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 大陸暦1052年 雷の月 16日



 〈ドラゴンウィング〉を発動させると背中に翼が現れます。羽毛におおわれた鳥のものではなく1番近いのは恐竜の翼竜でしょうか。あ、恐竜と翼竜は似てるようで違う種だそうですね。服が邪魔になるかと思いましたが、大丈夫なようです。


 恐る恐る穴の上に足を踏み出してみます。背中の翼がゆっくりと羽ばたき始め、自由落下することなく降り始めます。科学的に考えてちゃんと飛ぶ要件を満たしているのかものすごく疑問ですが、ゲームなので気にしないことにしましょう。


 穴を降りて行った先は明らかに人工的に造られた部屋でした。部屋はそんなに広くはないですが中央に太い柱が立っており、大きな水晶が埋め込まれています。灯りはないのですけれど、特に問題なく見えるようです。そんなスキルはなかったはずなのでこれは竜としての種族の特性なんでしょうね。


 入ってきた崩れた壁の反対側に扉があります。とりあえずまずは柱と水晶を調べてみましょうか。



 【復活地点に指定できます。指定しますか?】



 水晶に触れるといつもの機械的な女性の声、システム音声が聞こえてきました。目の前やや右手側に半透明のウィンドウが空中に開いて、はい・いいえと表示されています。


 つまり、ダンジョンの中で万一死亡しても、復活地点をここにしておけばダンジョンの入り口で復活できるわけですね。確かこういうのを「セーブポイント」と言うのでしたっけ。


 とりあえずは「いいえ」を選択しておきます。ログインしたらダンジョンでした、というのは嫌すぎますからね。


 では、扉に向かいましょう。ゆっくりと扉を開けます。


 出たのは通路のようです。正面に両開きの大きな扉が、左右に道が伸びています。特に何かがいるような感じはしません。とりあえず扉は重要そうな部屋のように見えるので後回しにして先に通路を行くことにしましょう。緊張しすぎないように、油断しすぎないように、進んでいきましょうか。あ、迷わないように地図を書いておきたいですね……紙も筆記用具もないんですけど。何か用意できないか、後で考えてみましょう。


 さて、特にあてはないので、どっちに進んでも良かったのですが、何となくで右に進んでみます。通路はだいたい3人くらいが並べて2人がすれ違うには十分くらいな幅ですね。左に折れ曲がっているのでそのまま道なりに進んでいくと。


 曲がり角を曲がったところでいきなり目の前に人影が2体。


 〈気配察知〉仕事してない!? 気をつけていたはずなのですが。


 慌てて距離を取って相手の姿を確認します。これは……骨格標本ですね。ぼろぼろの革鎧っぽいものをつけて錆びた剣のようなものを持っていますが。


 確か、こういうモンスターは何と言ったかというと……スケルトン?


      ◇  ◆  ◇  ◆  ◇  ◆  ◇  ◆  ◇


 はい。まずは反省です。


 その1。〈気配察知〉の質をもっと高めること。スキルを覚えた時にノクターナルさんに言われたのを思い出しました。気配を消したり、そもそも気配が薄い相手もいる、と。つまり対面の模擬戦しかやっていなかった私は、まず索敵から見直さないといけないようです。


 その2。敵と出会ったらまず〈鑑定〉をすること。そもそも敵の情報を掴むために〈鑑定〉のスキルを覚えたのに、まったく使うのを忘れていました。この辺は慣れですね。敵と会ったら即〈鑑定〉。3回唱えて肝に銘じておきましょう。


 あ、スケルトン? 足元に2体とも転がっています。そんなに強くなかったので。


 自動で発動する〈ドラゴンスケイル〉だけで相手の斬撃を防げたので、それがわかれば大したことはありませんでした。


 さて、実は今までやる機会がなかったのですが、モンスターを倒した後のドロップアイテムの入手です。


 本来、モンスターなどを倒した後は死体がその場に残ります(〈ドラゴンバイト〉でとどめを刺してしまうと死体が残りません)。それに「ルート権」のあるPCが触れることで、その相手が持つドロップアイテムをランダムで入手することができます。「ルート権」というのは簡単に言ってしまうと「死体からアイテムを入手する権利」ですね。


 一応、ある程度時間がたつとルート権はなくなり誰でもアイテムを入手できるようにはなります。さらに時間がたつと死体そのものが消えてしまいます。


 では、アイテムを入手してみましょう。



 【骨を入手しました】

 【骨×2を入手しました】



 いかにもなアイテムを入手できました。手に持ってみます。骨、ですね。大腿骨でしょうか?ついでに〈鑑定〉もしてみます。



 骨

 分類:素材

 レア度:1

 品質:D

 重量:1

 何か生物の骨。魔力を帯びている。



 あんまり話をするほどの項目はないですね。魔力を帯びている、というのは気になりますが。

 とりあえず、気をつけて先に進んでみましょう。



 通路はさらにすすむと十字路になりました。それを左に進むとまた十字路。それを左に曲がると曲がり角を通って元の場所に戻りました。通路が四角形でちょうど一周する感じですね。途中で扉が一辺の通路に2つずつで計6個。これは最初にあった両開きの大きな扉と違ってごく普通の扉でしたので開けて中を確認してみます。


 ……特に何もない小部屋ばかりでした。モンスターに襲われることが何度かあったので、騙し討ち用かもしれません。


 今のところ、遭遇したモンスターは3種類。


 ・ボーンゴーレム 分類:魔法生物 レベル:11~13


 一番最初に戦った相手ですね。通路を歩いていると2体一組で現れます。骨で作られたゴーレム、ということでいわゆる有名なスケルトンとはちょっと違うようです。錆びた剣を振り回して来ますが〈ドラゴンスケイル〉で防げるので特に問題はありません。ドロップ品は骨と錆びた剣。骨は複数入手できる場合もあります。


 ・ダンジョンバット 分類:魔法生物 レベル:7~9


 小部屋で頭上から群れで襲ってきた相手です。いわゆる「気配を消して襲ってくる」感じで、羽音も小さく、最初はいきなり噛みつかれて焦りました。まあ、噛みつかれたのは発動した〈ドラゴンスケイル〉の鱗だったので大丈夫だったのですけれど。ドロップ品はダンジョンバットの牙とダンジョンバットの翼でした。


 ・ダンジョンラット 分類:魔法生物 レベル:7~9


 同じく小部屋で急に現れて襲ってきた敵です。いわゆるネズミなのですが、大きさは猫くらい。3~5匹まとめて出てきて、好戦的なようですぐ襲ってきます。噛みつきと体当たりが攻撃手段です。噛みつかれるのはちょっと怖いですね。ネズミは病気を感染させたりする場合もありますので。〈ドラゴンテイル〉で薙ぎ払うと吹き飛んで行くのがちょっと楽しかったです。ドロップ品はダンジョンラットの牙とダンジョンラットの尻尾でした。


 PC(プレイヤーキャラクター)はスキルのレベルだけで自身のレベルはないんですが、モンスターはレベルで表記されるようです。確か、自分の戦闘に関するスキルとアーツのレベルの平均がモンスターのレベルと同じならだいたい適性な戦う相手、だったと思います(モンスターのレベルについては調べたのですけれど、なかなか照合する機会がなかったので後で正しかったか調べなおしておきましょう)。


 ちなみに外にいたミドルラビットはレベル2か3でしたね。


 一度来た通路に戻るとまた同じボーンゴーレムがいたので小部屋含めてもう1度回ってみましょう。


 もう1度といいつつ4周してしまい。最初の1周と合わせて計5周した結果。


 骨×33

 錆びた剣×5

 ダンジョンバットの牙×7

 ダンジョンバットの翼×15

 ダンジョンラットの牙×13

 ダンジョンラットの尻尾×12


 手元にこれだけのアイテムが増えました。


 というか、「出現するのがわかっている敵を倒す」のはゲームらしいのかもしれませんが、本筋の実戦訓練とは言い難いですね。私の戦闘スキルの〈竜闘術〉は15レベルですから法則から言うと「弱い敵」です。今日はこの辺で戻りましょう。


 奥に行けばまた違うのでしょうが、迷うのが怖いですから……。


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