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第十八話

矢吹健太郎先生方式でエロを匂わせたい思いが止められなかった(ただし被害者は男)

敵の粘液をギリギリ踏みとどまって白濁させなかった私を褒めてほしい(ただし被害者は男)あと口移し的なシーンがありますが救命行為なので!救命行為なのです!!人工呼吸と一緒!

 噂通りなら土蜘蛛が京に近付くのは夕刻。黄昏時だ。どのあたりに帰って行くかの目星は付いているのでその近くを馬でうろつく。すると予想通り御所の東側の山から巨大な蜘蛛が現れた。しかし蜘蛛のようで蜘蛛ではない。異星の者らしく質感や色合いは節足動物の蜘蛛とはやはり異なっていた。捕食のため口から粘液まみれの糸を出すらしく、その辺りは蜘蛛と共通している。体高は馬に乗った石上(いそのかみ)が見上げるほどだった。

「ア、イタ……イタ……」

 三人の姿を見るや突進してくる。びしゃ、と粘ついた汁を吐き出した。帝は馬を巧みに動かしてそれを避けた。が、かぐやの馬は粘液に捕えられかぐやを振り落として土蜘蛛に引き寄せられていく。

「離せよ!」

 走って勢いをつけ土蜘蛛の肢に斬りつけるが硬く歯が立たない。馬はもがきながら土蜘蛛が粘液の絡んだ糸を吸い込むのに合わせずるずると口に近付いてしまう。かぐやはとっさに馬の脚を掴んだ。馬は黒い目を光らせて縋るようにかぐやを見つめている。

「馬は関係ねえだろ! なあ! 俺の手をやるから諦めろ!」

「ウマ……ウツクシイ……」

 どんな造形の生き物を大王が気に入るかわからない。土蜘蛛は捕まえたものをとにかく溜めておこうとしている。

 馬は全力でもがいてかぐやの手を振りほどいた。一旦穴の中に保管するらしく、土蜘蛛は馬を絡め取ると引きずって山の中に戻る。追いかけるが長い肢は素早く動きかぐやの攻撃を躱してしまう。

 人間以外の生き物は他の種の動物を命がけで庇ったりしないとされている。

 だが、確かにかぐやは思った。

(あの馬はわざと俺を振り落とした)

 そんな健気な動物さえ月衆は躊躇なく餌にする。

「あいつはまだ生きてる! さっさと倒して助けるぞ!」


 石上の声に我に返ると、退いてろ、という帝の声が続いた。かぐやは土蜘蛛の肢から飛び退る。二人は鋭くアイコンタクトを交わし、手綱から手を離して太刀を構えた。

「全力で行くよ!」

「おう」

 両手を離し足で馬の腹を固定して、軽く蹴って同時に駆け足の指示を出す。石上は巨大な土蜘蛛の前面から右端を、帝は背面から左端を狙って猛スピードで駆け出した。流鏑馬並みの速度で、それも手綱を離して刀を構えたまま突進するというのは余程馬術に長けた人間でないと出来ることではない。二人は呼吸をぴたりと合わせて擦れ違いながら土蜘蛛の肢を斬り落とした。二人の太刀筋は高さまで測ったように一緒で、まるで長いピアノ線で切断したように鮮やかだった。

 二羽の鷹がすごいスピードで両方向から一つの獲物を仕留めるような技。二人でないと出来ない必殺の剣だ。肢を失い土蜘蛛はその場にがくんと倒れる。

「やったか……?!」

 だが、土蜘蛛の息の根を止めるには至らなかった。どうやら海に現れた触手の月衆と逆で肢や下腹は硬く、攻撃の届きにくい背や頭の方が比較的弱いようだ。だが動きは止められた。喜んだのも束の間、石上の体に粘ついた糸が巻き付き馬から引きずりおろされた。

 糸は硬く、ぎちぎちと石上の体を締め付けてくる。石上は後ろ手に縛り上げられるような格好になった。

「いっちゃん!」

 動きを制限され、太ももに土蜘蛛の肢が突き立てられる。

「う……っ、ぐ」

 貫かれた痛みに、石上は歯を食いしばって耐えたが血が吹き出し袴が血まみれになる。

 石上に気を取られた帝も糸に絡め取られる。ねばねばと気味の悪い粘液に顔をしかめるわずかな間にも細い糸が胸に、腹に巻き付いて離れない。土蜘蛛に引っ張られ、帝は地面に叩き付けられた。もがく帝を仕留めようと、土蜘蛛は背中を鉤爪で引き裂いた。

「い……っ」

「くっそ気色悪い!」

 石上が忌々しげに叫んだ。かぐやが糸を斬りに駆け寄る。

「おまえら何してんだ!」

 躊躇なく二人の顎を順に掴み、唇を重ねると半ば強制的に体液を飲ませた。かぐやの体液の力で傷が塞がっていく。

「傷は治ったな」

 二人とも微妙な表情で唇を押さえている。恥ずかしいのか耳が赤くなっていた。

「なんだよ……しょうがないだろ! 救命行為だからな!? く、くち、口付けじゃねえから……んなことより大丈夫なのかよ!」

「大丈夫じゃない! べとべと! ぐちょぐちょ!」

「帝はそれ以上口を開くな……っうぶ!」

 薄っすらと危険を察知したかぐやの顔面にも粘液が降り注ぐ。少女と見まごうような、それでいて涼やかな目元や桜貝の色をした小さな唇を粘液が汚している。

「てめえ……思い切りぶっかけやがって! 口に入った……」

「かぐやもそれ以上喋っちゃだめな感じするぞ!」

 馬も粘液に脚を捕られもがいている。石上はどうにか起き上がり糸を斬ると二人に絡んだ糸も叩き斬った。

「どうする、動きは止まってるけどそれも時間の問題だ。でかすぎて攻撃が肢にしか当たらねえ」

「肢に連続攻撃して体力尽きるの待つか?」

「そんなことしてられるか。夜が明ける」

かぐやは奥歯を噛み締めた。

(触手を倒した時みたいに肢を登るか? いや……触手と違って傾斜がきつすぎる、登れねえ)


触手とねばねばは一回は書いちゃうよね

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