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落日の梁山泊、金蘭の袂分かち――燃え盛る大寨と、三山一崗の新たなる世外桃源


美嘉はその場に立ち尽くしていた。すらりとした二本の長い脚は、激しい憤怒と屈辱のために微かに震えていたが、袖のなかに隠された小さな拳は、みしみしと音を立てて固く握り締められていた。大粒の涙が、彼女の頬を伝って「ポタポタ」と泥水の中へと転がり落ちていく。


「妹よ、泣くんじゃない! 宋江のあの黒い奴なんか、あんたの兄貴を名乗る資格はねえよ! 俺たち登州の兄弟たちが、どこまでだって付き合ってやる!」

顧大嫂は眼を真っ赤に腫らしながら、美嘉の細い身体を力任せに抱き寄せた。

「その通りだ! 俺たち二龍山の兄弟もいる!」

偏庁の門外から、急報を聞きつけた魯智深が、全身に凄まじいまでの殺気を滾らせながら大股で跨ぎ込んできた。

武松も腰の朴刀の柄をがっちりと押さえ、その鋭い鷹の如き眼で前山の方向を死に物狂いに睨みつけながら、氷のように冷徹な声を響かせた。

「宋頭領がどうしても朝廷の犬になり下がりたいというのなら、勝手にさせるがいいさ! 三姑娘(お嬢さま)、あんたの一言さえあれば、二龍山の数百人の鉄鉄(筋金入り)の豪傑どもが、今夜にでもあんたに付き従って山を降り、あの祝家荘の残党どもの小命を、跡形もなく叩き潰してやるよ!」

美嘉は涙を拭い去った。彼女は自分の背後に控える、鋭い刃を手に携え、その瞳に不屈の堅毅さを宿らせている一千人の四面旗の姉妹たちを見つめ、次いで傍らに立ち、死に物狂いの忠誠を以て凶光を放っている林冲、魯智深、武松、顧大嫂、阮氏三雄らの好漢たちを見つめた。そして、緩やかに、しかし深く、その首を縦に振った。


宋江のあの冷酷な拒絶は、結果として、後山の嵐に火を点ける最後の一本の火柴(マッチ)となったのだ。

美嘉は、もう二度と無駄な言葉を発しなかった。彼女は皇車の重い扉を押し開けると、漫天に吹き荒れる狂風暴雨を突いて馬の背へと跳ね乗り、極限の速度を以て後山へと駆け戻った。

彼女は聚義庁へと赴いて宋江と魚死網破(泥沼の殺し合い)を演じるような真似はしなかった。あの男の恩賜など、今の彼女には一物も必要なかった。この極限の瞬間にあって、美嘉が過去の一年間で構築してきたあの「後勤帝国」は、恐るべきほどの効率を以て駆動し始めていた。宋江や呉用が兵馬を調配し、下山の道を封鎖する先回りを許すより早く、美嘉はすでに自身の手下にあり、死に物狂いで付き従う三百名を超える女兵たち――その手に刮毒刀や短刃を握り締めた女性たち、そして楊志や武松が後山に遺していった精鋭の遊撃隊を引き連れ、神速の如き手際で山を降りていった。


大雨は注ぐが如く激しさを増し、独竜岡の泥濘の山道には、天地を震わせる殺声が轟き渡った。

九死に一生を得て生き長らえていた祝家荘の残党どもは、夢にも思っていなかった。山上にあって、普段はただ水を沸かし、薬を敷くだけの、何一つ目立つことのなかったあの女子四面旗部隊が、いざ刃を交えれば、これほどまでに命を惜しまぬ閻魔の如き戦闘集団へと化けるなどとは。美嘉は多くの飛刀を動かすことすら迎えず、ただ冷徹に隊列の法を指揮し、現代の救護編隊のロジックを以て、極めて効率的な戦術的穿插(包囲殲滅)を完成させていった。

わずか二時(約四時間)が経たぬうちに、祝家荘の残部は徹底的に撃潰され、大半が死傷して壊滅した。美嘉は一刀を以て囚車の鉄鎖を叩き切り、人面獣心(凄惨な拷問)の果てに人相が変わるほど痛めつけられながらも、なお歯を食いしばって耐え抜いていた実の兄――扈成の身体を、死に物狂いにその腕の中へと抱きしめた。


原主の肉体に残されていた血脈の至情は、この瞬間に完全に円満を迎え、扈家荘の最後の血脈は、かろうじて守り抜かれたのだ。

しかし、美嘉が扈成を伴い、全身を泥水と他人の血に染め抜いたまま、再び梁山泊の水門の前へと帰り着いたその時、彼女を迎え入れたのは、極めて惨烈でありながら、同時に極めて真摯な、運命の訣別であった。

聚義庁の大内はすでに空っぽであり、山を埋め尽くしていた旌旗だけが、風雪のなかで烈烈と虚しく鳴り響いていた。

宋江は残された頭領たちを引き連れ、水門の前の石階(石段)の上に立ち尽くしていた。彼は美嘉を見つめ、美嘉の背後にあって、最初から最後まで誰一人として一歩も退くことのなかった女兵たちを見つめた。その漆黒の両手は微かに震え、その黒い顔は、あたかも一夜のうちに十歳も年老いたかのように憔悴しきっていた。


彼は、山寨の厳格な規矩を以て美嘉を処断することはしなかった。この男の眼の中にあっては、梁山泊の「忠義の大局」こそが万物より重かったが、同時に彼は明晰に記憶していた。過去の一年間、この精明な義妹が、薬湯を煎じ、酒精を配り、石鹸を作り出すことで、この山にひしめく数万の弟兄の命を、力任せに閻魔大王の手から毟り取ってくれたという事実を。

この大宋朝の江湖の境界において、この時代が交錯する風口浪尖(岐路)にあって、等しく固執でありながら、しかし完全に相反する道を歩むことを選んだ二つの魂は、ついに、最も深遠なる割裂(決別)を迎えた。

「妹よ、お前は本当に……哥哥(俺)とともに汴京へ赴き、聖上の招安を受ける気はないのだな?」宋江の声は極限まで掠れており、そこには前代未聞の凄涼な響きが混ざり合っていた。

美嘉は馬の背から翻り降りた。彼女は講談に描かれるような反賊の如くに宋江を大声で罵倒することもせず、ましてや自分が将来、外の世界で惊天動地の大業を成し遂げてみせるなどという大言壮語を高呼することもなかった。彼女は、ただどこまでも真摯に、どこまでも真実の情を込めて、宋江に向かって深く深く、一礼を執った。

「公明のお兄様。この一年間、三娘は山にあって、梁山泊の飯を食らい、後山の小さな木屋に宿を借りました。山を埋める百八人の弟兄たちは、三娘の眼には、みんな天の下で一番の良いお兄様たちでした。この飯を端し(与え)、宿を留めてくれた活命の恩、三娘は永世にわたって忘れません。ただ……三娘の心はあまりにも小さすぎて、お兄様の眼にあるような、妻を封じ子に蔭を遺し、青史に名を留めるという大局を収めることはできません。三娘はただ、後山のこの群れの兄弟姉妹を引き連れ、乱世の中で一つの活路(生きる道)を求めたいだけなのです。今日を限りの別れとなります。公明のお兄様、どうか、お健やかで」


宋江はそれを聞くと、その黝黒の両眼を静かに閉じ、その眼角から一滴の渾濁した涙が音もなく滑り落ちていった。彼は悟った。この梁山泊という名の泥舟に、美嘉が乗ることは二度とないのだと。

対話がまだ終わらぬうちに、美嘉の背後から、一尊の巨大な肉山が霍然と一歩前へ踏み出した。

「公明の兄貴、灑家(さいか)の気性はあんたも知っての通りだ。朝廷のあの鳥の如き不快な気など、灑家には一秒も耐えられねえ。今日を限り、灑家は三頭領に付き従って山を降りる。往々に兄貴からの駆使(頼み)があれば、朝廷の犬になること以外なら、灑家はこの命をいつでも梁山に還してやるよ!」

「花和尚」魯智深は、その眼窩を紅く染めながら、低い声で咆哮した。

次いで、「行者」武松、薬箱を提げた「豹子頭」林冲、そして水の中の阮氏三雄(阮小二、阮小五、阮小七)が陸続と歩みを進め、黙然とした佇まいのまま美嘉の側へと寄り添った。そこに顧大嫂、楽大娘子、そして「轟天雷」凌振が加わり、総勢八人の梁山泊の頭領たちが、この立冬の尾声(終わりの時期)にあって、美嘉と同行することを選択したのである。


その光景は、瞬く間に、漫天の風雪のなかに涙が飛び散る悲痛な別れの大会へと変わっていった。

顧大嫂は夫である孫新の手を死に物狂いに握り締め、楽大娘子は孫立の衣の裾をきっちりと掴んでいた。登州派系の二本の拠り所(大黒柱)である男たちの眼眶(眼の縁)は真っ赤に充血し、その一対の無骨な大きな手が、半空のなかで死に物狂いに握り合わされていた。

「三妹、弟嫁らを連れて行きなさい! この山の上の大局は、俺と孫新が引き受ける! 俺たち登州人の義気は、断じて途切れさせやしねえ!」孫立は歯を食いしばり、その声を判別できぬほどに激しく震わせていた。「俺たちが前方で新しく確かな路を切り拓いたその時は……暗地(裏)にあって、必ずや再び合流し、重集(再会)を果たす日が来るはずだ!」

孫新は顧大嫂の身体をその腕の中に引き抱き、その背中をドンドンと力強く叩いた。余計な誓言などどこにもなく、あるのはただ、江湖の人間だけが共有する、最も深遠なる暗黙の約束だけだった。――今日の別れは、未来のいつの日か、どこかの新しい天地において、より体面的(人間らしく)に生き抜くためのものなのだと。当然のことながら、彼らの胸の内には、朝廷に対する深い防備と忌避の念が、分厚く横たわっていたのである。


阮氏三雄と水軍の弟兄たちは互いの首を抱き合って痛哭し、林冲と魯智深は前線のあの無骨な好漢たちと、一碗、また一碗と最後の烈酒を喉へと流し込んでいた。誰もが泣き、誰もが心からの真実の情を以て、互いの健勝を祝福し合っていた。これは決して反乱などではない。梁山泊の百八将の歴史において、最も真摯であり、最も温和な、平和的な組織の解散(拆夥)であった。

最終的に、宋江は緩やかに眼を開き、極限の疲弊を漂わせながら、その漆黒の両手を力なく振った。

「罷(や)め、罷め! 人それぞれに志がある。三娘妹子、お前がどうしても行くというのなら、哥哥(俺)も決して絶情の輩にはならぬ。後山の一百名の女兵は、すべて連れて行くが良い。魯大帥や林教頭、お前たち八人の側近の親兵(親衛隊)も、一並に随行させるが良い。山寨の糧草と草薬は、百車分をお前たちに割いてやる。……これより往々、山高水長(道は遠く隔たれても)、各々が安穏であることを願う」


訓練の行き届いた百名の後勤女兵、そこに八人の頭領の側近の親衛、さらには扈成の親随を加え、総勢でおよそ二百人に満たない少数精鋭の部隊は、風雪が証明するなか、静静と車馬を曳きながら、彼らの無数の青春と熱血が盤踞していたあの八百里梁山泊を、一歩、また一歩と歩み出ていった。

そして、彼らの背後では、山が、激しく燃え上がっていた。

大宋朝廷から正式に降された招安の命令に基づき、宋江が朝廷へ帰順するための最初の手仕舞いとして要求されたのは、あろうことか、この八百里梁山泊の大寨のすべてに火を放ち、徹底的に焼き払うことであった。


烈火は、巻き上がる滚々とした濃煙を伴い、冬日の風雪のなかで狂暴に猛威を振るっていた。かつて朝廷の官軍を震え上がらせたあの聚義庁、美嘉が毎日、細心の注意を払って塵を拭き清めていたあの後山の木屋が、この一瞬ののちに、残さず滔天の焦黒の灰燼へと帰していった。彼らの前半生の草莽時代をすべて焼き尽くさんとするその烈火は、水泊のすべてを真っ赤に染め上げていた。

美嘉は馬の背に跨り、扈成をその傍らに、八人の頭領を背後に従え、二百人に満たない隊列を長く引き伸ばして進んでいた。彼女は、融解し、崩れ落ち、焼き払われてゆくあの梁山泊の姿を、ただの一度も振り返ることはしなかった。彼女はただ馬の手綱をきっちりと握り締め、その清徹な瞳の中に、漫天の紅光を静かに反射させていた。

「三妹妹、これから私たち二百人あまりの人間は、一体どこに腰を落ち着ければいいんだい?」顧大嫂は涙を拭いながら、ダミ声を張り上げて尋ねてきた。

美嘉は微かに微笑み、その修長で白皙の指先を伸ばし、山の下に広がる、彼女たちのために用意された新たなる天地の方向を指し示した。


「二姉様、お兄様たち。梁山泊は焼け落ちてしまいましたけれど、私たちの手にある薬も、大鍋の中の塩も、地下の商路も、何一つ失われてはいませんわ。私たちは南へ赴き、かつての二龍山、桃花山、芒碭山(ぼうとうざん)といった数多の山々と、私たちの扈家荘の『一崗』を、そのすべてを一つに繋ぎ合わせるのです。朝廷は私たちを死に追いやるつもりでしょうけれど、そう簡単にいくもんですか。私たちはただ生き残るだけじゃない、誰よりも良く、体面的に生きてみせるのです。この大宋の天下一の南端において、私たちの四百人の世外桃源は、今、ここから本当に始まるのですから」


片片たる雪花が静かに舞い落ち、漫天に猛威を振るう熊熊たる大火のなかに、静かに融けて消えていった。

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