表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/31

第十六話

やっぱり毎日更新止めてもバトルターン増やしたかったので、書けた部分からアップしていきます。更新が止まるかもしれないけど時系列めちゃくちゃになるより読みやすいので……。

帝vs沼女編です。帝のゆるい必殺技が生まれるターンです。

 体力を消耗しすっかり眠ってしまったかぐやを背負ったまま京への道を戻っていると

 漂う不穏な空気に、かぐやは目を覚ました。

「まずい、この辺りから奴らの気配がする」

「え?! 早く言えよ」

「走って逃げるぞ」

帝はかぐやを下ろさず走り始めた。

しかし藪の中から大蛇が出てくる。大蛇はかぐやと同じくらいの身長があり、人間の女の顔をしていた。

「ひぃ、ぬ、沼女」

「餌がいた……二年ぶりの餌だ」

女の顔の大蛇(この時代の陰陽師が付けた名は沼女)は、帝の前に立ちはだかると皮膚を突き破り手足を生やす。

月衆(げっしゅう)には違いねえが俺は食われたことがない」

「月ではあにさまたちに……ここでも海に住むあにさまに敵わず餌を食えずにいたが、海のあにさまがのうなってくれた……」

かぐやは瞬時に沼女が弱い個体であることに気付き、すぐかたを付けようと刀を抜こうとするが手が震え上体を起こすこともできない。

「か、からだが」

「夜通し動いてたんだ、そりゃそうなるわ」

斬られ回復して、を繰り返して全力で動き続けたかぐやの体力は最早尽きている。

回復剤である美しい物も、絹くらいしかなく、それさえ帝は馬を預けた農民に与えてしまっている。

 帝は覚悟を決めると、かぐやを大きな岩の上に座らせた。月衆は嘘がつけない。

「月衆よ、森の中に加勢できる同胞がいるか? おまえの味方はまだいるのか?」

 沼女は黙りこくっている。どうやらいないらしい。当たっているから黙ることしかできないのだ。帝は息を飲んで太刀を上段に構えたが、張りつめた構えは筋肉の動きを沼女に伝えてしまう。次に右に動くか左に動くか、予測が付いてしまうのだ。沼女は生やした足で駆け寄ると帝の目を喰おうと襲ってきた。帝も沼女を倒そうと走って太刀を振り上げるが肩に齧りつかれる。

「帝……!」

「い……ってぇ!」

 帝は傷口の燃えるような痛みに耐えながら今度は横から刀を振り抜くが、軽く避けられ上に圧し掛かられた。呻きながら必死に沼女を跳ね飛ばし起き上がってまた刀を構える。

「……っ!」

 袈裟斬りにするも腕を斬り落とせず回復のチャンスを与えてしまう。骨が硬いから途中で引っかかるのだ。達人ともなれば骨を絶つどころか骨の関節を狙って滑り込ませ斬ることができるという。帝は枯れ枝や細めの竹ならば斬れるほどに成長したが、太い竹まではあと少しの所で両断することができなかった。

 かぐやは震える腕で刀を抜こうとするが、ここまで体力が落ち切っている状態で助けに入れるとは思えない。隙に入られ、攻撃の動きが全部見切られている。

(そう、あいつ隙だらけなんだよ。ていうか、隙しかない)

 かぐやは遊びなのか修行なのかわからない緩い修行をしている時のことを思い出した。


――――……


 石上もいて、毬遊びに興じた後に木刀で打ち合いをしたのだが対峙した帝があまりに隙だらけなので逆に攻めあぐねてしまった。

「よし、刀はやめよう。体術を鍛えよう」

「相撲?」

「上等だ、来い!」

 二人組み合っていると感じる。やはり相手の力を跳ね返そうとする力が弱い。帝は能動的な攻撃だと威力が半減するようだ。耳元で囁く。かかってきた相手の力を受け流して攻撃しろ、と。

「受け流す?」

 かぐやの押す力をそのまま利用して足を引く。バランスを崩したかぐやの背中を小突くように押すとかぐやは土の上に転がった。

「ごめん、ごめん! 痛い? 大丈夫?」

「相撲ってそういうものだから……」

 立ち上がったかぐやは土を払いながら帝に告げる。

「おまえのすごい所は、隙がありすぎて次にどういう攻撃を仕掛けてくるかが筋肉の動きで読めない所。意識して構えるとそのすごい所が消えちまう。構えない方がいい。隙に誘われて敵がかかってきた所でその力を利用して倒す。相撲だと今のいなす動きになるが、格闘だと……やって見せた方が早いな。石上、相手になってくれ」

「ええー? 俺かよ」

 かぐやに指先でちょいちょいと煽られて、石上はしぶしぶといった表情を作りかぐやと向かい合う。

「組み合いじゃなく、拳や蹴りで俺を倒すつもりでかかって来い」

「わかった」

 石上は衣を翻し長い足をかぐやに向けて突き出した。かぐやはそれをガードして、一歩後ろに下がる。それを追うように体重を乗せて拳を繰り出すが、体の行く先にかぐやの拳があった。もう隙に誘われ体重を乗せ切っているため勢いを殺せず当たってしまう。石上は自分の攻撃を利用され地面にくずおれる羽目になったのだ。

「相手が強ければ強いほど、この技は有効になる」

「でも相手に飛びかかられるの待たなきゃいけないんでしょ? 怖くね?」

 うーん、と唸りながらかぐやは毬を帝に向かって投げた。帝は無意識にそれをキャッチする。転がっているたくさんの毬を、考え事をしながら拾っては帝に投げる。帝はことごとくキャッチする。かぐやはゆっくりと顔を上げた。

「おまえ、毬捕るの上手いな」

「実は御行と千年後に流行る遊びを開発してて思い付いた遊びがあるんだけど」

 帝は竹ほどの太さの枯れ枝を掴み、手に馴染ませるように何度も持ち換えたりした。石上が思わず突っ込む。

「千年後に流行る遊びってなんだよ。百日後に死ぬわにみたいな」

 帝はかぐやの手に毬を持たせたまま、距離を開けて立った。ゴルフやホッケーに近い毬打では、毬を打ち返す槌は下に構えるが、帝は枯れ枝を肩に担ぐように構えた。

「この辺りに投げてみて。勢いよく」

 頷いて投げる。すると帝は枯れ枝を大きく振り抜いた。毬は見事に打ち返され、遠くに飛ぶとようやくワンバウンドして着地した。

「より一層遠くに飛ばした方の勝ち。野に入りて、球をば投げるはいとたのし……」

「千年経ってもやらねえよそんな遊び」

「なんでよ! 楽しいでしょうが。いっちゃんもやってみな、ぜひおためしあれ」

「いや誰もやらないよ。五千年経っても流行らねえよ」

 かぐやは落ちた毬を再び投げた。帝は即座に枯れ枝を構え向かってくる毬をぎりぎりまで見極めて打ち返す。

「ぶつかってくる毬は怖くねえのか」

「そうね、特には……ぎりぎりまで待たないと毬がどこに落ちるかわからないし」

 かぐやはついにひらめいた。隙しかないなら、それを活かして誘い込むしかない。実際現代でも剣道や空手において敢えて構えを取らず自然体で待ち受けるという戦法は存在する。

「帝、おまえ一度構えずに俺の前に立ってみろ。自分がどう動くか決めずに、向かってきた相手の動きを今の毬と同じように見極めてから、枯れ枝で叩いて打つようにこの太刀を……」

 かぐやは枯れ枝の代わりに太刀を持たせ、帝の手を持って動かす。

「こうやって振り抜くんだ。きっと構えて斬るより相手の勢いを受けながら打ち付けた方が威力が増す」

 毬を持って離れる。

「これを月衆に見立てて、いいか、突進してくるぞ」

 帝は毬の軌道を見極めるため、目を開いたまま引きつけ、見定め、それから綺麗なバッティングフォームで打ち返す。毬は見事に真っ二つに割れ、その場に転がった。

「……斬れた、でも待ってさすがに月衆ほど硬い物だと」

「刀だぞ。外の国じゃ鉄の武具があるらしいが、鍛えた鋼は、鉄も絶つ。斬れるようになるまでこの技を磨いていこうぜ」

 石上は帝の手を持って高く掲げた。

「よっし! 帝の技だ! 構えを捨てる無構と……」

「待って今技の名前考えてるから……雷撃打ちは?」

「鉄を割くから、鉄割きとか? 一撃両断とか?」

 結局その時は議論が紛糾し帝の固有技の名前はいつまでも決まらなかった。


――――……


 失った体力を取り戻そうと意識を手放しかける自分を必死に起こし、どうにか叫ぶ。

「帝、無構! からの! 鉄割き!!」

 本当にできるようになるまでひたすら太刀を振るったとはいえ、半ば遊びの延長で発案した技だ。うまくいくかどうかはわからない。でもやるしかない。帝は大きく息を吸った。


毎日更新できていましたが休みのタイミングで挿入したい続きを上げていくのでちょっと更新が止まるかもしれません。もうちょっとバトル増やしたいのです……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ