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地獄劇 追憶の奇跡  作者: ラツィヲ


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第1章 生還?

 「まあそう言うなよ。俺たちも最初は仕事にありつこうとしたんだけどさ、どいつもこいつも人間不信で最初から疑われる事、前提で面接が始まり、何も改善されないままおわるんだぞ。こんなのどこ行っても落ちるに決まってる。だから致し方なく、まあ、その、次善策、見たいなもんだ」


 「そこは諦めないでよ。私たちの友人で居たいなら、もう少し誠実に生きようとして。心構えが大事なんだから」


 ジェイルがガーウェンを渋々フォローしようとしたが、パーラインはお気に召さなかった様子。


 「努力はした。だが結果がこれだ。それを受け入れてやるのも良き友人の務めだろ?」


 「はあー。ああ言えばこう言うとは」


 ガーウェンが、まるで当り前のように話すと、ヨシュアは呆れていた。


 「とにかくだ。俺らはそろそろ地獄に帰るつもりだが、お前らはどうする?」


 「「は?」」


 ガーウェンが陽気に話すが、ヨシュアとパーラインは怪訝な面持ちになる。


 何かまた、馬鹿な事を言うつもりでは? と嫌でも警戒する。


 「だからさっきも言っただろ。お前たちが居ないと、……寂しいって」


 「……あんた気は確か? いい年したおっさんが何言ってるのよ」


 親が子供に会えなくて寂しい見たいな表現をするものだから、パーラインは悪寒が走る。


 「なあガーウェン。君にはジェイルだけでなく、快楽戦士たちが居る。それに世界は違えど、僕たちはこれからも友達だ。だから寂しく思う事はないよ」


 ヨシュアだけが真面目にとらえ、親身になる様に口にする。


 「やれやれ、こうも鈍いとわな」


 「は?」


 「なあガーウェン、こいつらにあの事言えばいいんじゃないか? そうすれば少しでも説得できるかもしれないぜ」


 「なに? どういう意味よ?」


 ガーウェンが、やれやれと言わんばかりなリアクションを取ると、ヨシュアとパーラインが益々、不信感が増す。


 ジェイルの言っているあの事とは?


 「よし、ならこうしよう。今からお前ら二人と俺とジェイル、二対二で決闘し、シンプルに殺した奴の勝ちって事で」


 「いい加減にしなさいよ! あんたねえ、何度も言うようだけど気は確か? せっかく現世で結婚できるのに、わざわざ地獄に逆戻りする選択しが私たちにあると思うの?」


 「ガーウェン。僕たちはようやく夢を掴んだんだ。この先、農園を開業して、二人でやっていくって。その内、子供にも恵まれたら家庭を持って家族で幸せを作りたいと本気で思っている。だから諦めてくれ」


 パーラインとヨシュアは猛反対した。


 ヨシュアの夢を聞いていたジェイルは、今から起こる事に、既に後ろめたく思い始める。


 だが、ガーウェンだけは違った。


 一人だけ、この状況をとにかく楽しんでいた。


 「よし、じゃあ始めるぞ」


 「……」


 ウキウキ気分でボクシングポーズを取るガーウェン。


 パーラインとヨシュアは呆れてしまい、顔を伏せる様にしながら深い溜息を出す。


 「……もういいわ。こうなったら、私が直々に地獄に送り返してあげる。それにあんたは一度ぶん殴らないと気が済まなかったし」


 「やれやれ、仕方ないか」


 渋々ヨシュアが戦闘態勢に入る。


 どこからかヨシュアとパーラインは、携帯用の剣を取り出した。


 ススススッと音を立てて、スライドする様に、何もない筒から刀のブレードが出てきた。


 対するガーウェンは素手。


 ニヤニヤがとにかく止まらない。


 すると突然。


 「――んっ!? おい! あれなんだ!?」


 ガーウェンがギョッとした様子でヨシュアたちの後ろを指さす。


 すると、パーラインがクスクスと笑い出す。


 「馬鹿ねあんた。そんな幼稚な工作が私たちに通じるとでも?」


 「悪いがガーウェン、三度目の正直だ。もうあの時と同じ手は食わないぞ」


 ヨシュアも同じ様に騙してくるガーウェンがむしろ可愛く思えて来たのかクスクスと笑い出す。


 だが、ガーウェンはそれ以上に勝利を確信したかのように笑っていた。


 「人様の忠告は聞くもんだぞ」


 「「フハハハッ」」


 ドドン!


 お茶の間の談笑のように笑っていた三人だが、そのガーウェンが指差したヨシュアとパーラインの背後から銃声が二発する。 


 銃声が鳴った直後、ヨシュアとパーラインは笑ったまま地面に倒れてしまう。


 そして、いつの間にか頭部を撃ち抜かれていた二人は絶命した。


 「……後で何されても知らないからな」


 ジェイルはしかめっ面で一部始終を見守ってた。


 「なに言ってんだ。お前もナヌアから聞いてるだろ? 例のあれを」


 「ま、まあな」


 二人は何の話をしているのやら?


 すると、先程ヨシュアたちを不意打ちした二人がへらへら笑いながらジェイルたちに近付いてくる。


 その二人は、先程、ヨシュアとパーラインの式場に居た二人の男だった。


 「ご苦労だったな。約束通り後でこいつらが経営している農業の領地を、そのままお前らにくれてやる」


 「ヘヘヘヘッ。悪いな」


 「良いって事よ」


 ガーウェンと二人組の男たちが意気揚々として話し合う。


 そんな様子を見て、ジェイルは確かにガーウェンがクズに見えてきたのであった。


ここまでお読みいただきありがとうございます。

今回の投稿はここまでです。

今作共々、どうぞよろしくお願いします。

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