登州派との盟約―楽大娘子、顧大嫂と結ぶ梁山泊の新たな命脈
篝火を囲むようにして、美嘉、顧大嫂、楽大娘子、長年付き従ってきた扈家荘の女将たち、そして新しく加わった百人を超える姉妹たちが車座になって座っていた。
「妹よ、今日はめでたい日だ。我ら江湖の人間、堅苦しい挨拶はやめにしようじゃないか!」
顧大嫂は大きな素焼きの碗を掲げた。その顔は赤々と燃える火光に照らされて赤く染まっている。美嘉を見つめる彼女の瞳には、心からの小気味よさが満ちあふれていた。
「この顧大嫂、生まれてこの方、他人に頭を下げたことなんて数えるほどしかない。だがね、あんたが昨日練武場で見せたあの度胸、数日足らずで山の姉妹たちを気遣ってくれた本領を見て、俺は心の底からあんたを実の妹だと思ったのさ! 今日は姉御(楽大娘子)もここにいる。この百人の姉妹たちの前で、我らもあの桃園の誓いに倣い、血をすすり合って義姉妹の契りを交わそうじゃないか。これからは生を共にし死を共にし、福も禍も分かち合うんだ!」
その傍らに座る、端正な気品の中に聡明さを滲ませた楽大娘子も、この時、静かに微笑みながら酒碗を掲げ、温和な眼差しを美嘉に向けた。
「義妹(顧大嫂)の言う通りよ、三娘。あんたが席上で言い放った『王英には嫁がない、この一生は梁山泊に嫁ぐのみ』というあの言葉、本当に私たち女の胸のすく思いだったわ。あんたが嫌がらないのであれば、今日、私たちはこの黒山黒水の地で義姉妹(金蘭)になりましょう。年齢で言えば、私が一番上でお姉様。義妹は少し気が短いけれど本当はとても良い人だから、二番目。三娘、あんたが一番若くて聡明なのだから、少し窮屈かもしれないけれど『三妹妹(三番目の妹)』になってもらう。これでどうかしら?」
顧大嫂と楽大娘子のその偽りのない真摯な瞳を見つめながら、美嘉の胸の中で、大学三年生としての熱い血潮と、現代の組織管理で培った冷徹な政治的嗅覚が同時に弾けた。
(……これは、とんでもないバックボーンを手に入れたかもしれない。)
首領である宋江の側から見れば、彼女は宋太公の義理の娘であり、宋江、そして「鉄扇子」こと宋清に続く、文字通りの「宋家の三娘(三番目の娘)」だ。
外から見ればただの形ばかりの義妹に過ぎないが、いま、この梁山泊で最大の兵力を擁する最強の武闘派集団・登州派系の女眷(女性たち)の前で血盟を交わし、この女子部隊の「三妹妹(三番目の妹)」になった。
これが意味することはただ一つ。
彼女――扈三娘は、これからこの山でどんな男にも寄り添い、依附する必要がない。なぜなら、その背後には梁山の重兵を握る「病尉遅・孫立」の巨大な軍事集団がダイレクトに紐付いたからだ。美嘉は、この八百里水泊の闇の中で、宋江たちのあずかり知らぬところで、後山の物資と人手を完全にコントロールする、実質的な巨大な発言権(支配権)を、完全に手中に収めたのだ。
「はい! お姉様、二姉様、そう言っていただき光栄です。これからは二人の姉様と心を一つにして、共に歩んでまいります!」
美嘉の返答は潔かった。目の前の並々と注がれた烈酒の碗を両手で掲げる。その大きな瞳はキラキラと輝き、比類なき孤勇と霊動さを湛えていた。
顧大嫂はハハハと大笑いすると、肉切り包丁で自分の指先を軽く一閃し、大粒の鮮血を酒碗の中へと滴らせた。楽大娘子与美嘉也有樣學樣(楽大娘子と美嘉もそれに倣い)、指先を小さく噛み破って、鮮血を酒の中へと溶け込ませていく。
三つの無骨な粗瓷(粗焼き)の碗が火光の中で軽やかにぶつかり合い、「チーン」と高く澄んだ音を響かせた。
「お姉様!」
「二姉様!」
「三妹妹!」
三人は同時に顔を上げ、その鮮血と豪情が混ざり合った烈酒を、一気に喉へと流し込んだ!
「おおおおおーーーーっ!!」
火の粉が舞い散る周囲で、百人を超える女兵の姉妹たちが、地を揺るがすような雷鳴の如き歓声を沸き起こした! ある者は拍手をしながら歌を歌い、ある者は感極まって涙を拭い、またある者は火で炙られてジブジブと脂の滴る美味そうな豚肉を大きな口で頬張っている。
酒は三巡し、菜は五味に至る。
美嘉は強い酒の熱さに綺麗な顔を真っ赤に染めていたが、その瞳の奥だけは驚くほど冷徹に冴え渡っていた。彼女は顧大嫂と楽大娘子の手をしっかりと握り締め、暖かな篝火に身を寄せながら、周囲の姉妹たちが「明日はどうやって後山の道を覚えるか」「薬庫の仕事をどう手伝うか」と、雀のように賑やかに話し合っている声を静かに聞いていた。
ここには、宋江の欺瞞もなければ、王英のあの不気味で猥褻な視線もない。
この八百里水泊の深い闇の底で、女たちが灯したこの小さな篝火だけは、何よりも温かく、何よりも眩く、世界を照らしていた。
美嘉は夜空へ吸い込まれていく無数の火星を見つめながら、心の中で長くて深い息を吐き出し、袖の中でそっと、小さな拳を握り締めた。
王英のあの癩蛙め。
これから先、この山の中で少しでもあの卑しい視線を私に向けようものなら、この肉切り包丁と天秤棒を手にした百人の姉妹たちが、孫立の軍勢を背に、一瞬であいつを梁山泊名物の包子(肉まん)の具材へと叩き切ってやる。
解散する頃には夜もすっかり更けていた。
遥か遠くの大寨(本陣)では、何も知らない男好漢たちが、相変わらず大声を張り上げて無様に酒を酌み交わしている。
誰も気づいてはいなかった。後山のこの小さな火光が、遠くない未来、この八百里梁山泊のすべての運命を、根底から覆す(魔改する)ことになるということを。




