第58話
ゴブリンの群れが領地付近を哨戒していた。森のオオカミと一緒に定期的に移動し、周りをチェックしたり、話したり、うるさい声で笑ったりしていた。その中でもひときわ目立っていたゴブリンが一人いた。あいつの左目は大きな傷を負っており、時々開いており、白い瞳孔が彼に恐ろしい外観を与えていた。彼は他の人よりも大きな森のオオカミに乗っていた。
あの片目のゴブリンはグループリーダーだった。彼は辺りを見回し、戦おうとしている部下たちに厳しく鼻を鳴らした。そして近くにいたゴブリン達に何かを言い、森のオオカミと共に立ち去った。残った人たちは、うれしそうに手をたたいた。森のオオカミは尻尾を振りながら地面の匂いを嗅いだ。
「森のオオカミ二匹、槍三匹、剣三匹、そして盾三匹」とローランドさんが言った。
「彼らは完全武装しましたわ。アーチャーがいないから、全員は近接戦闘員ですわ」とジュリエットさんも言った。
ローランドさんは計画を説明した。「全員バックアップを求める前に早く倒さなければならない。特に、森のオオカミだ。突然攻撃は一番いい方法。まず、【土壁】で逃げ道を塞ぎ、遠吠えする前に森のオオカミを打つ。その後、残りのゴブリンを片付ける」
「両側から攻撃したほうがいい。二匹の森のオオカミは近くにないからです。そのうちの一匹は、囲まれていることに気付いたときに最初に信号を送信します」
「じゃあ、俺は右、光莉は左。ジュリエット、何かあったらすぐバックアップして」ローランドは小さくため息をつき、私達を見た。「お前たち、準備はいい?」
私とジュリエットさんはうなずいた。
「さあ、はじめよう!」
ローランドさんは私とゆっくり森のオオカミに近づいた。森のオオカミもゴブリンも私たちを存在に気づいていなかった。突然、枝が折れる音が彼ら全員に警告した。ジュリエットさんが誤って音を出した音源に目を向けた。
そして森のオオカミに突進し、その首に剣を突き刺して即死させた。仲間が死んでいくのを見て、一匹のゴブリンが槍を突き刺した。首をかしげて回避し、ジャンプして距離を縮めた。しかし、別のゴブリンが仲間を盾で守って現れた。減速できずに剣を振るい、二匹のゴブリンの盾を同時に切り裂いた。
一方、ローランドさんは一気に四匹のゴブリンに迎撃された。剣を振るうゴブリンと剣を振るう二匹のゴブリンが残りの槍使いと手を組んだ。交代で攻撃し、ローランドさんとオオカミの森の距離をさらに縮めた。
(間に合わない!)とローランドさんが考えた。
森のオオカミを止めるには目の前のゴブリンを突破しなければならない。そこで、ローランドさんは走り、飛び跳ねて槍の攻撃を避けた。【爽風】を使って、彼はなんとか森のオオカミに向かってダッシュし、剣を顎に突き刺した。苦痛の咆哮を上げながら、ローランドさんが先程防御していたゴブリン達に森のオオカミを投げつけると、二匹は押しつぶされて身動きが取れなくなった。
「ローランドさん!後ろ!」と私が叫んだ。
ローランドさんがふと振り返ると、二匹のゴブリンが剣を抜いて近づいてきた。彼らの刃はローランドさんを傷つける代わりに、目に見えない硬いものに当たった。ジュリエットさんは遠くから保護するための【お守り】を準備していた。ローランドさんは即座に体を回転させ、二匹の怪物の首を刎ねた。
そのあと、ローランドさんは私を手伝いたがったが、また二匹の槍のゴブリンに攻撃された。二匹のモンスターの顔は、満面の笑顔と唾液で満たされた舌を突き出して迷惑そうに見えた。
「クソ!この生意気なモンスターがっ!」とローランドさんが文句を言った。
ローランドさんに近づいた私は彼に言った、「あのモンスターどもが逃げないで私たちと戦ってよかったですね。もし逃げて、助を求めたら、やばいなことになります」
私は意図的に最後の言葉を強調した。ローランドさん自身が、魔法を使わない方がいいと言っていたから。不自然な死に方をしているモンスターを見たら、ギルドに説明するのが難しいのではないかと心配していた。
「そうだな。じゃあ、さっさと片付けよう!今日は忙しいから」
そう言って俺達は振り返り、反対方向に走った。ローランドさんが剣を持った二匹のゴブリンを片付け、俺が槍を持ったゴブリンを倒した。
確かに、攻撃範囲が広い相手にはかなり難しかった。しかし、それは二匹のゴブリンが優れているという意味ではない。実はお互いの能力を知っていたからこそ入れ替わった。
私はローランドさんより足が速いので回避しやすい。何の攻撃も効かず、二匹のゴブリンは慌てた。彼らの槍が一斉に私を狙ってくると、私は素早く割り込んで一気に距離を縮めた。反応する暇もなく、私の剣は早くも二体の魔物の首を切り裂き、頭を地面に転がした。
ローランドさんももう終わった。彼の剣技は侮れない。彼のスキルで、簡単にゴブリンの刃を武装解除し、心臓を突き刺して、迅速な死をもたらした。残ったゴブリンを思い出した。驚いたことに、その二匹のゴブリンは起き上がり、森のオオカミを登って逃げようとした。
「光莉!逃げるぞ!」とローランドさんが叫んだ。
私もそこに目を向けると、森のオオカミが走ろうとしているのが見えた。逃げる前に、光の玉が飛んで爆発し、見えなくなった。【爽風】を足元に集中させることで、1回のジャンプでモンスターにたどり着くことができた。気がつくと、二匹のゴブリンの首は胴体から切り離された。森のオオカミも。剣を納める前に、私はため息をついた。
戦いが終わったあと、ジュリエットさんは隠れる場所から出てきた。
「ナイス、ジュリエット!」とローランドさんは誇らしげに親指を立てた。
「私は自分の間違いを正そうとしているだけでした。私のせいで、お兄様が作ってくださった計画が崩れてしまって…」ジュリエットさんは自分のやったことに申し訳なさそうに顔を伏せた。
「まあ、重要なことは、我々はすべてを克服できるということです。それに、ジュリエットさんのおかげでローランドさんは傷ついていなかった。そして、あなたもモンスターたちが逃げるのをなんとか防ぎました」と私は正直に言った。
ローランドさんはジュリエットさんの頭を撫でた。「光莉の言う通りだ。俺を守ってくれてありがとう」
悲しいジュリエットの視線がキラキラと輝いた。笑顔で熱心にうなずいた。「はい!」
仲良くしている二人を見て、私も少し唇が歪んだ。しかし、茂みからガサガサという音が耳に届くと、その笑顔はすぐに消えてしまった。
(残ったゴブリンがまだいる?)
考えないで私はすぐに剣を抜いて、そこにあるものすべてを斬る準備をした。しかし、そこから人間の頭が突き出ているのを見て、すぐに彼を止めた。
「うわあアアア!」とそこの赤紙の青年が叫んで落ちた。
「あなた…」と知っている顔を見て私が言った。
「レイハンのバカ!早くしにたいのかあ?!」と一人の女性が叫んだ。
「我慢して。今、こいつを助けよう」とまた他の青年が言った。
その後、先に倒れていた青年を抱き上げようと、別の二人が現れた彼らを見たとき、女性が最初に呼び掛けるまで私たちは唖然とした。
「光莉さん!光莉さんだよね?アネリアの近くの農園の光莉さんだよね!」とその女性は私を指さした。
俺は剣を下ろして頷き返した。「うん。お久しぶり、リラさん、そして…」私は笑顔で最後の人を見た。「クラウスさん」
「お久しぶり、光莉さん」とクラウスさんも親切に答えた。
「僕のこと忘れるな!」まだ地面に横たわっているレイハンは叫んだ。リラとクラウスが近くに立っていたので、彼は起き上がれなかった。起き上がったばかりで、彼は大きな声で挨拶した。「よ、光莉ちゃん!お久しぶりッス!元気?そういえば、お前はどうしてこんなところに?」
レイさんの質問を聞いて、クラウスさんも尋ねた。「そう。森の中で何をしている?何か必要があるんですか?」
「えっと...私―」
「光莉さん!」ジュリエットさんが私の腕を掴んでやってきた。彼女の表情は微笑んでいた。しかし、特にクラウスさんを見ると何かが違う。その笑顔で彼に警告しているようだった。
「お知り合いですか?」とジュリエットさんまた言った。
「この人たちはヘビのモンスターを確認したあとうちのところに泊まりました。だから、お知り合いです」
ジュリエットさんの笑顔が硬直し、彼女も腕を引き締めた。「こちらの方々は光莉さんの初めてのお友達ですか?私ではなくて…?」
そうだね。クラウスさんたちはボブおじさんとメアリーおばさん以外に知っている人だった。でも、そのとき、友だちなんて思わなかった。彼らはただうちのところに泊まって冒険の話をしただけ。彼らはいい人だと思った。最初は別れたあと悲しくなったが、早く気持ちがよくなれた。
「うん。彼らは私の初めての友達。でも、ジュリエットさんは私の初めての親友ですよ」
私の答えを聞いて、ジュリエットさんは再び目を輝かせた。彼女は私の肩に頭をこすりつけてから、それに寄りかかった。
そんなに嬉しい顔を見て、彼らに紹介するのを忘れてしまった。「クラウスさん、レイさん、リラさん。こちらはジュリエットさんとローランドさんです。この二人は兄弟で私のボウケンシャの仲間です」
「よろしく」とローランドさん言った。
「こちらこそよろしくお願いします」とクラウスさんは答えた。
「じゃあ、これから僕らは友だちッスね!!」とレイさんが言った。
「レイくん!勝手にするな!相手の意見を聞かなければならないだろう!」とリラさんがレイさんを注意した。
「いいですよ。私たちも初心者なので、だからよろしくお願いします」と私が返事した。
「ははは!僕たちに任せてッス!何かわからないことがあったら、ぜひ聞いてください!いい先輩の僕らは全力で手伝うからッス!」と自慢がいっぱいレイさんが言った。
レイは私が年上であることを忘れていたのだろう。まあ、冒険に関しては、彼らはより経験豊富。ですから、彼らの近くにいても決して害はない。
「そういえば、君たちはゴブリン狩りのクエストをやっている?」とクラウスさんはモンスターの死体を見ながら聞いた。
この件は任せろと合図するとローランドをちらりと見た。魔物の巣を攻略するために援軍が来るのを待っているわけにはいかないので、今日はゴブリン退治の任務に就いた。ご希望の金額に応じて耳を傾ける予定。持ちすぎるとギルドが不審に思い、免許取り消しに発展する可能性があるから。
「そうだよ。見えた通り、ゴブリン狩りのクエストをした。ただ、森のオオカミに会ったまでは本当に予期しない。全員倒せて幸運だ」
ローランドさんの合理的な説明は、クラウスさんに簡単に信じさせた。
「じゃあ、もう終わった?まだ終わっていないなら、手伝ってあげましょう」とリラさんが提供した。
「手伝ってあげよう!我々は友だちからッス!」レイさんが言った。
「提供ありがとう。でも、俺たちは自分でできる。俺たちは初心者で経験など必要。だから、自分の力でやるつもり」とローランドさんが言った。
「遠慮するな!さあ、ゴブリンを探そう!」
さっきのローランドさんの答えを無視して、レイさんは満面の笑顔で前を向いていた。彼は目の前にある冒険を待ち焦がれている子供のように見えた。
リラさんは恥ずかしそうな顔で私に近づいた。「レイくんのこと許して。一度決めたら、気が変わりにくい」
「いいですよ。みんなと会えてまったく思わなかった。クエストを終えたばかりですか?」彼らの服が汚れて、リラさんの矢筒は、私が覚えているほどいっぱいではないから聞いた。
「はい。実は、私たちヴァッダ市に休みに帰ったつもりが、レイくんが戦いの音をか聞いたって、すぐここに走っていった。本当に面倒な男だ!」リラさんはむっつりとした顔をしながら胸を押さえた。
「大変ですね」と私がそっと笑いながら言った。
「そうよ!あのね、レイくんは本当にめんどくさいな!あいつは―!」
リラさんが言い終える前に、レイさんが大声で私たちを呼んだ。どうやら、彼は一人で長い道のりを歩いていたよう。クラウスさんもローランドさんもはついてこず、短い会話を交わした。
「どうして動いてない?さっさとクエストを終わらせろ!」とレイさんが叫んだ。
リラさんはため息をつき、仲間の後を追った。「おい!あまり遠くへ行かないで!そのように頭を切り落とされそうになったらどうする?」
「二度と起こらないッスよ!」とレイさんはこっちに見ないで歩いた。
「一緒に行こう。ゴブリンは夜行性のモンスターなので、夜が来る前に終わらせた方がいい」とクラウスさんが言った。
私はそれに応じて一度うなずき、彼を先に進めた。その時、ローランドさんが小声で囁きながら近づいてきた。
「いい人たちだ」と彼が言った。
「そうです。私たちについて来るせいで彼らに危険を巻き込まれたくないな」と私が返事した。
ローランドは一瞬私をちらりと見た後、再び彼らに視線を向けた。「まあ、よく頑張ろう。ジュリエット、あいつらを守ってくれ」
「お任せください、お兄様!みんなを全員守って差し上げますわ!」と自慢な声でジュリエットが返事した。
その後、私たちはクラウスさんたちを追跡し、主な目的に進んだ。




