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インパルス対インパルス2②

「殺し屋イエーです」

「!」グレイの言葉に流たちの顔色が変わる。

 イエーは遂行率99%の狙撃手スナイパー、その世界では有名人だ。

「奴か」明も思い出す。たった一人で<フロンティア号>を追い詰めた凄腕のバウンティハンターだ。

「ここアンドロメダだぜ。なんてテリトリー広いんだ」リュウが茶化す。

 流は即座に決断する。

「本艦はここから動けない。グレイ、ロミ。両名にリナ王女の護衛を命ずる」

 ふたりが選ばれたのは元銀河パトロールで(ロミは交通課だが)護身術に長けているからだ。グレイは情報収集に優れイエーとの戦闘経験もある、ロミはエスパーで女性だ。


 自室に戻った明(非番)は美理の手紙を読む。

「明くん、元気? 最後に見た時は元気そうだったので安心しました。

 ピンニョも私も元気です。心配しないで。

 リナ王女は私に同行を勧めてくれました。でも私は、ここでしなければならない事があるので行けません。

 それは戦いをやめさせる事。もう少しがんばってみるね。

 でも、本当は帰りたい。明くんに会いたい。父さんにも、麗子にも会いたい。

 今まで言えなかったことを言います。 あなたが好きです。 流美理。」  

 涙。涙があふれて止まらない。

 異星で(ピンニョと一緒だとしても)どんなに心細くしているのだろう。気丈にふるまっているのが文面からわかる。愛おしい。会いたい。会って抱きしめたい。

 カラン。手紙から何かが落ちる。拾う。 

「?」赤い結晶体?


「こんなに早く再会するとは思いませんでした」リナ王女が言う。

「私たちもです」ちょっと恥ずかしい。

 グレイとロミは<ペガサス>への乗艦を許された。

 <ペガサス>は<フロンティア号>に似ているが、ブリッジの位置が違う。船首ではなく船体中央(フロンティア号では居住区にあたる)にある。しかも広い。窓はなく壁や床は全面モニターだ。<フロンティア号>は元々トスーゴの船だが、大破した後に地球人の手で改修されている。元々操縦室は船体中央にあったのかもしれない。<ペガサス>のブリッジに乗員たちの席はあるが、計器は無く“思う”だけで船は動くと言う。

 グレイたちはリナの近くの席に案内された。銃の携帯も許可された。

 リナ王女護衛のリーダーはケミイという女性(多分)だ。

 邪魔者扱いされると予想したが、彼女らは好意的だった。プロだから?護衛という共通の目的があるから?グレイとロミを“できる奴”と判断したから?

 いやそもそもこちらの(狙われているという)話を信じたのはなぜか?(イエーはそこまで有名人ではないだろう)

 <ペガサス>が発進する。<ポセイドン>がつづく。さらにトスーゴ艦隊(全部ではない)。そしてインパルス2の司令艦と無人艦ブラックインパルス3隻。

 <ペガサス>よりガス状の雲が発生、それは他の艦を包む。

 船団は一斉にワープして消える。


 宇宙船団(ペガサス、ポセイドン、インパルス2、他)がワープアウトする。

 ここはアンドロメダ銀河の惑星ゲマハナ周辺。

「うそだろ」グレイがつぶやく。

 ロミは口をあんぐり開けたまま。

 インパルス2司令艦でも驚嘆の声があがっていた。

 サライが「すごい。75万光年をひとっ飛びか」

 行く手にATUの宇宙要塞が見える。小惑星を改造したリンゴのような形状だ。その一部は巨人にかじられたかのように欠けていて(宇宙港)、有名な会社のマークに似る。リンゴの芯の部分は空洞で“中庭”と呼ばれる真空庭園だ。その天井は吹き抜けになっている。

 要塞の司令室にラプトンとコンガッシュの姿がある。

「信じられん。どういう技術なんだ?」

 <ペガサス>ブリッジ。

 ガルゴスから通信が入る。

「姫さま。私は反対です。我々の力は彼らを凌駕しています。今さら彼らの力など必要ありません」 

「ビッグバンを食い止める。目的は同じです。無意味な戦いをする必要はありません・・ありがとう、ガルゴス。私の身を案じてくれて」

「・・・」

「同じだ」グレイがつぶやく。隣のロミが見る。

「目上の者を気遣う。仲間や同胞を心配する。俺たちと考えや価値観は同じだ」

「そういう相手と戦っているのね。つらいわ」

 <ペガサス>は要塞の宇宙港に接舷する。

 周囲には先の戦闘で破壊された宇宙船の残骸が浮かぶ。

 その中の一つにその男はいた。ライフルを組み立てている宇宙服の男。長い手足。七三分けの整えられた髪。高い鼻。ヘルメットの中のサングラスに星が映る。宇宙狙撃手スペーススナイパーイエ―だ。

 無人のブラックインパルスはM33から来た3隻の他にここに駐留していた10隻の計13隻。

 無人のブリッジ。計器が不気味に光る。


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