエーは外から死角のこんな場所をどう狙う?個人が標的なら対艦ライフルは使わない。おそらくバリアー徹甲弾か高出力ピンポイントブラスターで来る。ブラスター・・・)」
何かが浮かんでいる。きらきら光る数㎝のデブリ。宇宙船の破片か?
一つや二つではない。それらは規則正しく並んでいる。他のデブリと違ってくるくる回転していない。
「ただのデブリじゃない!反射板だ!」
モニターを見る。ラプトンが窓際に立って喋っている。
グレイは会議室に駆け込む。他のSPの制止は間に合わなかった。
部屋に入ったグレイは「窓から離れろ!」そう叫んで一目散に窓際へ走る。
SP隊長がラプトンを庇う。ケミイが銃をグレイに向ける。
その間にグレイはシャッター閉鎖のボタンを押す。
宇宙空間に漂う宇宙船の残骸の中で、イエーは腹這いでスペースライフルを構えてひたすらその時を待つ。
そのサングラスには控室のモニターと同じ映像が映っている(ハッキングされている)。
ターゲットスコープは真上から要塞の中庭を捉えている。窓際に人影。
シャッターが動き出したのは想定外だ。イエーは引き金を引く。
発射! 光の弾丸は一直線に要塞へ向かう。
中庭に入った光弾は反射板に命中。光弾は反射し、別の反射板へ。
数回それを繰り返した後、光弾はシャッターの下りた会議室の窓へ。
ビシッ!
シャッターに穴があく。窓にひびが入るが、シャッターのお蔭で防弾窓を破る威力はなくなっていた。
衝撃は会議室内に伝わる。
銃を突き付けられたグレイは大人しく両手を上げる。
ケミイは銃をしまう。何が起こったのか理解してもらえたようだ。
無人機が狙撃ポイントを捜索するが、イエーはすでに姿を消していた。
会談は中断された。
要人3人はSP達の先導で要塞の司令室へ移動する。
移動中、数秒間外の見える展望室を通ることになる。
イエ―は別の宇宙船残骸に移動していた。プランBだ。
腹這いでライフルを構え再び狙撃しようとしている。
スコープは超望遠で展望室を捉えている。人影が横切る。その指が引き金に・・
「!」何かがイエーの視界を遮る。
突然、無人のスペースインパルス2(ブラックインパルス)が突出する。
異変は要塞の司令室でも双方の宇宙船でも確認されていた。
「何だ?どうした?」
ブラックインパルスの主砲が旋回する。狙いを定め、発射!
トスーゴ艦に命中。爆発。
別のブラックインパルスの砲撃はATU艦に。爆発。
「!!」リナの顔がこわばる。
ラプトンとコンガッシュは固まる。
有人の<スペースインパルス2司令艦>メインブリッジ。
「何をやっている?止めろ!」ロイが叫ぶ。
「制御出来ません!」
残りのブラックインパルスも一斉に攻撃を開始する。




