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29 集う

早朝、5時過ぎ頃。

昇る朝日に背中を照らされ2人の人が歩いていた。

1人は青年、その顔は緊張、そして覚悟が浮き出ている。

一方隣を歩くもう1人の少女は眠たげに目を擦る。


2人は半壊し建て直しのための骨組みが組まれた建物に足を踏み入れる。


本来人のいない時間、人のいないような場所であるが、中は十数人の人で賑わっていた。


入り口付近の瓦礫に腰掛けていた人物―両刃が声を掛ける。

「お、来たか。…と、これで全員かな」


「俺達が最後か、待たせちゃってごめんなさい。

柔音がなかなか起きないもんで」


「…連我だって準備できてなくて慌ててたくせに」


「くっ…バレていたか…」


その会話から少し笑みがこぼれる。


「気にしないでいいよ、集合時間前なのに皆早すぎるだけだからさ。」

そう言って両刃が立ち上がる。

矛や盾、示など見覚えのある顔も数人いる。

「えー、静粛に!」

その一言で会話がピタリと止まる。


「今日ここに集まってもらった理由、言わずとも皆頭に叩き込まれているな?

君達が、そして我々も―…ここにいるものは皆、

過去に奴らにより人生を狂わされ恨んでいる者たちだ。

そして今宵、始めて復讐のチャンスがやってきた!

今まで何十年も尻尾すら見せず痕跡を追うしかなかったが、ここ数週間で相次いで奴らの下っ端を潰すことに成功し、焦った奴らはついに尻尾を見せた。

奴らの中でも位の高い『幹部』―もとい『最重要指名手配犯』の者たちだが―の一人、タイムのアジトを特定することに成功した。

タイム、それからその部下通称四天王―…それを一網打尽にし、叶うことならこの場にいる全員が生きて帰ることが目標だッ!」

と、連我は見たことのない人物が演説をしている。


「柔音、自信のほどは?」

連我が聞く。


「なんかまだ変な感覚。けど、自信は大アリ。

絶対死んでやらない!」


「…同感だ」

再び前を向き直すと、演説していた人物がちょうどまた話し始めていた。

「自己紹介が遅れた、俺は陰陽、冒勇隊のリーダーをやらせてもらっているものだ。

普段、メンバー以外の前に顔は出さないのだが―…この数十年、死ぬ気で代を跨ぎ紡いできた成果が発揮される今宵、直接指揮をとりたいと思いこの場に来た。

本日はよろしく頼む。

―皆もお互いのことをあまり知らないだろう、これから1時間の間準備を兼ねた自由時間とする。

共に命を預け合う仲間だ、お互いのことを知らねば任せるものも任せられないと思う。

俺は奥で本部の援護軍と交信している、何かあれば遠慮せず来てくれて構わない。」


話が終わり、数秒の沈黙のあと少しずつ話し声が聞こえ始め、ガヤガヤと瞬く間に騒がしくなる。

その中に、連我はこの前のフハイとの戦いで町中にいたあの冒険者一行を見つけた。


「あの…この前、町中にいた人達ですよね、あの時は助けていただいてありがとうございます」

と、話しかける。


「ん…あ、あの時の!びっくりしましたよ、あんな怪物に追われてて。

こっちこそあんなのと出くわす前にあの戦い終わらせてくれてありがとうございます、今日も頑張りましょ!」


と、答えたのはその一行のリーダーらしき人物。

空色の短い髪に、装飾品でなぜか三角定規をつけている青年だ。


「ま、こんなところで立ち話もなんですし屋上にでも行きませんか?

気持ちが落ち着く、ってさっき誰か言ってたの聞こえてきて。」


「んじゃ、屋上にでも行きますか。

柔音も来るか…?」


「うん、ついていく」


そう言い屋上に向かい始める連我、柔音、そして文具一行。


そんな屋上の一角に、ズ、ズ、ズとワープが出現する。

そんな異変に、まだ誰も気づいてはいなかった。

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