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どうせみんな死ぬ。  作者: さくらふぁや
第五章 ~瞳人と送影~
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第150話 過ぎ去り消えた十年

 日々は続く。何もできないまま。もどかしいだけの日々が続いた。


 あれから、十年の時が、経とうとしていた。


「ハイガル」


 ――まったく。


「待たせたわね」


 いつまで待たせる気だ。首が伸び切ったじゃないか。


 その声を聞くのも、同じくらいぶりだ。すべてを鮮明に覚えている――今、目の前で起こっていることみたいに。それでも、懐かしいと思うくらい。


「――本当に、変わらない」


 相変わらず小さな手が、俺の頭を撫でる。


「誰も、何も、できなかったのね」


 俺を治すため、ローウェルが各地から知識を募った。その結果、「どうにもできない」という結論に至った。


「あたしも、前に同じようなことがなかったら、きっと気づかなかったもの」


 何かを躊躇うようにして、マナは。


「こんな方法しか思いつかなくて、ごめんなさい。でも、こうするしか、ないと思うから」


 マナは俺を、強く抱きしめる。


「――もし、今の生活が気に入ってるって言うなら、謝りようもないくらい、ごめんなさい」


 グジュ、と、音がする。俺の、胸の辺りから。痛い。熱い。のたうち回りたいのに、体が動かなくて。痛みを紛らわせる方法がなくて。痛い。


「不老不死は、魔法だから。あたしが触れて、無効化してる間は、不老でも不死でもない」




「ごめんなさい」




 熱い痛いが、ぐるぐる回って。気持ち悪いになってきて。それが、寒いに変わっていく。


 心臓を貫かれたのだと、遅れて理解する。


 それでも、なかなか死ねないのは、マナの魔法を無効化する力と、不老不死の魔法が、反発しあっているからだろう。


「すぐに、終わるから」


 ありがとう、マナ。


 そんな決断をできるくらい、強くなったんだな。


 いつでもマナは、俺の、憧れだ。


 だから、次があるなら、俺も、強く生きたいと思う。


 感覚が、遠のく。


 次なんて、あるんだろうか。


 でも、よかった。




 こうなることを見越して、空間収納の中を、空にしておいたんだ。




 ジェニファーとナーアは、マナに預けたから、安心だ。


 もし、次の世界があるなら。


 今度こそ、みんなで、堂々と生きられるような、そんな居場所を、作っていこう。


「次の世界でも、あたしはあなたを――」

 


 俺はお前を。



 ――愛してる。


(瞳人と送影 END)

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