↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ノエル’ズ ダイアリー ~竜姫さまのVRMMO日記  作者: 柚ノ森みんと
3章:大陸西域・レウルザーガ領アルトラント
94/102

91

 大陸暦1053年 海の月 28日



 冒険者ギルドの地下にレイラさんに案内されてやってきました。


 「どうしてフィルハウトさんがいるんですか?」


 何故かフィルハウトさんも一緒に。


 「ノエルさんの適性検査なら重大な問題ですからね」


 「……本当ですか?」


 「ちょっと興味があるだけですよ」


 それはただの興味本位じゃないんでしょうか。


 「しかし、槍術・天威武法を修めているノエルさんがまたなぜ適性検査を受けようと?」


 「技は覚えたんですけど、教えてもらった人には『お前は才能がない』と言われてて、〈竜闘術〉と組み合わせないとまともに使えないので……」


 こほん、とレイラさんが話を遮るように咳払いをしたのでおしゃべりはやめることにします。


 「では、今からノエルさんには7つの試験を受けてもらいます。これによりノエルさんの能力値の素質を調べ、ノエルさんに向いている『スタイル』が何かを調べます」


 「スタイル、ですか?」


 「タイプとかクラス、とも言いますね。冒険者は当然、モンスター退治やダンジョン探索など危険に立ち向かうことが前提となりますから、それに対応する技術が求められます。その技術の傾向のことを言います」


 フィルハウトさんが説明してくれました。


 スタイルは大きくは4つあります。



 1.戦士系

 武器を持って戦うスタイルです。ジュードさんみたいな自分の手足で戦う格闘家もここに含まれます。さらに細かく分類するとフィルハウトさんみたいな攻撃重視のアタッカーか、レスタさんみたいな盾を持って防御を固めたタンクに分かれるそうです。



 2.斥候系

 敵やダンジョンの罠などの危険を誰よりも速く発見し、対処するスタイルです。特殊な技術を身につけつつ、ある程度の戦闘力も求められるので戦士系よりも大変かもしれません。今まで出会った人だとレイラさんはこのスタイルになるそうです。



 3.魔術師系

 魔法をメインに習得するスタイルですね。だいたい攻撃魔法を覚えて高火力で敵を倒していくことになります。魔法を一人前に使うためには必要なスキルやアーツの習得が大変なため、魔法の専門家になって直接の殴り合いには向いていない、となることが多いそうです。あと、チームを組む前提で支援や回復を主にする人もいるそうです。



 4.その他系

 1~3に当てはまらないスタイルです。これは個々でタイプが全然違うために一概にこう、という説明はできません。1つ例を挙げるならアーシャさんの銃と錬金術はこのその他に分類されるスタイルだそうです。



 「では、1つめの試験に行きますよ」


 レイラさんが扉を開けます。

 さあ、どんな試験なんでしょうか。



 =試験その1=


 狭い部屋の真ん中におおきなぬいぐるみが置いてあります。赤色、雑な造形なのでわかりにくいですが背中のコウモリの羽や尻尾を見るに、これ、ドラゴンです……?


 ぬいぐるみの側のテーブルにはボクシングのグローブのようなものが2つ、置いてあります。


 「じゃあ、その台のグローブを両手にはめてください」


 レイラさんに言われてグローブを手につけます。本当にボクシンググローブのようでした。


 「そこのドラゴンの像のお腹の部分に×のマークがついているのはわかりますね?」


 あ、やっぱりドラゴンなんですね、あれ。見ると確かにお腹に×マークがついています。


 「そこの床の足形のマークの所に立って、×マークを3回、力いっぱい殴ってください」


 「え?」


 「そこの床の足形のマークの所に立って、×マークを3回、力いっぱい殴ってください。大丈夫です、マークの所に立つと、説明が流れるはずですので」


 よくわかりませんが、とりあえず足形マークに自分の足を合わせて立つことにしましょう。



 テレッテテテテーテレッテテテテテーテン!



 何か電子音で音楽が鳴り始めました。


 【Dragon Puncher!】



 【3発殴って、邪悪なドラゴンを倒せ!】



 ……はい?


 急にノリノリなシステムメッセージさんのセリフもびっくりですが、何ですか、これ。


 思わずレイラさんを見ます。


 「どうかしましたか?」


 「いや、これ、あの……」


 「何となく言いたいことは察しましたが、試験ですので、指示に従ってください」


 どう説明したものか悩んでいたら、こちらの言わんとしていることは察してくれたようですが、冷たく突き放されてしまいました。


 仕方ありません。3発殴りましょう。


 えいっ!


 やあっ!!


 とうっ!!!


 1発殴ることにドラゴンのぬいぐるみが「ぎゃおー」て吠えていました。



 【スコア採点中……】



 【あなたのスコアは『幼竜』です! 次はもっと頑張ろう!】



 「スコアとか言われたんですが、何なんでしょうか?」


 「能力値の算定の時に使われるみたいですね。では、次の試験に行きましょうか」


 レイラさんに質問してみましたが、さらっとスルーされてしまいました。


 ……終わりなき迷宮の実例もありますし、もしかして、試験って全部こんなノリなのでは……。



 =試験その2=


 次の部屋は壁面に牙をむき出しにした恐ろしい犬の頭が3つ備え付けられていました。

 その犬の頭が突き出た部分の床がベルトコンベアみたいになっています。


 あ、これ何をするか何となくわかった……。


 「次の試験は、床が壁に取り付けられたケルベロスの頭の方に向かって動くので、その上で走り続けてください。ケルベロスの頭に噛みつかれたら終了です」


 ケルベロス……地獄の門番を務める3つ首の番犬でしたか。

 というか、やっぱりこのベルトコンベアの上で走るんですね。



 【Cerberus Escape!】


 【恐るべき地獄の番犬から逃げ切るのだ!】



 ベルトコンベアの上に乗ると、メッセージが流れました。


 というかいつもの無機質な感じじゃなくてノリノリですね。



 【Ready】



 【Go!】



 ベルトコンベアが壁の3つの犬の頭の方に向かって動き始めました。

 一瞬足を取られそうになりましたが、動き自体はそんなに速いわけではないので上手く走り始められました。

 さて……これ、いつまで走り続けることになるんでしょうかね?




 しばらくベルトコンベアの上で走り続けていると、だんだんと自分の体が壁の方に近づいて行っているのに気づきました。

 これは、コンベアのスピードが徐々に速くなっている?

 こちらも、走るスピードを上げないといけませんね。




 「あの、これ、レイラさん、いつまで、私は、走り続けたら、いいんで、しょう?」


 結構な時間走り続けたと思うんですが。

 さすがにちょっと息が上がって来ましたし、つらくなってきましたよ?


 「もちろん、ノエルさんが後ろのケルベロスの頭に噛みつかれるまでですよ。走り続けられた時間が長いほど高得点なので頑張ってくださいね」


 ぬおおおおぉぉぉ!?

 くっ……いいでしょう、やってやろうじゃないですかぁっ!





 「はい、お疲れさまでした」


 途中でさらにベルトコンベアの動きが速くなってあえなくゲームオーバーになりました。

 というか、頑張りすぎて何か【SP】にダメージ入りましたよ!?


 「じゃあ、次の試験に行きましょう」


 「……」


 「ちょっと休憩してから行きましょうか」


 こくこくと頷きます。


 ぜぇぜぇ……すみません、頑張りすぎたせいで、ちょっと喋るのもつらいです。



 =試験その3=


 やっと息も整ったので次の試験に行くことにしました。


 次の部屋には3×3に分けられたマスの書かれた板が立てて置いてあります。それぞれのマスに1から9までの番号が振ってありますね。そこから離れた場所の床に白い線が引いてあります。白い線の所に台があり、ボールらしきものがいくつか置いてありますね。どこかで見たことあるような感じです。


 「この試験はこのラインからボールを投げてあの3×3のマスにぶつけます。1から9まで、全てのマスにぶつけてください。ただし、投げることのできるボールは9個だけです」


 ああ、やっぱりストラックアウトですか。トレーニングとしてもゲームとしてもそれなりに有名ですよね。


 白いラインの所に立ちます。



 【Nine Sweeper!】



 【1から9のマスを射貫け!】



 そろそろ気の抜けるような音楽とメッセージにも慣れてきたかも。


 よーし、ではいきましょう。


 1球目。まさかのハズレ。

 お、落ち着きましょう。フレームに当たっただけですし、フレームに。


 2球目。5のマスにヒット。ゆっくり投げてもとりあえず命中させれば大丈夫みたいですね。


 3球目。右下、9のマスにヒット。


 4球目。左上、1のマスにヒット。


 以下、ハズレ、7、8、4、2に命中。3と6が残りました。


 「9発中7発命中ですね」


 「まあまあかな?」


 「私が知る限りでは結構いいと思いますよ」


 そうなんですね。へへん!



 =試験その4=


 次の部屋では同じように3×3に分けられたマスがあります。が、前の部屋と違うのは今度のマスは床に描かれている点ですね。


 「これはどういう試験なんですか?」


 「音楽に合わせて床の3×3のマスが光りますので、光ったマスを踏んでください。ちゃんと踏めると得点に、踏み間違えると減点になります。もちろん、得点が高い方がいいですよ」


 ふむ、なるほど。音楽の素養がないのでリズムに乗って動くとか、私にとっては難易度高そうですが、どうでしょうか。


 マス目の上に乗ります。



 【Dance Dance Fun!】



 【音楽に合わせて華麗にステップ!光るマスを踏んで、リズムに合わせて踊ろう!】



 踊るとかどうでもいいんですけどね。

 じーっと足元のマス目を見ています。



 【Music】



 【Start!】


 お、音楽が流れ始めました。アップテンポな曲ですね。私でも聞いたことがありますし、何か流行の曲でしょうか。


 足元のマス目が。


 3か所同時に光りました。


 ふぁ!?


 慌てて踏もうとしたら、次の2ヶ所に光が移動します。


 は、速い!?


 というか切り替えがものすごい速いから見て踏もうとしても間に合わない!?


 あ。


 ちょっと。


 待って。


 えい。


 はっ。


 無理無理無理ィ!?


 あ、音楽が終わった。


 「……最後だけポーズを決めても、全然ダメでしたね」


 「……はい」


 レイラさんの評価が辛辣です。くすん。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。