28 暗黒城内街角会議①
前回ラストで強乃一行がやられていたシーン、
何故ああなったのか、誰がやったのかこの話でわかります。
薄暗く廃れた部屋の一角に、3人の人が居る。
1人が手を地面に着け時折嘔吐するような咳をし、
そのそばで2人がしゃがんで見守っている。
ここは古び放棄された城で、本来は休憩場所であっただろうことが椅子や本棚などの部屋全体から見て取れる。
「ゴホッ…ぐっ…」
四つん這い状態になっている白衣を着た黄土色の髪の男は、
咳をし苦しそうにしている。
そんな男の眼の前にしゃがむ赤毛の子が、カシャリとその様子を持っていたデジタルカメラに映す。
それを隣で見ていたもう1人が指摘する。
「なんのつもりだ?俺の相棒が苦しんでるのを見て滑稽かよ。
お前たち、集団で俺らをハメてんじゃあねぇだろうな?」
それに対し余裕そうな表情と雰囲気で赤毛の子画答える。
「あはは、やだなぁ。
ボクはこういう苦痛そうな顔が好きなだけさ。
言うなれば―癖、ってやつさ。
勘違いしないでよ、君達がどうなろうがボクは関係ない。文句はメズマの奴に言ってくれよ。」
「あっさり仲間を売るんじゃないよQ君。
もっとも僕の言っていることは全て本当さ。
君達の研究する“死者蘇生”―…それには、実際に人の魂と能力、そして人体の働きを見て、触って確かめるのが早いさ。」
ふと声のする方を見ると、いつからそこに居たのか、腕と足を組みまるでずっとそこに座っていたかのように佇むメズマがいた。
「今日行って正解だったでしょ?
連我の仲間、強乃。あの厄介なバフ能力を始末するとともに大量の人間の能力と五感を取り込むことに成功した。
残念ながらすべてを奪う前にウバイ君の体力が尽きたようだけど。」
「…―おいウバイ、やっぱりあいつは利用しようとしてる感が否めない、しんどいならこれ以上無理にー…」
と、ウバイと呼ばれた苦しがる人物の横にいた人ーミラが心配する。
「ーいえ、私が今…ここでこの力をモノにすればきっと…っ…予定通り最短で目的へは達成されるはずです…から、心配はいりませんよ…」
「いいね、いいねその苦し紛れに話す感じも、我慢したいのに歪む表情も!
ボクとしても、こんないい表情の人はずっと苦しんでいてもらいたいものだし、無理してもらいたいよね。」
そうQが言う。
次の瞬間ミラが立ち上がって殴りかかろうとする。
「てめぇ、なんのつもりでー…」
それを一切動かず、不思議そうな顔で見て言う。
「なんのつもり?ボクに触れた所で死んじゃうのは君だけど。
それとも回避にしか特化しないその力でボクの掌に触れず勝つつもりかな?」
それを聞き、少し動きを止めたあとスッと拳を下ろす。
「さ、頑張ってた皆が帰ってきたみたいだよ!」
赤毛の子ーQがパチンと両手を合わせて立ち上がると、ちょうどワープゾーンが展開され、ワープ、プラグ、ノルマ、そしてペタトラが帰ってきた。
「ありゃ、新7教ともあろう人が3人も出ていって収穫ほぼなしかぁ。予想はしてたけど渋いねぇ。」
Qは期待して損したと言ったふうに近くの椅子に座り直す。
「うるさいなぁ…僕はあと少しでやるべきノルマは終わったんだ!顔だけ見せて撤退する凡人の彼女らとは違ってね。なのに結局さんざ妨害されて強制帰還、帰ったら帰ったで結果だけ見て同じ扱いとはなんとも単純で凡夫の発送と言わざるをえないね。」
と反論するノルマに対しブラグはあまり気にせず答える。
「まーまー、そうかっかしないで!
私は今日冒勇隊の人たちの顔見に行きたかっただけだからいいの!
ついでに私の理想郷の住人も1人増やせたし、ね!」
「第1、ペタトラが冒勇隊引き止める話だったでしょ。
君がノルマ放棄して帰ったせいで僕にまで被害が出たんだけど?
君を信じて無限水筒と連我の取り巻きの始末に集中したのになんで戦いを放棄した?」
「…私は今戦うべきではないと感じた。
私は私とよりかけ離れた異なる意見のものから倒し下に付ける。
奴らの考えは少し理解できるものがある。だから今は排除すべきではないと感じた。それだけだ。」
「ー新7教って大したことないんだね結局さ。
ボクは幹部だから一応下につく存在なわけだけどさ。
上がこうも揉めてると誰につくかもわかんないよね。
成果もメズマが感情の種で連我を村人たちから遠ざけたぐらいじゃないか。
それも今回でパーになったしね。
町1つボロボロにしたフハイやその糧となる植物の開発に貢献したウバイとミラのほうが成果として上じゃない?」
「Q、そんな事言わないの!
確かにみんな活躍度は少ないし私も今まで閉じこもり気味だったりしたから人のこと言えないけど…
皆生きて帰ってるし何より本気で戦えば強いんだから!今日は倒す目的じゃなくて様子見だもん。」
「んー、信用置いてるプラグがそう言うなら信じるけどさ。
最近幹部以上の人達が好き勝手して結果目撃者消さず逃亡とかしすぎてタイムんとこの拠点がほぼ特定されちゃってるんだよね。
今回あの方が新7教送り込んだのも多分冒勇隊の力量調べだよ。
乗り込むならあいつらだからね。
フハイも落ちちゃってタイムんとこの下っ端全滅だしさ。
あんまり尻尾見せすぎないようにね。」
「Q君、随分と上からな発言をするじゃないか。
でも僕は結構好きだよ、君の生き方さ。
タイムんとこは四天王がまだいるしあいつらはとことん初見殺しだから大丈夫さ。
とにかくタイム含め皆あの方の望みを自分が叶えようと尻尾を出しすぎたね。
まだ人数も経験も能力もこっちのほうが優勢だしゆっくりいけばいずれ簡単に達成できるだろう。
もう少し落ち着くべきだろうね。」
「はー、数カ月ぶりの外出のあとでいろいろ話聞いてたらつかれた。
ワープ、私の部屋まで送ってー」
と、メズマの会話の切れ目を狙ってプラグが言う。
「…しかし、良いのですかプラグさん、まだ数少ない情報交換の機会が―…」
「いいのいいの、私には私の目的があるし?
正直この組織もどうでもいいっちゃ良いんだよね―、それにたとえ私の元に冒勇隊とかが来ても私に攻撃は効かないからさ。
死なないから大丈夫なの!」
と、黙ってつまらなさそうに聞いていたノルマが口を開く。
「この会議で始めて同意できる意見だよ。
僕は僕の為に動くだけだし、
僕以外の誰が死のうともそれはそいつらが凡人だからだ。
なんの特別でもない一般人が高みの見物をしようと背伸びするから足元攻撃されて倒れる。
僕は元から高みにいる人間だからね。
己の目的すら達成できないそこらの人間とは違うんだよ。」
「…そうですか、では」
ワープが意思を確認すると、ノルマとプラグはそれぞれ違うワープゲートに入りいなくなった。
「…もう少し話したかったが、仕方ない。
ミラも落ち着いたようだし、解散にしようか」
そうメズマが告げると、各々バラバラの方へ歩き出し、ペタトラ、Q、メズマはそれぞれワープゲートへと入った。
それを見届け一礼しワープが自身もゲートに入り消えた後、その束の間騒がしかった休憩場は再び静けさを取り戻していた。
またキャラが増えました(*‘ω‘ *)
ちなみにこのQってキャラがこの作品で1番クズです。
1番Q、2番影(ペタトラと以前一瞬話してたやつ)、3番ノルマ。
こいつらの最期は気合い入れますので是非そこまでお付き合いしてください笑




