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黒山黒水の敗戦処理――新たな組織の雛形


山道は、どうにか最悪の渋滞だけは免れた。重傷を負った兵卒たちは、一具また一具と、風雨を凌ぐための粗末な偏棚(仮設小屋)へと担ぎ込まれていった。


美嘉は全身、文字通り泥と水に濡れそぼっていた。衣服にも、顔にも、爪の隙間に至るまで、黒ずんだ他人の血痕と泥土がこびりついている。

彼女は今にもへし折れそうな両脚を引きずるようにして、大水桶の側へと虚脱した足取りで歩み寄り、新しく汲み直した澄んだ水の中に両手を突っ込んだ。そして、ただひたすらに、貪るように手を洗い続けた。

透明だった水は、一瞬にして惨烈な赤へと染まっていく。

(……私のせいだ。私が、もっと厳しく管理していれば……!)

昼間、不衛生な汚れた布で傷口を縛ってしまったせいで、瞬く間に患部が赤腫(赤く腫れ上がり)を起こして発熱し、敗血症の激痛にのた打ち回りながら彼女の腕の中で息絶えていった兵たちの姿が、脳裏に焼き付いて離れない。

これは、大学の清潔な講義室で眺めていた平坦な病歴(ケーススタディ)などでは決してなかった。

今、目の前で、温かい体温を持った生身の人間が、一人、また一人と物言わぬ肉塊に変えられているのだ。


「妹よ、一口でもいい、温かいものを食べな。」

顧大嫂が、乾いて硬くなった炊餅(むぎもち)の包みを手に歩み寄ってきた。あのたくましい大きな手も、冷水で何度も洗われたせいで、ふやけて白っぽくなっている。その顔には、精疲力竭(疲れ果てた)の憔悴が色濃く浮かんでいた。

美嘉は炊餅を受け取ったものの、喉が男のように収縮して、どうしても噛み砕くことができなかった。

彼女は、中庭のいたるところに横七豎八(横、縦)に転がり、今なおうめき声をあげている梁山泊の兵卒たちを見つめ、それから、灰を被ったような顔で地面に頽(くずお)れ、言葉を交わす気力すら失っている百人あまりの女兵の姉妹たちへと視線を巡らせた。

今回の戦、梁山泊はかろうじて本陣の大砦を守り抜いたに過ぎない。呼延灼の容赦ない連環馬と、凌振の轟天砲による猛攻は、後日にも再びこの山を震撼させるだろう。


これこそが、大宋朝の江湖という名の地獄の、本当の素顔だった。

温情などどこにもない。退路も、妥協もない。あるのはただ、終わりのない血と火の洗礼だけだ。

美嘉は、氷のように冷たい雨水を胸いっぱいに吸い込んだ。刺すような冷気が肺腑の奥底まで突き刺さる。

彼女は、時間をかけてゆっくりと、その身体を真っ直ぐに立ち上がらせた。風雨の中で寂しく揺れる、誰もいない空っぽの校場(練兵場)を見つめる。

両方の脚は、いまだ恐怖と疲労でガタガタと震えていた。しかし、その瞳の奥に宿る、現代の大学三年生としての透き通った知性と不屈の急脾気は、この漆黒の闇のなかで、まるで百錬の精鋼の如き鋭い光芒へと、徐々に淬錬(鍛え上げ)られていた。

彼女は、一枚の粗末な紙の前に歩み寄ると、筆を執った。


そして、その白い紙の上に、かつて思い描いたあの「格子(組織図)」を、再び力強く描き直していった。

今度は、迷わない。この百人の人間を、戦場のどこの位置に立たせ、どう動かせばいいのか、その生きたデータはすでにこの脳内に完全に叩き込まれている。

今度こそ、私はこの百人あまりの姉妹たちを、ただの労働力ではない、この八百里梁山泊において、何者も決して打ち破ることのできない、鉄壁の「四面旗」後方支援部隊へと鍛え上げてみせると美嘉は誓った。


――呼延灼が仕掛けた第一波となる連環馬の狂轟乱炸(猛砲撃)は、こうして、一面の泥濘と血海のなかで一時的に退いていった。

前線には、短い休戦の時間が訪れていた。


しかし、山砦の高層部がその手を休めることはなかった。

聚義庁の奥深くでは、顔の黒い宋江と、羽扇を静かに揺らす智多星・呉用が、連日連夜にわたって扉を閉ざし、陰沈な面持ちで「いかにして敵を破るか」という舞台裏の計略(黒幕)を巡らせていた。

美嘉が宋太公の小院で聞き及んだところによれば、呉用はすでに時遷や湯隆といった者たちを動かし、あの朝廷の高級将校である「金槍手」徐寧(じょねい)を梁山に引きずり落とすため、家宝を盗み出すといった極めて下三濫(下劣)な詐欺の手口を指示しているという。そればかりか、現在進行形で梁山を砲撃している「轟天雷」凌振(りょうしん)を捕らえ、その家族を人質にして強制的に帰順させるという、おぞましい謀略(暗黒政治)までをも組み立てていた。


現代の法治社会で何不自由なく育ってきた女子大生として、美嘉は内心、この山賊たちが目的のためには手段を選ばない、その「汚い政治」に対して激しい反感と不快感を抱かずにはいられなかった。

(……口を開けば仁義礼智、忠義の良臣と謳いながら、その実、清白な家柄の人間を無理やり泥沼に引きずり落とし、家破人亡(一家心中)に追い込む。これが、大宋朝の『草莽の英雄』の本性だというの?)


しかし、美嘉は誰よりも冷徹に理解していた。

ここは、一歩間違えれば容易く首が飛ぶ、冷兵器の乱世なのだ。今の自分には、宋江や呉用を相手に現代の人権や道徳を説くような資格も、甘さも残されてはいない。

まずは泥をすすってでも、活下去(生き残る)。それだけが、この世界における唯一の真理なのだから。

聚義庁の陰謀を止める術がないのであれば、彼女はすべての雑念を胸の奥へと押し込め、自らの持つ100%のエネルギーのすべてを、後山の百八名の女兵たちの過酷な訓練へと、完全に没頭(没頭)させることを決意した。


これはもう、生ぬるい「サークルの社団活動」などではない。

あの昼間に見た、あの一面の血生臭い惨状こそが、この未熟な女子部隊を、乱世の冷徹な戦闘集団へと変貌させる、最も猛烈な「化学触媒(薬液)」となったのだ。

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