29 手合わせ1
数日後、皆がそろった朝食時に黒姫が話を切り出した。
「なあ、新しい技を試したいんやけど、誰か手合わせしてくれんかいな?」
「ならば、私も試したいことがあるので朝食の後、皆が仕事を始める前にどうだ。」
「白銀か~、久しぶりやな。ほな、一つ頼むわ。」
「ああ、楽しみだ。」
そして、朝食後、鍛錬場で白銀と黒姫の二人が向かい合い、シルヴィア、ブルネット、紅音、イチローが見守っている。
「ほな、うちからいくで~「九十九」(つくも)」
何人もの黒姫が白銀の周りを取り囲む。
「えっ、シルヴィア、あれは分身か何か?」
「イチロー、あれは分身などと言う単純なものではない。それぞれが黒姫の可能性じゃ。どれも本物の黒姫じゃから、力が何分の一になるというものでもない。」
「ならば、六臂連斬」
白銀が四方から襲いかかる黒姫を素早く切り裂く。
だが、切り裂かれた黒姫は一瞬の内に消えて無くなり、端から新たな黒姫が現れる。
「それぞれが可能性じゃからのう。切り裂かれたとしてもその可能性は実現しなかっただけで、新たな可能性が発生する。
あの技を破るには全ての黒姫を一瞬の内に倒さねばならん。竜神八部の攻撃並の威力を持った複数の広域殲滅魔術を同時に使用して、倒しきれるかどうか・・・」
「ならば、こちらも「修羅界」」
白銀を中心に白い空間が生じ、鍛錬場に広がる。
「滅!」
その瞬間、全ての黒姫が消し飛んだ。




