幕間:辰門司君視点のお話・京都からの刺客 その1
凄い、嫌な予感がしたんだ。
『この前、さ……実家から……もう、終わりにする、って、連絡が来て……本気だった。あんな、声。母さんを、本家から追放した、時とも……全然……』
怖いって震えてた……なんで俺に話したか、それはどうでも良い。重要なのは、いっつも飄々としてた彼奴がビビってる時っていうのは……俺が知っている限り。一度だけ。
「その時にそっくりだった……気のせいだったら、それで良い」
けど気のせいじゃ無かったら、どうするのか。
結局、最後はなんでもない、とか言ってどっか行ったけど……でもそんなの信じられる訳ないだろう。あんなに、顔を青くして。
「履歴……あった……もしもし、ヨシタケ? 俺だ! 見つかったか!?」
『シゲ……あぁ。見つかったは見つかった。面倒な奴らがな』
「はぁ?」
『童子切の家の家紋付けた奴を、今しがたぶっ飛ばしたところだ。なんでこんな所に来てるかは……いくらお前でも、分かるよな』
「やっぱりか畜生っ! 彼奴一人に、相当な数回してるって事か。汚ねえ!」
たった一人、武術家にしたって、たった一人に……せめて一騎打ちだとか、果たし状を出してからやるとか、筋を通してからやれってんだ! ったく、出来るだけ早く見つけてやらないと!
『同感だ……紋付の奴は、見つけ次第俺がぶっ飛ばす。お前は童子切りさんを引き続き探せ! こっちの事は気にするなよ!』
「……悪い、後でなんか……焼肉でも奢る! 無茶すんなよ!」
……ッヨシ! 彼奴にも協力してしてもらってんだ。絶対探し出さないとな……とか言って気合入れといてなんなんだが。
「どこに彼奴が居るが、心当たりとか……あるかってなるとなぁ……」
……ないです。いやぁ、何もないんだよなぁ。この二、三週間くらい一緒にいたけど。あいつの自宅くらいしか心当たりないんだよなぁ。
「そこはさっき行っちゃったし……ったく、結局しらみつぶしにやるしかないのか」
畜生、どこから探したものか……ここは、しっかりと考えて探さないと。闇雲にやっても間に合わないかもしれないしなぁ……
「こう言うのは、慣れない事したらダメだ。俺の頭でも出来るくらいに単純に考えて、ありえそうな場所を探さないと……」
いそうな場所……居そうな場所っていうより、この場合は。
「……童子切の言う通り、だとすれば。できれば闇討ち、とかがしたいんじゃ……だとすれば、ありえそうなのは」
廃工場、路地裏……いや、俺でもすぐに思いつきそうな、そんな分かりやすい場所でなんて襲うか……いや、まずありえない。そんな単純な話で済むなら良いが、そんな簡単に済む訳ないだろうが。
「……落ち着け。他にありえそうなのは……意外に人がいなさそうな場所を……」
んー……あー!
「分からん! 大体、人が意外に居ない場所なんて……アホみたいにあるだろう! ビルの屋上とかもそうだし……いや、でも流石に狭すぎるか? 童子切だってやられっぱなしになるとは思わないから、そんな狭い所じゃ、下手するともみ合ってる間に落ちるとか……」
じゃあ、そういう心配もなくて、広さも居るって事か……? 思いっきり暴れても大丈夫なくらいで……
「広場があって、人が近寄らなくて……いや矛盾してないか……っていうか、そんな場所があったとして、童子切が入るか? 学生でも入りそうな場所じゃないと……」
童子切が入れそうな場所じゃないと……だからって大通りとか、商店街とかショッピングモールとかは人通り多すぎるしなぁ。
「そもそも俺たち学生だぞ……そんな、危ない所行く訳ないし……せいぜい……」
……学生? 俺たちは……そうだ。俺たちは学生だ。
「学生。なんか、なんかその学生ってのが、引っかかる……どうしてだ」
なんか、そこにある気がする……理論とかそういうのじゃなくて……?
「……広い場所、運動できる場所、学生……人が居ない……っ!」
……分かった。そうだ。彼処なら、時間にもよるが、一気に人が少なくなる。それに、人が争えるような場所も、結構ある!
「学校! とりあえず、まずはそこからだ!」
ようやくありえそうな場所がわかったんだ。頼むからドンピシャで見つかってくれよ!
「っ、そうだ……ヨシタケにも!」
一応連絡しておこう。学校ビタあたりして、そこに人数いたりしたら……こわ。
「ち、畜生! 呪われてんのか今日は! よりにもよっってヨシタケは学校から離れた方向を探すって行って、こっち合流するのに時間かかるとか!」
いや、もうここまで間が悪いと俄然学校な気がしてならねぇよ!
「とにかく急がねぇと、ここが違ったら、どっか別の箇所考えないとまずいし……時間に余裕持っておきたい」
あーでも体力的な余裕も欲しいなぁー! 絶対に喧嘩になるだろうし、余裕持って置かないとスタミナ切れでボロ負けしそうなんだよなぁー!
「文句言っても仕方ないか……あ、見えてきた」
校門だ。脇の門を開けてる暇ないし、飛び越えた方がいいか。
「……ん?」
校門の前に、人だかり?
「なんかデカイ男と童子切が喧嘩してんぞ!」
「校舎裏から吹っ飛ばされきたんだけど!?」
「童子切さん大丈夫かよ!?」
——くそがっ! ドンピシャかよ!
「退いてくれ! ああいや、やっぱいい!」
「えっ? ってうわっ!? 跳んだ!?」
よし、校門の上、無事着陸。状況は……
「おいコラァ! そこのデッカいの!」
「っ、お前は」
……制服も、ボロボロ、可愛い顔にも、傷。で、踏んづけられてる、かよ。
「たつ、もんじ……なんで」
っ!
「お前、随分と、俺のダチをよぉ、ボロボロにしてくれたじゃないかよ」
「……それがどうかしたのか?」
「童子切をそういう目にあわせんなら、俺が相手になるぜ……ぶっ潰すぞ!」
王道主人公を意識しました。




