34. 昼食は語呂合わせなフライを作って勢いをつける
朝食はトーストと目玉焼きという普通のものだったので、油断をしていた。
昼食が変に凝ったものだったのである。
チキン、牛タン、鱒、鯛 の4種のフライということ。
「ねえ若葉、この組み合わせは何なの?どうせ何か意味があるんでしょう?」
私が聞くと、若葉は笑いながら言う。
「ふふふふふ、何だと思う」
「・・・」
「・・・」
「・・・」
「・・・」
みんなわからず黙ってしまう。
若葉のことだから、どうせ語呂合わせだろうと思うが、全然わからんわ。
「絶対勝ち取ります」
若葉が言う。
「なにがそうなの?」
和田っちが聞くと若葉が食卓に紙を置いて文字を書いながら自慢げに説明した。
ぜっ(舌)たい(鯛)かち(カツ)とり(鶏)ます(鱒)
はあ、なるほどね。
揚げ物は手間がかかる。食事当番は若葉なんだが私にも声がかかる。
「姉貴、手伝ってくれ」
すると、さとみんが手を挙げた。
「私もいい?」
さとみんは闇鍋以来料理に興味を持っているようだ。
「じゃあ、私も手伝う。鶏以外は食べたことないから楽しみだ」
和田っちも参加である。
「ごめんなさい。私はギターを弾いていたい」
と、紅緒。
若葉が紅緒に言う。
「紅緒は朝食をやったから、昼食はいいよ」
そう言うけど、じゃあ、私も朝食の準備をしたんですけど・・・
でも、まあそれはどうでもいい。
料理とかすれば気が紛れる、というかライブ前の変な緊張感が和らいで良いんじゃないかと思うのである。
「さとみん、タルタルソースはマヨネーズを作るところからやるんだけど、やってくれる」
若葉がさとみんに言う。
「えっ、マヨネーズって作れるの」
何を凝ったことをやるつもりなんだと、ちょっと呆れた。
若葉の指示で4人で昼食を作る。
出来上がった昼食を食べる時には若葉が決めセリフを言って、みんながそれに答えるのだ。
「では、明日の決勝ライブをぜつたいかつとりますぞー」
「おー」
和田っちの揚げたフライはカラッとうまく揚がっていて、さとみんの作ったタルタルソースも美味しかった。
昼食が終わって後片付けをして、出かける準備をして、九条さんの迎えを待つ。
ピンポーン
「おはようございます」
「おはようございます、朝香です」
九条さんだけでなく、その隣に朝香さんも立っていた。
「朝香さん。今日もどうしたんですか。わざわざ来られて……何かあったんですか」
和田っちが聞く。
朝香さんが真面目な顔で言った。
「ライブの前にいくつか確認したいことが出来たので、九条と一緒に来させてもらったのよ」
確認したいこと?
男とバレたんだったら即刻失格だろうから別のことだろうとは思ったが、いったいなんだろう?




