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インパルス対インパルス2①

 第3章  インパルス対インパルス2


「ビッグバン!」流が驚く。

 皆がリナに注目する。

「彼らは暗黒星を使って、全宇宙からエネルギーを集めて、新たにビッグバン・新しい宇宙を作ろうとしています」

「そんな・・馬鹿な。・・いや、究極のエネルギーとしてあり得る話か、しかし・・」さすがのアランも動揺している。

「なぜそれを我々に教えない?秘密にしている?」

「それは・・あなた方を作ったのは私達だから・・。下等な生物と蔑んでいるから」

「アラン!ビッグバンを起こされたら、何が起きる?」流が問う。

「わかりません。情報が少なすぎます。いや情報の問題ではないか・・現在の宇宙がどうなるか?ですよね・・・わかりません。何も起こらないのかもしれませんが、断定はできません。最悪の場合・・この宇宙は滅びます」

「影響を受けるのはトスーゴだけじゃない。我々もだ。この宇宙全体が・・」

「その他次元生命体とはいったい何なんです?」

 ロイの問いにガルゴスが答える。

「侵略者。我々は遥か昔から戦ってきたが、未だに分かっていない」

 リナが続ける。「この宇宙では他次元生命体に実体はありません。プラズマや精神だけの存在と考えられています。つまり他のものに憑依・とりついて支配するのです」

「!」明はデコラスを思い浮かべる。

 大銀河帝国を作り人々を戦争に駆り立てたデコラスは多次元生命体に操られていたのではないのか?


 トスーゴ星。

「(ビッグバン・・新しい宇宙?え?何それ?・・)」美理は黙り込む。

「お前達の力を認める事は、我々の歴史を造物主としてのプライドを捨てる事になる」

 大神王ゼノンの言葉に美理は反論する。

「一番大切なのは何ですか?プライドですか?メンツですか?お金ですか?私は・・命だと教わりました、兄に」オズマを見る。「敵であろうと味方であろうと、その命を奪い合う戦争は、恥ずべき行為です」

 エルザ王妃が「我が第三艦隊を壊滅させておいて、何を言うか」

 ゼノンは不敵な笑みを浮かべて言った。

「お前達はその戦争をずっと続けてきたではないか」

 苦しそうな美理。

「まあ仕方ないところもある。お前達は“戦士”として作られたのだからな」

「・・・」

「時間だ・・今日は面白かった。本物のお前と会えるのを楽しみにしている」

「ま、待ってください!戦争終結の話を!」

 ゼノンとエルザの姿が消え、周りも大広間から<アポロン>艦長室に変わる。 

 全てホログラフ。

 美理は疲れて座り込む。

「・・だめだ。結局平行線のままだった。ビッグバンで頭真っ白・・」

「無理しすぎだ。ゆっくり休め」オズマが肩を貸す。

「あ、ありがとう・ございます」


 <スペースインパルス>の会談も終わった。

「流艦長、またお会いしましょう」

「艦長ではなく美理の父親としてお願いする。あの子の味方になってほしい」

 リナは微笑んで「もちろんです。私たち友だちですから」

「ありがとう」流は敬礼で見送る。

「あ、このお菓子いただけますか?大変おいしかったので」

「ど、どうぞお持ち帰りください」

 るんるん♡。嬉しそうなリナ。再び頭をかかえるガルゴス。

 リナは自分の船に戻るべく歩き出す。明が扉を開ける。

「この船にリインはいたのですね?」

「え?」

「彼女は私の親友でした」

「王女・・リインを殺したのは俺です」

「知っています。戦争です。仕方ありませんわ」

 明は少しだけ気持ちが楽になった。

「美理さんも戦争をやめさせるために努力されています。でも時間がありません。ビッグバン発動まで地球時間で1年もありません」

「美理に伝えてください。必ず助けに行くと」

 リナは少し驚きつつ「手紙、読んでくださいね」と言い残して去る。

「どけどけ野次馬ども」ガルムとロミが王女を護衛する。

 野次馬の中のグレイ。ふとリナと目が合う。お互いお辞儀。勿論リナはトスーゴ式。

 グレイは黙って一行を見送る。トスーゴはショーンの仇だ。だが理性がそれを邪魔する。

 クルーにもトスーゴに恨みを持つ者は多いが、王女に何かあれば報復が待っているのは容易に考えられる。実際手を出す者はいなかった。

「ふん(よく統制がとれている。手強い)」ガルゴスはシャトルへ。

 リナもロミたちに軽く会釈してシャトルへ。

 リナたちのシャトルをリュウたち<スペースコンドル>が護衛する。

「ありがとうございます」

 そう言うリナに、リュウは返信する。

「俺の友人はトスーゴに殺された。(今俺が引き金を引いたら)」

「私たちもです。多くの同胞が死にました。このままでは、これからも・・・。変えなければなりませんね」

 通信モニターのリナはにっこりとほほ笑む。

「・・・(この人は本当にトスーゴの姫君なのか?)」

 応接室。

 片付けに生活班が入室する。それに混じってヨキとマーチンも中へ。

 マーチンは余ったお菓子をポリポリ。ヨキがぽつりと「可愛かった♡」すでにファンクラブができているらしい。

 流がつぶやく。

「美理みたいな娘だったな。“神”のくせに人の事を気にかけて」

「艦長、アンドロメダ銀河でATUとの会談が決定しました。ロイらインパルス2が同行します。王女の船は周囲の空間を含めて数億光年もの移動が可能のようです」 

 マーチンが「マジか?」と驚く。

 護衛任務を終えたロミとガルムが報告に来る。

「ご苦労だった」

 ふたりは敬礼で返す。

 グレイは腕時計型端末でメールを確認していたが、顔色を変えて

「艦長。昔の仲間からの情報です。会談の出席者の暗殺を依頼した者がいると」

「誰の暗殺だ?」

「それはわからないようです、しかし依頼された人物はわかっています・・」グレイは息を吸って「・・殺し屋イエーです」


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